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ハンドメイド作品の価値と値段についての個人的な考え


さいしょに


綺羅星雑貨店ではハンドメイド作家さんやクリエーターさんの作品をお預かりして委託販売も行っています。
ものづくりをされている方の一番大きな共通の悩みは「作品の値段」設定ではないかと思います。

売り手はなるべく高く売りたい。
買い手はなるべく安く買いたい。
商売の規模の大小に関わらず、この矛盾の解決と落とし所は誰もが頭を抱えているのではないでしょうか。

ハンドメイド作家さんやクリエーターさん界隈のSNSをざっと見渡すだけでも、自分の作品を見てくれた方から価格に関することを言われて傷ついた、モヤモヤしたという事例と、それに関してのやり取りは簡単に見つけることができます。実際、当店に関連のある作家さん方からも直接お悩みやご相談を受けることもあります。

この記事は価格設定問題の解決策の提示ではありませんが、ご自分の作品の値付けに迷った時のヒントになればいいなと思います。
プロかアマかの議論、原価と付加価値はいったん横に置いておき、ものづくりをされている方のマインドにフォーカスして意見を述べます。そしてこれはあくまでも私の個人的な意見であり、これが正解というわけではありませんのであしからず。


『ライフワーク』と『ライスワーク』の2軸で考える

自分の好きなこと、得意なことで生計が立てられたらいいな。
がむしゃらにお金を稼ぐために働くだけではなく、仕事もプライベートもバランス良く充実した生き方を望む人が増えていますし、社会全体もその方向性を尊重する気運となってきました。ハンドメイド作品を作るだけでなく、販売にチャレンジする方が増えたのもその現れかも知れません。

さまざまな解釈がありますが、ここでは簡単に下記のように表現します。

『ライフワーク』
・自分の人生を充実させるための一つの要素
・やりたくないことはしなくていい
・報酬の有無は問わない

『ライスワーク』
・ご飯を食べていくための仕事
・やりたくないことも稼ぐためにしなくてはならない場合もある

好きなこと、得意なことを仕事に…とよく言われますが、この2つを一旦切り分けて考えることと、そのバランスを考えることがまず作家さんにとって大事なのかなと思います。
では、創作活動におけるライフワークとライスワークの違いは?

▼創作活動はライフワーク!の人

売れるとか売れない、食べていけるかどうかなどは関係ない。
作りたいものをつくる。
いわゆる芸術家。

▼創作活動はライスワーク!の人

自分かつくりたいものかどうかは関係ない。
売れるものを作ってお金を稼ぐことが目的。
いわゆる事業家。

目的意識やビジョンがはっきりしていて、このどちらかに大きく傾いている方はあまり迷わないと思います。
問題はこのバランスがほぼ半々くらいの方。
趣味が高じて、それが仕事になったらいいなという願望は、時に「自分にとっての創作活動とは?」の定義や思考を曇らせていまっているように私は感じることがあります。

とはいえ、食べていくための仕事を別に持っている方も多いのでどちらかに振り切るのはなかなか難しいし覚悟のいるもの。でも少しだけ、真ん中より自分はライフワーク寄りか、ライスワーク寄りかご自分のスタンスや立ち位置を考えてみるだけで、作品を見た人からの価格に関するご意見で傷つくことが減るのかなと思います。
そして同業者さんからのアドバイスも、どのスタンスで助言や共感をしてくれているのかが見分けられれば、自分によって有益なアドバイスの取捨選択もしやすくなるかも知れません。

じゃあ、創作活動が半分よりライフワーク寄りの人、その反対の人は具体的にどうすればいいのか?…についてはとても長くなるし人それぞれなので、また何かご紹介できる具体的な事例などがあれば別の機会に書きたいと思います。

さいごに

一昔前に比べて、個人の情報発信がとても簡単にできる世の中になり、SNSツールの影響下にある者は誰もが自分の価値の可視化ゲームとは無縁ではいられなくなりました。
例えどローカル、どマイナー、ニッチ過ぎることでも共通の価値観を持つ人と繋がることができればそこに新たな価値が生まれると同時に、常に他者評価に晒され続ける厳しさもあります。
しかし、「自分の価値」と「自分の価値を世に広めるスキル」はイコールではないので、いいね!の数、フォロワー数だけがあなたの価値を証明する唯一のものではありません。

人の手が生み出すもの、それが例え不完全で不格好であろうと、金銭的な価値があろうがなかろうが、表現したいという情熱と行動を私はリスペクトしています。
ハンドメイド作家さん、クリエーターさん、
情報過多で時には雑音に悩まされたり、心が折れそうになることもあるかと思いますが、そういったものに捕らわれすぎてご自分のスキルと能力の自己評価と他者評価、ご自分の価値を見誤らないで欲しいなと常々感じています。




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