司と操の「SKiT！寸劇脚本」シリーズ 003-2

「ちょっと相談があるんだけど。／芸人になりたい編 02」

ツカサ　はい。というわけで、どこまで戻ればよいのでしょうか？
ミサオ　えっと、ビッグ３は高望み、くらいまでかな。
ツカサ　高のぞみ、かなえ、たまえ。
ミサオ　ん？　欽ちゃんの…なんて番組だっけ？
ツカサ　誰だ、欽ちゃんて？
ミサオ　萩本欽一さん、知らないの？
ツカサ　それもネットか？
ミサオ　ああ。YouTubeで見かけた。
ツカサ　ふ～ん。
ミサオ　ツカサは、世の中に興味がないのか？
ツカサ　ビッグ３とか、欽ちゃんを知らないからって、そんな言い方をしな
　くても…。
ミサオ　あ、ゴメンゴメン。でも、ネットで検索、あ、ググれば、ほぼほぼ
　なんでも出て来るんだけどね。
ツカサ　あれ、また知らない言葉が出て来た！
ミサオ　あ、いいよ！　ネットで検索ってことだから。
ツカサ　なるほど。じゃあ、これからはネット検索をしてみるよ。
ミサオ　よしよし、いい子だ。(ツカサの頭を撫でようと手を伸ばす)
ツカサ　(その手を払いのけ)オレは子供じゃない！
ミサオ　そりゃそうだ。
ツカサ　よな。
ミサオ　キム・ヨナ。
ツカサ　え？　芸人じゃなくて、フィギュアスケーターになりたいのか？
ミサオ　キム・ヨナは知ってるのか。
ツカサ　真央ちゃんのライバルだったからな。
ミサオ　浅田さんチの真央ちゃんか？
ツカサ　ああ。
ミサオ　まんざらバカじゃないんだな。
ツカサ　興味のあることが、ミサオと違うだけだよ。
ミサオ　なるほど～！　めでたしめでたし。
ツカサ　チャンチャン。
ミサオ　止めろ！　まだ終わらせるものか！
ツカサ　だから、芸人になりたいんだったら、どっかのプロダクションの学
　校だか養成所に入れよ！
ミサオ　高いんだろ？　オレ、貯金ないし。
ツカサ　なら、手っ取り早く親に出してもらえよ！
ミサオ　ウチ、貧乏だから、♪そんな事～言えな～い♪
ツカサ　Kiroroか？
ミサオ　それも知ってるのか。
ツカサ　カラオケボックスに通ってるからな。
ミサオ　あれ、オレたち友達だよな？
ツカサ　何を今さら。
ミサオ　一度も誘われたことないけど、カラオケ。
ツカサ　オレはいつも、ヒトカラだから。
ミサオ　なんで？
ツカサ　聴かれたくないからだよ。
ミサオ　音痴なのか？
ツカサ　ハッキリ言うな！　オブラートに包め。
ミサオ　カラオケなんて楽しめばいいんだから、今度一緒に行こうぜ。
ツカサ　イヤだ！
ミサオ　うわ、頑(かたく)な！
ツカサ　その話を続けるなら、もう帰れ！
ミサオ　わかった。もう言わない。
ツカサ　よしよし、いい子だ。(ミサオの頭を撫でようと手を伸ばす)
ミサオ　(その手を払いのけ)止めろ！　ていうか、カラオケの話をしてた
　ら、やっぱりアイドルになりたくなって来た！
ツカサ　うわ、こナいだの話を蒸し返しちゃったよ!?　諦めたんじゃなかっ
　たのかよ？
ミサオ　ああ、あのときは諦めようと思ったんだけどさ、やっぱり、歌うこ
　とこそがオレの使命なんじゃないかって思えて来たんだ！
ツカサ　それは、いつから？
ミサオ　ついさっき。
ツカサ　うわぁ、オレが蒸し返しちゃったのかぁ。
ミサオ　なぁ、昭和歌謡を歌いまくるアイドルって、どうよ？
ツカサ　どうよって言われても、ミサオの歌を聴いたことがないからな
　ぁ…。そんなに上手いのか？
ミサオ　どうなんだろう…ていうか、ボク、歌うことが大好きなんです！
ツカサ　あれ、アイドルになったつもりになって来た？　ボクって言い始め
　た。
ミサオ　なんか、イメージがどんどん湧いて来てるよ！
ツカサ　ヤバいなぁ…。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（つづく）