フクラスズメ

カラムシが裸になるまで
葉を喰いつくし
近づけば草むらが揺れるまでからだを震わせ威嚇する
赤いヘルメットのような頭部と
色彩感覚のない黒地のからだの虫は
大量に発生し 隙間だらけの家を横断し
忽然と姿を消す

気味の悪い虫のその後の消息を尋ねるものは何処にもいない
蛾は土中に潜り蛹になりおそらく冬を越し
ある日 地上へ羽化する
そして
誰も住まなくなった廃屋の屋内の
柱にとまったフクラスズメという名の我は
俺に出会う

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