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時鳥
突然頭上を飛びこえてゆく鳥はおかえりと啼く
枝にひろがる黄緑色の葉叢はふたたび染まる布切れが歩いて来たことをよろこぶ樹海にすむ透明な時鳥は
声しかしらないうぶな男が懐かしい
験をあけるまえに光は頬を照らし
ふりむくまえに風は背中を撫でる
最初に声をかけてくるのは
いつも世界からで
ねぼけたぼくは
やぁ どうも はい わかりません と相槌を打つ
そしていくつかの質問をして
答えをもらえず
それではまた明日と声をかけても
その返事をぼくが聞くことはない
夢を見るまえに飴色の深い空は手をつかみ
思いだすまえに鳥は肩にとけてゆく
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