【歌詞和訳】Dreamer's Ball/Queen

天界より愛をこめて。こんにちは。きらすけです。
今回はクイーンのDreamer's ballを自分なりに訳してみました。

ゆったりとした曲調が魅力的ですが、なんでもこういうのをニューオリンズ風スイングと言うそうです。ネットで調べました。発表される前年に亡くなった伝説のミュージシャン、エルヴィス・プレスリーに捧げられた曲だそうです。僕は不勉強なものでエルヴィス・プレスリーについてはJailhouse Rockしか存じ上げていないのですが、こんなに素敵な曲を捧げられるということはとても素晴らしい方だったのだろうと思います。クイーンの中では定番ってほど有名な曲では無いのですが、個人的には一、二を争うほど好きな曲です。何となく眠る前に歌う歌……子守歌にも似たような……のようで安心する曲です。メロディーがどこか幻想的で、夢をモチーフにした歌詞にとても合っていると思います。
歌詞はちょっと切ない恋の歌、という感じ。主人公が男性が女性かは明確には分かりませんが、女性の方がこの切ない雰囲気には合っているかなと思ったので僕の訳では女性にしました。

↓↓↓以下動画↓↓↓

(内容には全然関係ありませんが上のQueenのオフィシャルYouTubeのアイコンすごいですね。メンバー全員をアイコンに入れたい気持ちはわかるんですけどだからといって普通顔を合体させます?)

↓↓↓以下和訳↓↓↓

Dreamer's ball(夢の中でダンスを)

I used to be your baby
(私はかつて貴方のかわいい恋人だった)
Used to be your pride and joy
(貴方の誇りで、楽しみだった)
You used to take me dancing
(貴方は私をダンスに誘ってくれた)
Just like any other boy
(他の男の子みたいに)
But now you've found another partner
(けれど、今じゃ別の相手を見つけてしまった)
You've left me like a broken toy
(壊れたおもちゃみたいに、私は放り出された)

It's someone else you're taking
(誰だか知らない人を連れて行って)
Someone else you're playing to
(誰だか知らない子と遊んでいる)
Honey, though I'm aching
(ハニー、私の胸は張り裂けそうなのに)
Know just what I have to do
(どうしたらいいのか、頭じゃちゃんと分かってしまうの)
If I can't have you when I'm waking
(目覚めている時に貴方を手に入れられないのなら)
I'll go to sleep and dream I'm with you
(ただ眠って、貴方と共にいる夢を見よう)

Oh take me, take me, take me to the dreamer's ball
(どうか私を連れて行って、夢の中で、ダンスホールへ)
I'll be right on time and l'Il dress so fine
(ちゃんと時間通りに来るし、目を見張るほど素敵に着飾っていくわ)
You're gonna love me when you see me, I won't have to worry
(そして貴方は私を愛してくれる、もう私は心配しなくていいのよ)
Take me, take me, promise not to wake me
(ねえ、どうか連れて行って、私を目覚めさせないで)
Till it's morning, it's all been true
(朝までは真実だって信じさせて)

What had you say about that, hey honey?
(ねえハニー、貴方はどう言うかしら?)
You gonna take me To that dreamers' ball?
(夢の中でダンスホールへ連れていってくれる?)
I'd like that
(そうだったら素敵だわ)
Right on that 42nd street
(42番街の通りにあるの)
Way down, downtown dreamers' ball
(ダウンタウンのドリーマーズ・ボールへ行きましょう)

Oh take me, take me, take me, I'm your play thing now
(ねえ、どうか連れて行って 私は今貴方の慰み者にすぎないけれど)
You make my life worthwhile
(ほんの僅かな微笑みで)
with the slightest smile
(私の人生の全てに意味をくれる)
Or destroy me with a barely perceptible whisper
(もしくは、聞き取れないほど微かな囁きで私を壊してしまうことも出来る)
Gently, take me, you know I'm only dreaming of my baby
(このまま夢を見させて 知っているでしょう、私はただ貴方といたいだけ)
At the dreamer's ball
(まぼろしのダンスホールの中で)

Take me, hold me
(連れて行って、抱きしめてよ)
Remember what you told me
(貴方が私にくれた言葉を思い出して)
You'd meet me at the dreamers' ball
(夢の中でダンスをしたの)
I'll meet you at the dreamers' ball
(ドリーマーズ・ボールで会いましょう)

あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜もうひたすらに切ないです。この曲をこのあ〜〜〜〜になるまで切なく感じるかどうかは結構人によるかなと思うんですが僕はもう泣きそうなくらい切ない曲だなと思ってます。あなたは薄情だけど、だからと言って同じようにあなたに薄情になることはできない。だって好きなんだもの。自分でも馬鹿だと思うくらい、あなたが私の全てなんだもの。だから眠って夢を見よう……やべぇ泣いちゃうしんどいしんどい
もうそもそも「ダンスホールに連れて行って」っていう願い自体が健気でいじらしくて可愛すぎる故に切なすぎて無理ですね。こんな可愛い彼女を放って何をしてるんだいその男は。僕の前に連れてきてご覧代わりに引っぱたいてやるから。
絶対叶わないって分かってるのに強がって笑顔で夢を見ている人が個人的に突き刺さるんですが、この曲はまさにそんな曲なんじゃないのかと。「わたしはきれいに着飾っていくの、そしたらきっとあなたは私を愛してくれる。もう心配しなくていいのよ、素敵よね」って叶わないのに言ってるんですよ。あ〜〜〜〜もう無理本当に無理泣いちゃう

個人的な呻きはさておき、訳についての解説です。
最初に多く使われている「Used to〜」は英語の授業で「かつてはそうだったが、今はそうでは無いことを暗示している」っていうのを習ったので今はそうじゃない゛ん゛だよ゛ね゛と泣きながら訳しました。
I'm achingは厳密には「めっちゃ痛い」というだけの意味ですが、あとの歌詞と併せて心と頭の乖離を表現するため「胸が張り裂けそう」というアメリカン大袈裟表現を使いました。欧米古典あるある、悲しみのあまり物理的に胸が張り裂けて死ぬ人。
タイトルにもなっている「dreamer's ball」はballがダンスホールの意味ということで夢の中のダンスホールと考えて訳しました。僕はそういうパリピなところに行ったことは無いんですが、なんとなく夢の中のダンスホールというとピンクとかのムーディーな照明とミラーボールが回ってそうな感じがします。
間奏でのセリフに「42nd street」とありますが、これはマンハッタンの中心の通りの一つで、ブロードウェイなどもある文化の中心です。昔の映画「四十二番街」でも有名ですね。つまりここにあるダンスホールは世界中の憧れの的である非常に煌びやかな場所ということです。
全体的に文法、単語としてはそれほど難しいわけでもなく分かりやすい曲ですが、その文訳す側としてはセンスが問われるなと思います。個人的には今回の訳は結構いい感じです。

また、この曲について(フレディ・マーキュリーは絶対そんなこと意識してないと思いますが)個人的にものすごく日本の古典っぽいなと思います。
「You make my life worthwhile……」のあたりとかすごく和歌っぽいです。具体的には小倉百人一首の19首目の「難波潟 短き葦の節の間も 逢はでこの世を過ぐしてよとや」に詠まれている心情にすごく似ているなと思います。
また、この曲全体の心情としてすごく源氏物語の六条御息所みたいだなと思います。個人的な脳内の六条御息所は"これ"です。光源氏はつれないけれど、それでも愛するのをやめられない。もうやめよう、もうやめようってずっと思っているのに、一目見れば愚かにも心が踊って、ぜんぶを許してしまう。自分でも自分が抑えられない、どうしたいのか分からない……そんな苦しいほどに深い愛情を持て余して、ついには物の怪にまでなってしまった六条御息所、この曲聞かせたらボロ泣きすると思います。少なくとも僕の中の御息所は泣きます。ていうか六条御息所が良すぎるので全人類源氏物語の「車争い」のエピソードと葵上の死のエピソード読んでください。


というわけで、今回は「Dreamer's ball」の和訳でした。非常に個人的な呻きの多い記事になってしまいましたがご了承ください。
おそまつさまでした。


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