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野蒜

その草の名を忘れていた
2文字か 3文字だった
ネギやニラに良くにて
群れて生える道ばたの美しい曲線の
その名を

歩きながら
浮かび上がる 「ム」 という音に捕われる
ムクゲ ムグではない
フキでもない
ヌタにして食べる
摘んで匂えば強い香りの
その名の草

猫が待つ家への帰路に
その名に近づきつつあることを
その庭の土に足が触れる瞬間に思い出すだろうことを
予感している

そう
記憶は庭に埋まっていた
その草の名はノビル
野蒜の焼きそば食べたい

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