矛盾を認める効能。二極化から中庸へ。

夏の終わりに5年以上続けてきた「あろは〜呼吸法」のインストラクターになることができたので、そのレッスンを時々行っているのですが、先日受けてくれた方と話していて改めて感じたことがありました。

完全であらねばならないと思い込んでいる。

今、頑張っているのに苦しいと感じていたり、行き詰まっていたり、閉塞感を感じたり、生きづらいと思ってたり、究極的には死にたいと思っている人は、自分でも気づかないうちに心が「二極化」してしまっていると思うんです。

うつ病も真面目な人がなりやすいと言われますが、頑張っているのに「全然頑張ってない」「頑張れていない」と思っている人。
そういう方たちは「素晴らしい人」や「完全」「成功」を目指しているのではないでしょうか？
「目標」がきちんとしている人もそうかもしれません。

自分が考える「目標」「完全」「素晴らしい人」「成功者」に、「今の自分はなれていない」だから「私はダメだ」と思い込んでいる。

「今の自分」には無いものを持っていたり、「今の自分には出来ていないことが出来ている」のが、「目標」を達成した「成功した」自分。
「目標を達成していない今の自分」はダメ、と思ってしまうと、一生ダメな自分でいることになります。そりゃあ、そんなのしんどいに決まってます。
さらには、自分では「そんな風に思っていない」と思っているから余計苦しい。自分の内側からずっと、自分をチクチクと嫌味を言っているような状態です。「お前はダメだ」と。
自分で自分にそんな事を言っているなんて思ってもいないから、それを止める事もできません。

「目標」ってなんでしょう？
「成功」ってなんでしょう？
「完全」ってなんでしょう？

人生の目標、成功した人生、完全な人間。

それって、「今ここ」じゃなくて、長い目で人生を考えたときに見えるものだと思います。

でもね、人生のいちばん最後のゴールって「死」なんです。

どんなに素晴らしい目標を達成しても、どんなにすごい成功を遂げても、そのさらに向こう側には全てを手放し、何も持たない「ただ自分である」という状態、そして何者でもなくなる状態。「死」。

全てを手放したときに、自分の中に確かな何かを得ているかどうか。

私はまだ生きているので、死を体験した事はありませんが、死の間際に感じられるのは「自分の中にあるもの、培ってきたもの」だけだと思うんです。

全てを手放した時のために、いろんなものを掴もうと生きるなんて、矛盾としか言いようがないように思います。

それは、最後に全て手放すのなら何も持たなくていい、何も頑張らなくてもいい、目指さなくていい、という事とは違います。

手放す時のために、精一杯掴もうとする。
不思議な、矛盾。

何か足りないと思っているかもしれない。
何か欠けていると思っているかもしれない。
何者にもなれていないと思っているかもしれない。

でも、
「自分はすでに自分という完全な生き物である」としたら？
「不完全な自分」というものを含めて、「完全な自分」だとしたら？

足りないと「感じて」いても、
欠けていると「感じて」いても、
成れていないと「感じて」いても。

それらを感じている自分こそ、すでに自分そのもの。
完全な自分、と言っていいと思うんです。

この話を、呼吸法の帰り道にレッスン生さんに話したら、つつーっと涙が流れていました。
ああ、伝わったのかもしれない、と思って、嬉しかった。

今日からの毎日が、
「ダメだから頑張らなければいけない」という気持ちから、
「すでに素晴らしいのに、まだ頑張ろうとするスゴイ自分」って感じられたらいいな。

「〜しなければいけない」の世界から、
「しなくてもいいのに、それでもやりたい」ができる世界になるといいな。

不完全を含んで完全。
常に不完全で、常に完全である、という優しい矛盾。

二極化の世界は極端です。
○と×の世界。
それは、とても、生きづらい気がします。
矛盾を認めた、受け入れた世界は、○もあって×もあっていい。
そして、○が×の時もあれば、×だって○な時もある。
そんな優しい世界な気がする。

宗教戦争とかって、最たる二極化の世界。
この神様しかダメ！ってなったら八百の神様がいる日本はどうなっちゃうんでしょう。
どんなものにも神が宿るということを日常的に体感している私たちだから、いろんなものの見方ができると思うんです。
○も×もあって、OKなんです。

どうしてそれを「×」って思うのかな？って問いかけてみましょ。
もしかしたら「○」かもしれないよ。
「×」って思ってる自分に「×」をつけてるだけかもしれないよ。

私もたくさん×あると思う。
でも○もたくさんあるし、×を抱えながら生きてる自分のこと、大好きになれたら楽になったから。
むしろ、今は「×」と思ってたことを愛おしく大切に思うことも多いな。

文字で伝わるかどうかわかりません。
文字で伝えるって本当に難しい。
でも、書かずにはいられないから書いてみた。