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「いけない恋に堕ちて…」002/舞台脚本

      挿入歌♪https://youtu.be/MfgNV3IVolQ

      照明イン。
      舞台中央に椅子がある。
      上手より、フラフラとアケミが登場し、スマホに出る。
アケミ もしも~し、愛しのヨシローちゃんですね~? アケミちゃんですよ~。…うん、ちょっと酔ってます。(椅子に座る)…ダンナ? なんか忙しいみたいで、会社に泊まり込んでるのよ。ダンナがいないのはいいんだけど、ヨシローに逢えないのが寂しいな~。…あれ、なんで黙っちゃうの? ホント、恥ずかしがり屋さんだよね~!? ねぇねぇ、今から逢いに来てよ。…え? もう電車がないのはわかってるよ。だから、タクシーで来てよ。ウソよ! 借金があるからダメなんでしょ。いったい、いくらあるのよ、その借金って? ま、聞いてもムダね、絶対言わないもんね。それに、私が一緒に返してあげるって言ってるのに、断固拒否だもんね~。寂しいな~。寂しい、寂しい、寂しいよ! ねぇ、自分から電話して来たくせに、さっきから黙ったままなんですけど。…いやッ、まだ眠くないもん。ヨシローと、もっと話していたいの。ねぇねぇねぇねぇ、私のこと、好き? …うふ、うれしい! 私も、ヨシローのこと、だ~い好き! ねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇねぇ、愛してる? …あれ、なんで答えが返って来ないのかしら? 私のこと、愛してないの? ダンナがいるから? だから、何度も言うけど、ヨシローがビシッと言ってくれれば、すぐにでも離婚するのに! ダンナは、私の父の親友の息子だから、父の手前、なかなか切り出せないのよ。ダンナも、同じだと思うよ。だって、二人とも、すっかり冷めきっているから。私がホステスをやり始めたのは、ダンナの稼ぎに頼りたくないからだし、ダンナは、それについてなんにも言わないしね。だから~、二人で一緒に暮らして、二人で一緒に借金を返して行こうよ。…なんで、なんでダメなの? そんなに莫大な金額なの? それでも、私、頑張るよ! あ、ヨシロー、独身とか言って、ホントは結婚してたりして!? それで、借金があるとか言って、はぐらかしてるんでしょ? …え、違うの? ホントに独身なの? そうなの!? よかった! 安心したら、トイレに行きたくなっちゃった。(立ち上がる)電話を切らずに待っててね。…いやッ、切っちゃダメ! ね、お願い、このままちょっとだけ待っててね。
      暗転。


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