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余裕

夕方五時半、アイスクリームを買いにドラッグストアに立ち寄った。その時間は多くのスーパーマーケットは食材を求める人で混雑しているし、実はドラッグストアの方が安価なことがあるのだ。今日のチョコモナカジャンボもそうだった。

子供のころは、スーパーで母が渡してくれた百円で、如何に駄菓子を満喫するかということを喜んで悩んでいたものだった。(そして優柔不断な私は毎度決断をせかされるのであった。)只、今にして思い返すと、ドラッグストアではそういった思い出はない。それでもお菓子は、見ると欲しくなるもので、レジ近くに設置してあるお菓子の棚では、スパイの様な心持であった。

此の箱を、溢れそうな程のカゴに忍ばせれば、母は気づかずに精算してくれるかな。スキャンの流れに無理やり押し込めば、渋々と金を払ってくれるかな。然しミッションの遂行を見られたらコラッと叫ぶかもしれないな、怖いな。…と逡巡すると、タイムリミットになっていた。もしかして今入れたら店員さんは慌てて読み取ってくれるかな。それでも怒られるのは怖いからもう一回考えよう、としていると店員は、ありがとうございました、と私を追い払うのであった。

あの頃、ドラッグストアに在ったブドウ味のガムが一際欲しくなっていたものだ。将来買おうと誓って居たのを思い出し、記憶を頼りにどんなガムだったかを検索してみる。其れは「バブリシャス」というガムでどうやら現在は販売終了してしまったようだ。製造会社は現在、クロレッツを販売しているそうだ。

今日、レジ下のガム類を覗いてみると、健康機能をウリにしているものが多く並んでいた。あの時のようにキラキラしたパッケージがなくなって、実用性を持ち掛けているのに露骨さと、そうせねばならない企業の余裕のなさに侘しくなった。

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