note見出し写真

これからの学校のあり方とは? 【Vol.1】

はじめに

私はAO入試での自身の研究テーマを深めるために2019年7月に4回にわたって品田健先生にインタビューを行いました。インタビューをしていくうちに「これ活字にしてみらた面白いんじゃない?!」と受験期のころから思うようになりました。今回は、私の聖徳学園高等学校卒業に向けた活動の一つとして、4回のインタビュー全てを文字に起こしてnoteに投稿していきたいと思います。なお、元々こういった形にする予定でインタビューを行っていませんので、内容がごちゃごちゃしているかもしれません。あらかじめご了承ください。

新しい高校のあり方

石井:N高のような高校を積極的に選ぶ人が増えているのはなぜなのでしょうか?

品田先生:一般的な学校での授業は、クラスのレベルの真ん中あたりに合わせて行われているものが多いと思います。そうなると、わかっていることの授業をずっと聞いていなくてはいけない人が出てきます。今まではそれでも授業は聞くものだというのが常識でした。
でも、学習動画や個別学習に適応したアプリやサービスが登場してくると「あれ僕、それは6時間じゃなくて3時間あれば習得出来ちゃうと思うんだけど」ということに気がつく人が増えてきたのも理由だと思います。そして、余った時間で自分の好きなこと、例えばボランティア活動とか、専門的にやっているスポーツとか、あるいは不得意な科目を極めるとか、そんなふうに時間の使い方を自由に自分で決められることを大きなメリットだと感じる人が増えたのだと考えています。

全日制普通科高校はどうするの?

石井:となると普通科の高校でもそんな感じになる必要があると考えていますか?

品田先生:もちろんいわゆる普通の高校でも必要はあると考えています。普通科の高校はちょっと危機感を持った方がいいくらいに思っています。
私が理想としているのは、例えば午前中にPBLやCBLのような、みんながその場に集まってやるからこそ意味がある授業を行う。物作り、ディスカッションや音楽とか体育とか、みんながそこに集まってやる意味があるものをやればいい。いずれにしても、全員が必ず参加する授業の割合は絞っていくべきだと考えています。


そして午後は午前での活動に必要な知識を備えるような時間にする。映像授業でいい人は、それで学べばいいから学校にいなくてもいいし、先生から直接教わりたい人は、教室で先生に教えてもらう。真の意味での「アダプティブラーニング」ってのはそのような「学習者本位」の環境だと考えています。もちろん、映像授業だとモチベーションが出ないとか、怠けてしまう人はいるでしょう。そういう人をコーチングできる人は必要です。常に寄り添わなくても学べる生徒はそれでいいし、誰かが寄り添う必要があるならば、それが得意な人がサポートする。とにかく生徒が自分に合った方法で必要な知識を習得できる環境が理想ですね。

部活動も変わる

石井:そうすると部活動とかも変わっていく感じですか?

品田先生:そうですね。イメージとしては午後は学校を開放するといった感じでしょうか。例えば、今までのような顧問の先生が指導するという形を無くして、クラブチームのコーチとして先生は登録する。もちろんそこには外部の人もコーチとして登録できるようにする。クラブ指導をしたい先生は登録してコーチとして活動してもらい、他のことをやりたい先生はクラブの指導は外れることができる。学外から専門的なコーチを招くことも可能になると思います。こんな感じにしていくと問題になってくるのは学費でしょう。午前はみんな学校で活動するけれど、午後は人によってそれぞれ違う。もし、本当に私の理想を実現しようとすれば、学費も生徒によって大きく変わる可能性がありますし、教員の働き方も変わるので、給与体系も今とは大きく変える必要があります。

教員の働き方改革

石井:そうすると先生の働き方が大きく変わりそうな感じがしますね!

品田先生:その通りです。午後は生徒も先生も自分に合った活動をする。もっと言えば、例えば先生は午前中働いた分だけはまずもらえる。でも午後は先生によってやることが異なるので、それぞれに応じて給料が支払われるみたいな体系です。A先生はサッカーが好きなので午後はサッカークラブのコーチとして活動して、その分の給与を受け取る。一方でB先生はもっと勉強したいので、午後は大学院に通うからその分の給与はもらえなくなるけれど、仕事は続けながら大学院にも通うことができる。そうなると教員の「リカレント教育」も進んでいくかなと考えています。

やっかいな学習指導要領…

品田先生:こういうことをしようとすると邪魔になってくるのが「学習指導要領」をはじめとした決まりの部分なんです。例えば、生徒は高校卒業のためには決められた単位を習得しなくてはいけない。この学びには必ずこれだけの時間をかけなければいけないという考え方ですよね。でも最初にお話したように、理解のスピードは異なるので、個別学習が最適化すれば必ずしも時間数にこだわる必要はありません。一定の基準を理解できていれば単位習得できるとするのが本来だと思うのです。真の意味での「アダプティブラーニング」というのはそういうことだと思うんですけどね…。時間数をこなすのではなく、内容の習得で認定するようになれば、学校での時間の使い方ももっとフレキシブルに出来ると考えています。

N高って…

石井:ところで、N高とかってあんまり世間一般では話題にならなくないですか?

品田先生:どうしてもそういう新しい価値観を受け入れたくないといういう大人がいるのは事実ですよね。自分はこうやって成功してきたのに、そんな新しい形で学べるの? そんなのはおかしい! みたいに考える人も少なくない。自分が経験したことのないものはなかなかその価値を認められないのでしょう。

学校は修行の場?

品田先生:それから派生しますが、学校は「修行」の場であると考えている人が多いのではないでしょうか? 修行的な要素はあるでしょうが、本来は学校は修行の場ではありません。でも、何か修行のように「苦労すべき」という思い込みはありませんか?具体的には、先生がICTとか使わないでちゃんと板書して、生徒はそれをきちんと手書きでノートに写すべしみたいな。そこに大きな意味があるんだー!って感じ。年齢とか段階によりますけれど、本当はPDFなどで配信すればいいようなものも、そんな楽してはダメみたいな感じ。「学びの効率化」はなんかズルしていると思われることさえあります。

大人の都合…

品田先生:私は別に夏場とかは制服のズボンの上にT-シャツ1枚とかでもいいと思うんですよね。制服はあってもいいけれど、気候に合わせてもっと調節可能にしてあげた方がいいでしょ。だけど、学校は修行の場所だから、暑い寒いも我慢するんだ、決まりなんだから何月何日まではどんなに暑くてもこの上着を着なさい、なんて学校もまだありますよね。決して生徒は楽してはいけないみたいな考え方があります。そういった部分でもなんか「ユーザーファースト感」がなくて「学習者本位」ではないなと感じます。

結局大人の都合で決められていることが多いのです。そういう修行の場と捉えられているから、もう内容はわかっていたとしても一斉講義型の授業に参加するのは絶対に意味があるみたいになってしまうのではないでしょうか。自分は分かってる授業内容でもしっかりと最後まで我慢して聞くのが大切なんだと。それってホントかよ?って思うんですけどね笑。ICTをやっている先生でも知識を入れる時は一斉講義型がいいという人もいます。場面や内容によっては一斉講義型がベストな形のこともあるでしょう。でも、それって先生、教え手はいいと思っていても、本当に生徒、学び手がみんなそう思っているとは限らない。結局そこも大人の都合なんですよね…。

主体的で対話的な学び

石井:でも最近は多くの学校で「主体的で対話的な学び」が大切にされてきてますよね。

品田先生:そういう動きが色んなことろでみられます。良い流れだとは思います。ただ、いくら改革案とか出されても、現場が変わらないと意味がありません。例えるなら、自治体や法人からの命令でiPad導入したけれど、現場の先生は使い方とか使う目的を理解していないから、結局活用されないみたいなことはいくらでもありますよね。

特殊な組織、学校。

品田先生学校は特殊な組織ですよね。仮に定年が65歳だとすると、22歳から65歳までが「同僚」になりうる組織です。企業だと、一生平社員でいることを目指している人はなかなかいないと思います。でも、学校の場合は一生現場で、つまり担任とか授業を定年までやっていたいという先生は多いのです。だから、誰も授業を離れる管理職にはなりたいなんて思ってないんです。一生現場が先生にとっては幸せで、管理職になるとむしろかわいそうですねって言われるような特殊な環境です。私立は管理職になっても授業を持たせてもらえることがありますが、いずれにしても「将来は校長になる」と思って教員になる人は少なくとも今まではほとんどいなかったと思います。学校での管理職への出世はプラスのインセンティブや価値が先生方にとってみればないのでしょうね。だからなのか、企業よりも管理職に対して敬意が少ないという話も聞きます…。

また、公立だと異動があるから本当は学校改革取り組まなくてはならないけれど、異動まで3年我慢すればいいやとなってしまうこともあるようです。だから「どうやったら一つのビジョンに向かって組織を変えていけるのか」というのを教員も知る必要があると思います。

教員になる学生が大学で学ぶこと

石井:教員になる学生が大学で学ぶことって具体的に何ですか?

品田先生:いろいろありますが、実は専門的な知識を学ぶことが大半。私は国語科だったので文学や国語学の授業が多くて文学部みたいでしたよ。意外と授業をどう教えていくかという教授法等の時間は多くはありません。私が学んだ頃に比べればだいぶ変わったとは思いますけどね。そういえば、管理職になった時を想定しての授業とかはなかったな笑。

大学ではICT活用を学ぶのか?

石井:ICTの活用の仕方を教える大学はありますか?

品田先生:大学もようやく動き出した印象です。私自身も大学で学生に向けてICTをテーマに講義をお願いされるようになりました。でも、小学校でプログラミング必修化になるけれど、そこら辺は十分にカバーできていないのが現実ですね…。他にもメンチメータ、QuizletやGoogleフォームなどの新しいツールをどう授業で効果的に活用するとかは、まだ大学の授業では多くないと思います。都留文科大学の野中先生や玉川大学の小酒井先生のように、ゼミ単位とかでは取り組んでいらっしゃるところもありますね。問題なのはそういうのを教えられる教授、指導者がまだまだ少ないところですよね。大学の指導者でもそうした新しい学びを現場で指導したことがない方がほとんどでしょう。だから「iTeachers Academy」みたいなのが必要なのかなと考えています。

先生は自身の成功体験に基づいて授業?!

品田先生:先生たちは自分の成功体験に基づいて授業をしていることが少なくありません…  【Vol.2】に続く

よろしければサポートお願いいたします。もしサポート頂ければ私自身のボランティア活動をより充実させるために使わせて頂きます。