見出し画像

「だれのための仕事」読書メモ

はたらかないで、たらふく食べたい」とか「働くことがイヤな人のための本」とか「ブルシットジョブ」とか、別にそんなに仕事が嫌いというわけではないのですが、この手の仕事論の本が好きです。

働くのが嫌、とかではないのですが、「嫌な仕事はやりたくない」という気持ちが強く、そうこうしていると「仕事の意味とは?」「お金とは?」「資本主義とは?」「生きるとは?」しまいには、どうせ地球も宇宙もいずれなくなるのだからどうでもいいじゃーん、みたいにどんどん拗らせる方向に向かっていきます。

その一環で手に取った本です。哲学者の方の本ということもあり、途中読みにくかったです。小難しいなあ、、、と。でも、「仕事の99%は嫌なことで、でも残りの1%の先に自分の成長ややりたかったことが、、、、」みたいな自己啓発本は途中でアレルギー反応が出てやめてしまいましたが、これは最後までなんとか読みました。

成年のあいだは未来のために働き、老後は過去によっかかって生きる。どちらにも、「現在」の充実というものはない。働いていても、働かなくなっても、どちらの場合も、生が輝いていないと、当事者はこころのどこかで感じている。

思い当たる人も多いのではないでしょうか。「生が輝いていない」刺さります、、、WBCで感動しました、まさに全員の「生が輝いて」いました、素晴らしい。

人間の活動というものは価値を生み出すべきものなのであるから、より多くのものをより速く、より効率的に産出していかねばならないという、資本主義のエートスの基底にある思考法。

産業革命と資本主義から成る近代社会では、やはりこの考えが根底にあり、今の仕事でもこの考えは根底にあるのでしょう。生産性アップ、リスキリングをして、より効率的に価値を生み出していこう。と。

価値ってなんだっけ?その先には?不安だから働く?これだけ豊かな国になっても、不安で働き続けなければならない、、何かがおかしい気もしますが、それをどうしたら良いのかもさっぱりわからない。

時間を無駄に使用することをひとつの損失として意識させるような一種強迫的な心性が発生する。時間の空白は埋まられなければならない、しかも意味と価値のあるものによって、という西欧社会にある神経症的な意識。

タイパですね。スケジュールが無いと不安になる人が多いとも聞きます。20代の頃は僕もスケジュール埋めたかったし、日経アソシエみたいな雑誌の管理術とかいろいろやったなあ、、、そこから15年以上経った今、スケジュールはグーグルカレンダーで、固定で入っているのは週2のジムのヨガ、、、

快適さや豊かさをもとめていた人々が、いまではただ快適さや豊かであるということ、そのこと自体に、かすかな疑問をおぼえはじめている。「自己開発をすることもできず、また、人間の生産的活動とも関係なしに、ただ豊かでありさえすれば、それでわれわれはしあわせなのだろうか」

人間というのはやっかいなもので「ただ生きている」ということができない存在だからだ。生きていることに、そしてじぶんがここにいることに、理由や意味を必要とするのが人間だ。

その辺のネコを見ると、そんなめんどくさいことは考えずに日々くつろいでいるようにみえます。一方で、そんなめんどくさいことを考えることが人間の魅力でもあるような、、

希望のない人生というのはたぶんありえない。そして希望には、遂げるか、潰えるかの二者択一ではない。希望には編みなおすという途もある。

プロ野球選手になる!と夢があっても、無理そうだ、となり、途中であきらめる、というのではなく、編みなおす、というのは良いですね。

最近好きな考えは「川の流れに身を任せ、流れ着いた先で適応する」なのですが、「編みなおす」というのも近しいような感じです。

自分で切り開くほど頑張れない、そもそも明確な目標や夢もない、割とくつろいでいたいだけ、かといって何もせずに、考えずに日々過ごす、ではなく(そうするといずれくつろげなくなるのが分かるから)、流れには身を任せるけど、その流れの先ではちゃんと適応できるように日々努力?をする。これが今の生存戦略です。

たえず自分の希望を編み直し、気を取り直して、別の道をさぐってゆくというのが人生というものなのだろう。

まさに。

この本でも労働に対しての余暇、仕事に対しての遊び、などについていろいろ書かれていましたが、その辺とは違う部分が気になってました。

ただ、仕事が楽しい!充実している人はもちろんそのままで良いのでしょうが、仕事が嫌で(サザエさん症候群があって)、余暇も体を休めるだけとか、労働のためのエネルギーチャージ、になっちゃっている人は、どこかで考えや、行動を見つめ直す必要があるのだろう、とも感じます。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?