やっぱりクソ映画が好き〜ロボシャークvs.ネイビーシールズ〜
何の理由もなく鮫が地面を走り、空を飛ぶサメ映画を敬遠していた現実主義者のあなたにも安心してお勧めできる作品はこれ。
下水管の中を疾走しようが、ミサイルを撃とうが、SNSを駆使しようが問題なし。だってこのサメはロボなのだから!
〜ロボシャークVSネイビーシールズ〜
本当の敵はネイビーシールズを名乗る貧弱な装備の蛮族集団と、マスゴミと、若者のSNS文化と、ビル・ゲ○ツっぽいひと。あと資金難。
冒頭、2015年製作とは信じたくないムシキング以下のCGで、突如謎の宇宙船が謎の球体を海に射出し、それを偶然飲み込んだ鮫が突然変異、ロボシャークになってしまう。
観ていないと何のことか全くわからないと思うけれど、ここら辺の理屈は本編を通して一切説明してもらえないので観てもわからないから安心してほしい。
無邪気なロボシャークは何となくで近寄った海軍の潜水艦を撃沈させてしまい、ネイビーシールズということになっている、サバゲ好きの浪人生レベルの貧弱な装備を纏った、暴力以外のコマンドをほぼ持たない蛮族集団に喧嘩を売ってしまう。
ちなみに百余名が犠牲になったと言われるが、映像で確認できる潜水艦の乗組員は八名。遊園地?
フェイクニュースだと一笑されるロボシャークの映像(実際Photoshopより酷いから仕方ないね……)に唯一危機感を抱いたのは、水道局勤務の父と、レポーターの母と共に暮らす、SNS好きなごく普通の女子高生だった。
突如現れた重鎮ビル・グレイツ(某クロソフト創業者とは無関係なので早口で読んではいけない)は何の役にも立たなかったが、ロボシャークが異星から飛来した未知の技術の賜物であることは判明した。
海軍の戦力とマスコミの情報力で、重火器やジェット機関などサメでもロボでも一般的でない機能を次々搭載していくロボシャークを打ち倒し、アメリカを守ることができるのか!?
という感じだけど、実際のところロボシャークの登場シーンはあまり多くない。それも仕方ないとわかるような資金難が随所に見られる。
顔芸や無駄話で尺を稼ぐのはもちろん、地震のシーンでハンドカメラは揺れても定点カメラでは全く揺れず、よく見ると脇役が手すりを揺らして地震を表現しているなど健気な努力が丸わかりなのはまだいい方。
ロボシャークが強襲した危険地帯に乗り込み、主人公たちの取れ高を横取りしようとする無謀なライバルレポーターという緊迫したシーンのはずが、ロケ地を貸しきる金もなかったのか、後ろにジョギングしているひとが映り込んでいることもある。
では、ロボシャークが出ない間何と戦っているのか。
中盤の多くは娘からSNSを教わり、YouTubeとTwitterを使ってロボシャークの危険性を報道するレポーターの母と、デマだと冷笑するネットユーザーとのレスバトルが占める。
ネイビーシールズはどうした。鉄と火薬で戦え。
他にも撮影を優先してサメに食われるYouTuber、クソリプを送る貧乏そうなひと、フォロワー=友だちという娘の甘い考えを叱る父など、全体的に若者のネット文化への怨嗟に満ちている。
インスタやFacebookを楽しむまともな青春を送っていたら、サメ映画を撮る人間にはならなかっただろうから仕方ないな。
……ネイビーシールズは?
ロボシャークがついに電脳を駆使してTwitterを始めるようになってから物語は佳境に入る。
DMで絵文字を送りながらやり取りする女子高生とロボシャークのE.T.のような友情が育まれたと思いきや、蛮族集団の奇襲により台無しになったり、何でもありのハイスピードな展開になっていく。
正真正銘のクソ映画だ。
でも、たいていのサメ映画が日常生活に支障が出るレベルの馬鹿だとしたら、この作品はおバカタレントとしてみんなから愛される程度のバカだ。
テンポはいいし、短いし、ツッコミを入れながら観るにはぴったりなので、サメ映画初心者なら時間があり余っている今の期間に挑戦してみるのもいいじゃないでしょうか。
普通にネイビーシールズのいい作品が観たかったら、ローン・サバイバーとか観た方がいいとは思いますが……。
見所:スタバのダイレクトマーケティングを随所に挟むが、スポンサーについてもらえるはずもなく、スタバもどきのよくわからない宇宙人みたいな看板のカフェが爆破されるシーン。
可愛くて可哀想なので、ちょっとしか映らないけれどよく見てあげよう。
追記:どうでもいいけど、やたらと核を打ちたがる海兵隊員は、博士の異常な愛情に影響を受けたそうだ。
怒っていいぞ、キューブリック。
※ヘッダーの画像は@2015 BUFO Ltd. and Supercollider Productions Inc.に寄ります。
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