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初めて刀ステを生で見たおっさん審神者が誰かと感想をシェアしたいと思ったけどコロナ禍で人と会うのも大変なのでここにだらだらと書いておく

【要約】

天伝を見た。无伝も見よう。綺伝も楽しみ。

【注意】

ネタバレを気にせず書いているので未見の人はそういうもんだと思って欲しい。
あと注釈とかあえてつけるのを止めたので多分非常に読みづらい。
ヲタクが早口でまくしたててるのを文章化すると多分こうなる。
いい大人はこういう文章を書いてはいけない。

【書いたのはこんな人】

軽い気持ちで始めた刀剣乱舞Pocketにはまり約1年の新米審神者。おっさん。
「40歳にもなってない奴がおっさんを名乗るのは早い」と思ってるのでそれくらいの歳。「寺にも通うカトリック」なので般若心経も天使祝詞もイケる。
なんとなく見た刀ステ(最初に見たのは義伝。初期刀が歌仙兼定だったので)にもはまってDMM配信で見られるものはだいたい見た。維伝は未見。ミュは未履修。綺伝(科白劇)は通しで2度配信版を楽しんだ。ガラシア様マジガラシア様。

もとがSF者なので「円環構造」とか「ループする世界」とかは好物。考察サイトは人に教わったり自分で検索したりしてそれなりに読んだ。
とはいえ鶴丸役の俳優さんが2名いることを最近まで知らなかった。
役者さんの名前はほぼ全く存じ上げない。他の出演作品も知らない。
あとゲームでBMI35以上の刀剣男子がそろそろ出てもいいのに、とか思ってる。

【当日までの経緯】

天伝、ゲーム先行抽選でなぜか2日分のチケットが当たった。マジか。
ところが2月6日ソワレが皆様ご存知の通り一期一振役の俳優さんぎっくり腰という緊急事態により急遽中止に。チケットは払戻。興行中止になるかとも思ったが(なんせ座長さんだ)アンダーも使わずよく復帰された…プロはすごい。
そして20日のソワレをドキドキしながら迎えた、という次第。

【感想殴り書き】

思い出した順に書いているので、読みづらいのはご勘弁いただきたい。
書けば書くほど感情が乱れる。

「老いさらばえて畳の上で死にたくない」と再三口にするウォージャンキー家康のキャラ設定は義伝の伊達政宗との対比を感じる。
「僕らの元の主は、カッコいいねえ!」…義伝では人が人らしく生きて老いて死んでいくことの尊さが強調されてたように思う。それにくらべて天伝は(後述)。

並立する世界線と刀剣男子の存在を把握して非常に物騒な遺書を残した黒田如水と「未来のことなんか知りたくなかった!」と叫び俺の選択で歴史改変だ!意趣返ししてやる!とばかりに自害する真田信繁の対比。本作での後味悪いシーンその1。

もういない黒田如水、もう死んでる豊臣秀吉の存在感がでかくて(スクリーンでも大映しになるし)、その一方、劇中で生きている筈の真田信繁や豊臣秀頼の存在感が非常に儚い。というか小さい。見る側が、バッドエンドに向かって前のめりに突き進む人間サイドに感情移入しにくい作りになってる気がする。

刀剣男士顕現のコスト!それは僕たちの命!とかいうノリで自害する真田十勇士(の物語を身に纏いたいモブ足軽)たち(後味悪いシーンその2)、その後の真田ジュニアの慟哭と足軽たちの自害選択がまるで無駄無意味だった、というのを分かりやすく裏書きするために(としか読めない)おもむろに登場する語り草さん(=大千鳥十文字槍にしか見えない黒衣の人)と塵芥さん(=泛塵にしか見えない黒衣の人)。後味悪いシーンその3。しかもこの二振りの刀剣男子、嫌らしいことに真田丸に死体だけしかない状態になってから初めてそれと分かる形で登場しセリフを発する。
居るんなら早く言えよ!みんな死んじゃっただろ!

刀ステはまあ戦さの話が多いので他の回でもたくさん人が死んでるはずなんだけど、これだけ個人の選択が無駄だった、はいこの人たちの選択は失敗失敗、というのをいっそ底意地の悪ささえ感じられる丹念さで描いたことは今まであっただろうか?ほかにも豊臣秀頼は秀頼で自分のアイデンティティを探してなんかそれっぽい答えをもらって気持ち晴々、しかし夏の陣での死が確定済み、あれ、「貴方様は負けます」とか一期一振に言われてなかったっけ?全編にわたって人間サイドに救いがほとんどない。いやキングオブ救われなさ大賞、弥助の話はこの後する。

弥助。カッコいいよ弥助。別作品でも登場して今回が多分2度目。史実にも記録のある黒人奴隷出身の信長の従者。本能寺以後の消息は不明。キンキラキンの洋装が非常に舞台映えする。一歩一歩の足取りが大きくて「あっ、こいつ強い」というのがすぐ分かる。死んだ信長を「死んだという史実に抵触しないように諸説に逃す」ため時間遡行できる刀剣男子を顕現させようとする。動機付けが無茶なのに加えて取り出した道具が「審神者の手」。なに手って。誰の手だよ。禍々しすぎだろ。というか奇跡をもたらす死体の一部ってのはキリスト教的には「聖遺物」を連想させるから非常に見てて辛い。現実世界の聖遺物については「聖遺物崇敬の心性史」という滅法面白い本があるのでぜひ読んで欲しいのだけど(https://www.amazon.co.jp/dp/4065135184)、もちろん弥助の試みは劇中で派手に失敗する。弥助自身の命を代償に顕現した「何か」はその場で崩れて消えていく。とことん人間サイドが救われない筋。しかも分かりやすく「喋る時間遡行軍」阿行吽行に「ダメだったねえ」とかあっさり言わせて「弥助の行為の無駄感」を強調してる。辛い。
弥助のカッコいいシーンはいくつもあるけど「あなたたちこそは歴史の奴隷だ!」という啖呵はホントその通りだと思ったし、なんなら歴史とか変えちゃってもいいんじゃね?とさえ思った。綺伝で山姥切長義が「歴史を守るのは俺たちの本能」と言い切り、今回は山姥切国広が「本能とかいうふわふわした動機で自分たちの邪魔をする!(大意)」と面罵される、ここも対の構造なんだろうなあ。

というか「諸説」てなんだ。歴史は変えちゃいけない、でも諸説に逃せば見逃してもらえるかもしれない。では物語強度の強そうな諸説を選んでそっちに逃げるとしよう。いや無理だろそれ。書いてて無理筋感しか漂ってこない。あやふやな「諸説」を持ち出さないと救われない側と「正史としての物語」を持ってる側のコントラストが非常に強くて、何だこれ新手の格差社会か。「魔王の刻印」こと宗三左文字とか本編では身に纏う物語強度が強すぎて全く可哀想じゃなあい。あと宗三左文字、殺陣の立ち振る舞いがものすごく色っぽい。

そういや刀ステ通じての一方の主役(でいいんだよね?)、劇中本丸の近侍のまんばちゃんこと山姥切国広、今回は割とサバサバしてた分印象が薄い(ファンの方には申し訳ない)。歴史をそっとしておいてやれ、というセリフはあの弥助の前では響かないだろう…弥助と一騎討ちに臨んだのが宗三左文字の方だったら、もう少し気の利いたことを言えたのではないか。いや魔王の刻印殿はもっと身も蓋もないことを言うか。そうか。

お猿こと大閤左文字の立ち位置はよく分からなかった。時間軸の違う本丸から来たっぽいこと、先のことを知っているが全部知ってるわけではないらしいこと(なので政府側の刀剣男子ではないのだろう)。まあ全編ドドメ色になりかねないストーリーを無理にでも明るくしてくれた功績は大きい。君がいてくれてよかった。そして殺陣の運動量がめちゃくちゃすごい。役者さんは怪我なく千秋楽まで生き延びて欲しい。
そして彼の「青空みたいだよ!」に救われる秀頼と一期一振。うーん、あれは救済だったのだろうか。どなたかがどこかで書かれていたが「空っぽだね」と宣告されたも同然という見方もあるんじゃないか。とはいえ空の器にはこれからいろいろ詰め込めるから楽しみだよね。秀頼は翌年死ぬけど。

脇差ズ…あまり印象がない(ごめん)。ただもともと記憶がない、物語がない、という事がゲームでも強調されてるキャラなので、今回の物語ヒエラルキーからは自由な立ち位置だったような気がする。過去がなくても記憶がなくても、それだからこそ余計なものに囚われずに済んでるのかもしれない。

加州清光と家康の絡み。熱いね燃えるねカッコいいね!死に急ぐな、死なれちゃ困る、老いぼれて狸親父で、それで十分すごいじゃないか、と一応は付喪神でもある加州清光が凄みながら言うところは今回の数少ない「ポジティブな」シーンだったと思う。よかった探し。

考察サイトもいくつか読んでるので三日月宗近を巡る話の不穏さはある程度把握してる。なので次の話では大坂夏の陣で三日月宗近と「物語」を巡る筋書き(円環構造の中で顕現と刀解を繰り返す、というあれ)に展開があるんだろうか。
物語、物語。刀に過剰な物語や逸話を求めるお前ら審神者の罪深さを知るがいい!みたいなエヴァ旧劇的な話にならなければいいなあ、と思っている。そういうメタな奴はゼロ年代に置いていってもらいたい。しかし「審神者の手」だもんなあ。油断できない。

舞台装置について。
殺陣ステージの滑り台は真顔で「危ないですよねこれ」って役者さん側でスト起こしても当然だと思った。斜度60度くらいの滑り台に駆け上がり飛び降りながら殺陣をする時間遡行軍と刀剣男子。うん、頭おかしい。

IHIアラウンドシアターという場所は初めてだったので、最初は回るのが舞台なのか客席なのか分からなかった。回る意味あるんかなあなどと思ってたら終盤のアレで「うわぁ廻ったァ!」と驚愕した。あれは一見の価値がある。あそこでしか味わえない。すごい。

客層と役者さんについて。
予想していたがおっさん1人という客はほとんど自分一人だったのではないか、くらいの勢いで女性率が高かった。んー、でもそれほどオンナノコ向けの話でもなかったような。自分の個人的感想では「刀ステ」は男女ともにふつーに楽しめる内容で、「刀ミュ」はどっちかというと女子向けサービス多めというイメージ。(あくまで個人のイメージね。ミュは全編通しでは1つも見てない)
それでも真剣必殺シーンで周囲が一斉に双眼鏡を構える気配を感じて「ですよねー」とは思った。役者さんはみなさん細マッチョで体脂肪率低そうだった。あと腹筋がバキバキですごかった。

【まとめ】

刀剣乱舞のコンテンツぢからは前から気になってたけど、まさかこれほどとは。
これまで配信で見たのが不穏さはありつつ「まあ前向きな要素もあっていい話」という印象だったので今回の天伝の「無意味な死」のつるべ撃ちにはかなりやられた。歳とると自分の人生に意味があったと思いたくなるもんなんだよ本当に。
綺伝のキリシタン大名たち(放棄世界で異形化してみんな正史通りに死ぬんだけど)の「自分は武士として死ぬのかキリシタンとして死ぬのかもう分からない」という嘆きが非常に身に染みるわけ。客層はかなり若いように見えたんだけど、お客さんはあの「どこにも辿り着けず、何の物語も得られずに死ぬ」というザラザラした感覚をどう受け止めたんだろう…そういう話もしたいところだけど現実世界では難しい。コロナめ

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