けいおん!二次創作「憂と菫の放課後ティータイム」
「憂先輩、放課後の補習お願いできますか?来週の数学の試験が危なそうなんです」
菫は校門で帰宅しようとする憂を捕まえて言った。
「いいけど今日は私用で忙しいから明日でいい?」
憂は、自分自身の試験準備などもあったのでこう答えた。
翌日、菫は学校が終わって一旦帰宅後、電車を乗り継いで憂の家に向かった。
「ピンポーン」
憂の家の前に立った菫は少しドキドキしながら呼び鈴を鳴らした。
「どうぞうちに上がって」
憂が笑顔で玄関のドアを開けた。その時、その背後からケーキの焼けたような匂いがプーンと漂った。
家に入った後、菫は台所で憂が用意した電気ポットを用意してお湯を沸かし、持ってきたフォートナム&メイソンの茶葉を缶から出し、ティーポットに入れた後それを注ぎ込んだ。
菫は五分くらいたった後それを持ってリビングに向かうとそこには憂が座っていた。目の前のテーブルには焼きたてのケーキが並んでいた。
「スミーレちゃんのお茶おいしいよね〜」
憂は菫の紅茶を楽しんでいた。
「今日はケーキ焼いて待っていたんだ。どう?高そうな紅茶をいただけるのだからこれくらいのことはしなくちゃ!」
菫は憂がアピールしているのを聞きながら憂お手製のケーキを口に運んだ。
「わー! おいしーっ!」
菫もまた憂のケーキを楽しんだ。憂はそんな菫をニコニコとした顔で見つめていた。
平沢家にしばらくほんわかとした空気が流れた後、
「そういえばどうしてここに来たのでしょうか……」
菫はつぶやきながらショルダーバッグからおもむろにノートを出した。
「あ、そうでしたね……」
憂はそう言いながら自室に向かい押入れの中にあるダンボールから一年生当時のノートを取り出し、それを抱えてリビングまで運んでテーブルに置いた。
菫は目の前にうず高く積まれたノートを前にひたすら自分のノートに書き写していた。
そして数時間がたって一段落した後、
「家に連絡しなくて大丈夫なの?」
憂はそう言った。
「一応家には連絡してありますが……」
菫は答えた。
「まだ時間大丈夫だったらこれ見ない?」
憂は自分の部屋からとある一枚のDVDを持って来た。
「どんなDVDですか?」
菫は憂に尋ねた。
「お姉ちゃんの熱唱だよ」
そう憂は答えた。リビングにいる二人が見つめるテレビの画面には、放課後ティータイム時代の軽音部のライブが流れていた。
「先輩の皆さん方上手いですね……」
菫は先輩たちの姿を目の当たりにしてつぶやいた。それを聞いた憂は、
「これは一昨年の学園祭。お姉ちゃんに誘われて行ったけど、その時はまさか私が楽器をさわることになるとは思わなかったなあ」
と、語った。菫も、
「澪先輩や唯先輩の詩にお姉ちゃんの作ったメロディをつけて、みんながこんなに楽しんで、拍手がもらえるって素晴らしいです!」
と言った。
そうこうしているうちに、夜もふけ、二人は近くの駅まで歩いて向かった。憂は駅のホームで菫が電車に乗るのを見届けた後、家に戻った。
その次の日、学校の廊下で二人はばったり出会った。
「憂先輩、ありがとう。おかげでなんとかなりそうです。」
菫が言うと、
「私もやる気が出たし、スミーレちゃんの紅茶も絶品だったし」
憂はこう答えた。
「もうすぐ一時間目が始まるからまたね」
憂はこう言い残して菫の前から立ち去った。
(おわり)
見出し写真:豊郷小学校旧校舎群
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