Dig Ki/oon -Sleep-(Selector : リーガルリリー)

(インタビュー・テキスト 齊藤綾乃)


来年2022年4月にレーベル創立30周年を迎えるKi/oon Music(キューンミュージック)。今年の4月より、設けたテーマに沿ったプレイリストを1年間に渡り編成していきます。
11月のテーマは、Sleep。夜に聴きたい曲ってありますよね。部屋でひとりベッドの中で思いを巡らせながら、寂しい夜もあるし、楽しい夜もある。そんな夜たちに寄り添うプレイリストをレーベル所属アーティストとともに選曲。

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Dig Ki/oon -Sleep-
Pick Upアーティスト:リーガルリリー(たかはしほのか、ゆきやま、海)
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今回は、独特な詩世界と衝動的なライブパフォーマンスを武器に、異彩を放ち続ける3人組ロックバンド・リーガルリリーから、たかはしほのか(Vo, Gt)、ゆきやま(Dr.)、海(Ba.)のメンバー全員が選曲会に参加。眠りをテーマにした新曲「アルケミラ」の他に、レーベルメイトでもあるASIAN KUNG-FU GENERATION、KANA-BOON、PELICAN FANCLUBなどの話も。盛りだくさんでお届けします。

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ーー早速ですが、夜に眠る時に聴いて欲しいリーガルリリーの楽曲を教えてください。

たかはし:11月にリリースしたシングル曲「アルケミラ」は、夜にぴったりです。
私自身も夜寝る前につい口ずさんでいます。確か、楽曲自体も深夜に生まれました。

ゆきやま:夜中に「自分へのララバイだよー」って送ってくれたよね。

海:あとは1st Album「bedtime story」に入っている「子守唄のセットリスト」も夜に聴いてほしいです。歌詞の中にも夜明けや街灯という言葉も登場するし、夜の曲だなぁって。
曲調もスローテンポなので、眠る前にぴったりですね。
優しい曲なのでゆっくり寝れると思います。

ゆきやま:「bedtime story」って曲もいいですよ。
リーガルリリーって、夜の雰囲気が似合う曲が多くて。その中でも「bedtime story」は、夜の中に閉じ込められてしまう力が凄いなと感じますね。
夜が好きになれる曲でもあるかな。

ーー1st Album「bedtime story」のタイトルは、「夜眠る時に読み聞かせるおとぎ話」という意味がありますよね。夜を意識して作りましたか?

たかはし:そうですね!このアルバムを制作した時は、合宿に行ってレコーディングしました。もちろん夜はみんなで過ごして、おやすみなさいっていう空間でした。
だからそんな夜の雰囲気が音にも入ったんじゃないかな。

海:「bedtime story」はレコーディングの様子が思い出深い曲です。スタジオの電気を消して、真っ暗な部屋で3人で一緒に録りました。エンジニアさんがたまたま持っていた小さなランタンを灯してみたんです。その時の非日常な独特の空気感が、曲の中に入っていると思います。ゆきやまが言っていた、夜の中に閉じ込められる感覚じゃないかな。

ーー話は少し変わりますが、寝る前のナイトルーティーンはありますか?

海 : 飼っている金魚を見つめています。
オレンジ色の常夜灯をつけると、金魚の尾びれがヒラヒラしている様子が壁に映るんですよ。その光景が大好きで「おやすみ」って言ってから眠りにつきます。

ゆきやま・たかはし : いいな!素敵!!

ゆきやま: 私は寝る前は、非現実を味わえるような芸術作品に触れるようにします。音楽はもちろん、映画や本でもなんでも嗜みますね。

たかはし:私はベッドに入る1時間前には、必ずお風呂に入る様にしています。そうすると、一瞬で眠れるんですよ。
湯船ではハイテンションになれるような音楽を聴くこともあります。

ー夜寝る時に聴く曲ってどんな雰囲気の楽曲が合うと思いますか?

ゆきやま:ピアノとかいいですよね。
私の場合は、寝る前に聴く曲にもステップがあるんですよ。
例えば、帰宅中はノリノリなアッパーの曲を聴きます。
自宅に着いたら、あんまり歌詞とかテンポで刺激してこない曲に切り替える。だんだんと、ピアノやアコースティックギターの曲にしていって、最後に眠るみたいな感じです。

海:ビート感がしっかりない曲の方が、夜には合うなぁと私も思っています。
リラックスしたい時はharuka nakamuraさんの「アイル」という曲がお気に入りです。読書から睡眠時まで最適!おすすめです。
またharuka nakamuraさんが選ぶプレイリストが素敵で、夜よく聴いていますね。

たかはし:ピアノがいいですね。特にフジコ・ヘミングさんが大好きです。
好きすぎて真剣に聴き入ってしまって逆に寝れない時もあるので、今日はうとうと寝たい気分って時にBGMで流すことが多いです。
あとは私はゲームが好きなんで、ゲームサウンドを聴くと安心しますね。
それでいうと、いしわたり淳治 & 砂原良徳 + やくしまるえつこの「神様のいうとおり」っていう曲は、不思議な雰囲気で落ち着きます。

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ーーKi/oon Musicに所属するアーティストで、夜眠る時に聴きたい楽曲を教えて下さい。

海 : ASIAN KUNG-FU GENERATIONの「鎌倉グッドバイ」は寝る時に合います。
この楽曲が入っているアルバム「サーフ ブンガク カマクラ」が好きで、お出かけするときもよく聴くんです。帰り道は絶対「鎌倉グッドバイ」で締めますね。
やっぱり、グッバイっていうくらいだから夜に聴きたい。

ゆきやま: ASIAN KUNG-FU GENERATIONで言うと「アフターダーク」もいいですよ。
夜の帰り道に自転車に乗りながら聴くのが好きで。歌詞でも夜風って出てくるんですけど、このサビを聴くと「いい風だなぁ!」って素敵な気分で帰れます。
あとは電気グルーヴの「Shangri-La」ですね。「夢でKISS KISS KISS!」とか浮かれてるなぁってご機嫌になります。当時のさわやかな雰囲気の曲を令和で聴くっていうのがいいですよね。
眠る時というよりはベッドに入る前に聴けば、いい夜が迎えられるって感じですかね。

たかはし:あー最高だね!
私はチャットモンチーの「染まるよ」が好きです。ゆっくりめのテンポと包み込むような優しい声がマッチして、夜に合う心地いい曲ですよね。高校生の時は、よく聴きながら寝ました。
あとはこの楽曲の歌詞が凄いんですよ。特にお気に入りなフレーズが「あなたのくれた言葉正しくて色褪せない でも もう いら ない」ってところ。
なんでこんな素敵な歌詞思いついたんだーーっ!!ってテンション上がります。

私夜寝る前は、言葉が頭の中を埋め尽くすんですよね。でも「染まるよ」みたいにいい歌詞の曲を聴いたときには、自分の雑念を歌詞がすべて吸い込んでくれる感覚になります。

ゆきやま:「染まるよ」は好きで、私も夜寝る前には聴きます!
この楽曲をよく聴いていた高校生の時は、素朴な音ってあまり得意ではなかったんです。でもなぜかこの素朴さがすっと馴染んで、心に寄り添ってくれたなぁって思いますね。

ーーみんなチャットモンチーに思い入れがあるんですね!ライブは行ったことありますか?

海:ラストライブをステージ裏から拝見しました!
今まで歩んでいたものを終わらせる瞬間に立ち会っているんだなと感動しました。
それと同時に、チャットモンチーの皆さんの後ろ姿を見ていると身近な存在になったような不思議な感覚でした。胸がソワソワしたのを今でも覚えています。

ゆきやま:そうですね。終わるってこういうことなんだよなぁ...。そもそも終わることって本当にあるんだなぁと感傷的な気持ちになりましたね。

ーー貴重な体験ですね。チャットモンチーといえば「橋本絵莉子波多野裕文」のアルバムなどもリリースしていますよね!

たかはし:リリースされてからすぐ聴きました。
もともとチャットモンチーとPeople In The Boxがすごい好きでした!理由は分からないのですが、アルバムが出る前から2人にはどこか共通点を感じていて。だからデュオを組んだ時は嬉しかったですね。
中でも「トークトーク」はお気に入りの曲です。夜にも合いますし。

ゆきやま : わかる!アコースティックのサウンドとお二人の柔らかい声が素敵だよね。
この2人からしか得られない浮遊感を感じられる気がして。なので1st Album「橋本絵莉子波多野裕文」は寝る時に聴いていました。とても気持ちいいんですよ。


ーー他のアーティストの楽曲で、夜聴くのにおすすめの楽曲はありますか?

海:KANA-BOONの「MUSiC」が好きです!
正直初めて聞いた時は、あまり馴染みのない不思議な曲だと思ったんです。でも何度も聴くうちに、この曲でしか得られない快感に気がついて。
高校時代によく聴いた思い入れのある曲で、自宅付近の少し寂れた商店街を歩いて帰る道で流していました。外灯がついたり消えたりって歌詞も、その時の光景を思い出させてくれますね。

そういえば、実際にライブでKANA-BOONのみなさんにお会いした時は、緊張しすぎて挨拶しかできなかったなぁ。後日ボーカルの鮪さんが、美味しいチーズケーキを差し入れに持ってきてくださったんです。こんなに優しい人いるんだなと思いましたね。

ゆきやま :鮪さんがいつも優しく話しかけてくださるんですよ。
私たちはいつもカチカチになってるんですけど、緊張を解してくれます。

たかはし : KANA-BOONといえば「眠れぬ森の君のため」は印象深いです。
聴いた時、初めて自分で歌いたいって思った曲ですね!
ギターのサウンドが本当にカッコ良くて。ギターなんてうまくなかったのにtab譜を買って、弾き語りしていました。その動画をYouTubeに配信してみたんですよね。
無名だったのにも関わらず300回以上も再生されてしまい、「どうしよう!訴えられる!」って慌てて消しましたけど(笑)

海 :「眠れぬ森の君のため」が収録されているCDを買うと、特典で缶バッジがついて来たんですよね。
私もこの楽曲が大好きだったので、自分たちのCDにも特典で缶バッジをつけることに憧れていたんです。
実は今回リリースした「アルケミラ」でその夢が叶ったんですよね!
購入してくれた人がこっそりリュックに缶バッジをつけてくれたら、とても嬉しいな。

ーー夢が叶ってよかったですね!他には夜に聴いて記憶に残っている曲やエピソードはありますか?

海 : PELICAN FANCLUBの「Night Diver」は、記憶に強く残っています!
リーガルリリーの遠征ライブの時に現地で一泊せずに、夜中車で東京に帰ってくることがよくあって。その時にマネージャーが「Night Diver」と「ハイネ」を永遠に流してたんです。なので当時は、夜中に帰ることを「ナイトダイバーするよ!」なんて言ってましたね(笑)
その影響で、夜と眠りといえばPELICAN FANCLUBです!

たかはし :私も「ハイネ」が大好きで、PELICAN FANCLUBは尊敬するアーティストの1人です。
高校生の時によく聴いていたので、同じレーベルに所属できて嬉しいですね。
どの楽曲もPELICAN FANCLUBならではの特色が凄まじくて。彼らにしか紡ぎ出せない音だなぁと思います。


ーーSleepのようなテーマ性を持った楽曲を作る時に、ルーツになっているようなアーティストはいますか?

たかはし:​​The Beatlesですかね。
「アルケミラ」のサビのメロディの上がり方や、滑らかに綺麗な曲線を描いているようなコーラスはThe Beatlesの「Getting Better」の影響を受けています。

海 : くるりのカバーをした楽曲「ばらの花」のコーラスに呼吸音が入っているんですけど、最初は不安でした。でもThe Beatlesの「Girl」にも同じように呼吸音が入っていたので、やってもいいんだ!って自信になりました。
これからのリーガルリリーにとって、コーラスは大事になっていくのかなぁって感じがしています。

ゆきやま :くるりは私のルーツでもあります。
高校生の時にアルバム「図鑑」をよく聴いていました。
以前くるりの岸田さんが「景色が見える曲が好き」って発言をしているインタビュー記事を読んで、感銘を受けました。だから私がドラムの音を作る時も、ほのかが持っている景色を再現すればいいんだ!って思ったんですよね。こういう音にしてという具体的な指示ではなく、書いた時のストーリーを共有してくれるので。

たかはし:書いた時の雰囲気を伝えると、個々が持ついいところが集まるので自然と私たちらしい曲になりますね。


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Ki/oon Musicでは毎月月末にプレイリスト”Dig Ki/oon”を公開していきます。今月は3つのプレイリストを公開中。

Dig Ki/oon -Sleep-
Pick Upアーティスト:リーガルリリー​​

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