映画『ポテチ』

留守番の暇つぶし

 夏休み、一人で留守番をしながらアマプラでポテチという映画を観た。アマプラがお勧めしてきた理由は多分、先月くらいに『アヒルと鴨のコインロッカー』を観たからではないかと思う。
 伊坂幸太郎さんの小説は愛読しているが、この作品が映画化されていたのは初めて知った。自分から観ようと思ったわけではない留守番中の暇つぶし。最近は自分から動かなくても「おすすめ」という名のもとに見聞きすべきものはどんどん向こうからやってくる。少し怖い。さりとて、外は暑いから外出する元気もない。すすめられるままに観てみることにした。
 1時間ちょっとの作品で、とにかく主演の濱田岳さんが期待通りの濱田岳さんで、それを観られて満足という映画だった。
(以下、ストーリーに関する話題になります)

コンソメのポテチと塩のポテチ

 映画の中で、濱田岳さん演じる主人公がおやつを買いに行く場面がある。
 そこで買ってきたポテチを取り違えて、欲しかったのと別の味のを食べてしまうという小さなアクシデントが、(タイトル通り)この映画のテーマそのものを表している。観終わってみるとこの場面での登場人物のことばやふるまいがいちいち趣深い。
 取り違えて食べたポテチについての恋人(木村文乃さん)の、思ってたのと違ったけどこれはこれで悪くない、と交換を断るその言葉も、その言葉を受けて主人公が涙を流すのも、孤独の陰を感じさせる主人公の同業の先輩(大森南朋さん)が、間食はしないと言ってポテチを食べないのも、「ポテチ=」の意味が示された後だとすごく納得がいく。

ポテチ=

それにしてもどうしてポテチなんだろう。
 人にとって必ず食べなければならないものではない。むしろ避けたい人もいる。一応好みの味はあるけど、それじゃなきゃ嫌と思う人は少ない。でも、お前の人生なんてポテチみたいなもんだと気づかされたら…きっと平静ではいられない。
 やっぱり、この話は「ポテチ」じゃないといけないんだな。


 
 
 






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