【行政処分勧告】「広告」に際しての留意点

まずは、ご案内から

コンプライアンス体制向上のサポートとして、
「投資運用業」に特化した社内規程

詳細は次のページからご確認いただけます。
 ⇒ http://kinyutorihiki.com/touroku/

さて、3月3日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、投資助言業者2社を行政処分するよう勧告しました。

今回の事案で問題となったのは「広告」でした。

(以下、証券取引等監視委員会公表文書から一部抜粋・加筆)

●事実関係(概要)

1.投資助言業者(以下、「当社」)は、広告に関する業務を他社に委託(以下、「委託先」)
2.委託先は、当社の助言実績等に関する記事を作成し、多数の投資助言業者等を評価・比較する記事等を掲載している複数のウェブサイトに掲載した。

以上の行為に対し、証券取引等監視委員会が当社を検査したところ、次の事実が認められた。

■助言実績に関して著しく事実に相違する表示

委託先は、実際には、当社の投資助言の実績がないものについても、当社が助言を行った実績がある旨の広告記事を掲載していた。

■助言実績に関して著しく人を誤認させるような表示

当社は、実際には委託先が当社の助言実績を正確に反映することなく作成した広告記事であることを認識していたものの、あたかも第三者によって投稿されたかのような外観を装った記事として掲載させていた。

当社は、委託先に対して、広告手段・内容等について何ら指定することなく、集客を最優先として広告に関する業務を委託し、また、委託先が作成した広告により、大きな集客効果が得られていることを認識していながら、委託先における広告手段・内容等の確認を行っていなかった。

(以上、証券取引等監視委員会公表文書から一部抜粋・加筆)

これらの事実が、

「著しく事実に相違する表示又は著しく人を誤認させるような表示のある広告をする行為等」

に当たると判断されました。

金融商品を勧誘・販売するにあたっては、収益を高く見積もることや他に比べ有利に見せかけることなどがありがちなことから、

○広告を行う際には、広告中に法定の記載事項を表示しなければならない(金融商品取引法第37条第1項)。

○著しく事実に相違する表示をしたり、著しく人を誤認させるような表示をしてはならない(金融商品取引法第37条第2項)。

と、厳しく規制され、
さらに、金融商品取引業等に関する内閣府令第117条第1項第2号において、次の行為が禁止されています。

○金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、虚偽の表示をする行為
○金融商品取引契約の締結の勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

では、これらの行為を防止するにはどうすればいいのでしょうか?

1.社内規程を策定し、広告の定義や管理・審査体制等について明確にする。
2.社内研修を実施し、上記1.の内容を役職員に周知・徹底する。
3.広告審査担当者を設置し、本担当者による承認を経なければ、広告を行わないといった厳格な運用を行う。

上記1.~3.の体制が整ってはじめて、当局の求める広告対応のレベルといえます。

これらの体制が構築できていないと、金融庁から
・業務改善命令
・業務停止命令
・登録取消
という行政処分を受けることになってしまいます。

行政処分や指摘を受けるのは、
「収益を高く見積もってやろう」
とか
「他社に比べ有利に見せかけてやろう」
といった、「故意」の行為に限られず、
「過失(ミス)」に起因する行為であっても、処分を受けてしまうこともありますので、注意が必要です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?