シアトルに子連れで出張してイベントで発表してきた話
うちの長男5歳は、歩くときやたらぴょんぴょん飛び跳ねながら歩く。今年の11月、そんな長男を連れてシアトルに出張に行き、一緒にシアトルの街を歩き、イベントで登壇発表してきた。なんか大変だけど楽しかったので、そのときの備忘録を残しておこうと思う。
出張のきっかけ
今年の夏、IPFS Camp というイベントで話をする機会があった。ほとんど知り合いのいないぼっち参加だったが、トピック的には P2P、ブロックチェーン、分散DHTやそのビジネスの話など変な(面白い)話が多く、私の少ない社交パワーをかき集めていろいろ議論してきた。
その発表について tweet したところ、今度は CascadiaJS というイベントのオーガナイザから「面白いね!その内容でこっちのイベントにも申し込んでみない?」というお誘いが来た。場所はシアトル、時期は 11 月。この人とももちろん別に面識はない。
最初「お、おう…?」と思ったが、会社の人の勧めもあって CFP に応募してみたところ、ありがたく招待してもらえることになった。これが今回の出張のきっかけである。
出張の予定を立てる
そういうわけでシアトル出張の予定を立てることになった。シアトルには知り合いや同僚も多く、シアトル自体も魅力的なところ。そしてこのイベント、招待してもらう場合はホテル・飛行機・参加チケットなど全部イベント持ちになる。行かない理由がない。
…しかし今回はちょっと事情がややこしかった。このイベントは 11 月第一週だが、第二週前半にはカリフォルニアで別のイベントがあり、さらに第三週にはシンガポールで IETF があった。つまり普通に行くと3週間ぶっ続けで出張になってしまう。
無理かと言われると無理ではないけど、でもちょっと嫌だなと思った。家族の負担も大きい。あと私も寂しい。うーんつまり無理か…
でも申し込んだときに1つ考えてたことがあった。CFP に Child Care つまり託児の質問があったのだ。これ使えばいいんじゃない? 子供2人連れはちょっと辛そうだが例えば1人だけなら。すると第一週は夫と私どちらも子供1人ずつ見ればよくなり、経験上だいぶ負担が少なくなる。
私は主催者の人にメールを出した。Child Care、使えるなら使いたいんだけど本当に提供されますか? と。予算や調整が難しかったら遠慮なく教えて下さいと書き添えて。
家族連れの出張について
私は実は家族連れの出張はけっこう良くやっている。アメリカにも2回くらい連れて行ったし、国内出張でもやった。こういう人は研究職や外資系ではある程度いると思うが、あまり情報が出回ってない気がするので少し書いておきたい。
家族連れの出張で一番やりやすいのは家族旅行と無理やりくっつけて全員で行くというやり方で、行き先に観光地があったり知り合い家族がいたりすると特にやりやすい。
今回は大人が自分だけなので、以下のような条件が満たされるかをまず考えた(何を優先するかで条件は変わると思う):
1. 子供を預ける先があること。
2. 旅行中の予定の柔軟さ。何かあったらすぐに予定を変えられること。
3. 行き先が割と都会で、車がなくても街歩きが楽しめる場所なこと。
4. 行き先が安全なこと。深夜以外なら子供と歩いても大丈夫なこと。
普通の出張ではこれを満たすのは意外と難しいが、今回のシアトル出張はほぼ揃うという滅多にないチャンスだった。
今回使わなかったが、シアトルでは Uber アプリで簡単に使える Jump Bike というレンタル自転車が街中にごろごろ置かれており、自転車での移動もかなり便利。
旅の準備
子連れ出張とはつまり子連れ旅行であり、情報も多く出回っているのでここでは詳細は割愛する。とりあえず5歳くらいの年齢であれば、飛行機を普通に取って、パスポートとVISA的なもの(アメリカならEsta)を準備すれば大体終わる。ホテルも大人2人くらい泊まれる部屋を取っていればあまり特別なことはない。これくらいの年齢だと良くも悪くも大人とあまり変わらない。
なお、うちは子供と旅行に行くときは大体 JetKids というキッズ用スーツケースを使っている。機動性にパラメータ全振りしたようなスーツケースで、子供が軽々と引くこともできるし、子供自体を上に乗っけて引くこともできる。
これのプロモビデオがなかなか良く出来ていて、最初見たとき「またまたー、現実はそんな風にならんでしょ!」って思ってたけど割とそのとおりに使えるのだった。オススメ。(あ、当方 JetKids とはなんの関係もありません…)
出発、そしてシアトル到着
さて、そういうわけで出発当日。いったん会社に行ってから保育園に長男を迎えに行き、一緒に空港に向かった。
アメリカ西海岸に夕方発の便で出ると同日の午前中につくので、私は機内では時差調整のために大体すぐに寝ることにしている。今回も長男は日本の夜中まで機内エンタテイメントを楽しみまくっていたようだが、私は横で概ね寝ていた。5歳ともなると機内ではほぼ放置でもあんまり問題ない。
約9時間の空の旅のあと、空港からホテルまでは疲れているので Uber で移動した。ホテルは Hyatt Regency Seattle。立地も便利だし、ホテル内に夜中まで開いているちょっとした飲み物や食事が買える場所があり、これにものすごく助けられた。
なお、移動には公共交通機関と Uber 半々くらいで使ったが、Uber はチャイルドシートを持ってないと断られることもあった(というか断る方が正しい、何人かの人にご指摘頂きました)。Uber 以外の交通手段を確認しておくか、mifold のような携帯できるシートを持ち歩くべし。
イベント:CascadiaJS
到着日の夜(一日が長くて辛い…)にまずスピーカーディナーがあり、寝てる長男の横で Slack や Twilio のエンジニアと話したりしたあと、翌日から本格的にイベントが始まった。場所は Town Hall Seattle というところで、ステンドグラスのある美しい建物だった。
このイベントのことは応募するまで全く知らなかったのだが、Tech 企業の多い地の利もあってスポンサーも充実しており、Child Care、Live captioning、Mentor mixer など参加者へのサポートも手厚かった。トークトピックやスピーカー選別も含め、全体的に多様性のあるコミュニティに強くフォーカスしていることが良くわかるイベントだった。
このあたりについてはこの記事 “More conferences should be like CascadiaJS (すべてのイベントは CascadiaJS のようになるべきだ)” によくまとまっている。
パックマンルールについてもこのイベントではじめて知った。(パックマンルール:輪を作って会話するときには、ほかの参加者が入れるようにパックマンの口みたいに必ずもう1人入れる余裕を作るというルール)
イベント中2日とも Child Care を使わせてもらったが、息子が英語ほとんど(というかまったく)喋れないのにすごく良くしてもらった。事情をいろいろ話したら2日目には年齢にあわせたおもちゃを沢山持ってきてくれて、アプリを使ってなんとか会話したりもしてくれた。心配したが息子も楽しかったらしい。本当に感謝しかない。
一方で、子供を連れているとやはり気合を入れたソーシャル・ネットワーキングの機会はやや制限される感じがあった。まあそういうトレードオフは当然ある。
私のトーク。聴衆にささる話なのかまったく自信がなかったが、あとで良かったと言いに来てくれた人たちが結構いて嬉しかった。
最後に全員で撮った写真。100%楽しんだかと言われるとわからないが、イベント設計側の思想が良くわかるいいイベントだった。
(イベント中の写真は Twitter などから少し頂きました)
シアトル観光
イベント以外のシアトル観光も楽しかったので少し記録しておく。観光と言っても私も長男も割とテンション低く、ホテルで仕事の合間に日常を楽しんだという感じだった。
イベントの食事以外は近所のラーメン屋さん(麺屋武蔵のシアトル版、割と美味しい)に行ったりカフェのテイクアウトで済ませたり、割と毎回適当に済ませた。長男はラーメン屋が気に入ったらしくしばらくその話をずっとしてた。ちなみに私はアメリカ出張ではだいたい一回は現地のラーメン屋に行くので完全に既定路線である。
また、ホテルから1ブロックくらい行ったところに本屋(Barnes & Noble)があって、ここが長男のお気に入りの場所になった。ほぼ毎日行ったと思う。
イベントのあとに一日だけオフの日を作ったが、朝から雨で長男は「部屋でごろごろしよう!」と部屋にいる気まんまんだったので、昼過ぎまで部屋でテレビを見ながらだらだらしてしまった。
それからなんとなく焦った気持ちになり、あわてて2人でマーケット・プレースまで歩いていき、いわゆる First Starbucks Coffee や水族館を観光したりした。別に大したことはしてないが、マーケットで買い食いしたりバスに乗ったり、シアトルは全体的に街歩きがいろいろ楽しかった。
なお、ワンオペ旅行は基本忙しいのであまりいい写真が残っていない。今回見返してみて、もっと撮れば良かったなあとちょっと後悔した。
終わりに
すごくいろいろ大変だった気がしたのだが、終わってみるとすごくさらーっと日常の延長をシアトルで過ごしてきたような感じの出張だった。昼間は仕事をして、帰ってくると家族とお喋りしながらややカオスな日常を過ごす。一人旅行や一人の出張も私は好きな方だが、子供とする出張はその日常感がすごく良かった。
私はまあこういう話がなんとなく身近にある感じの方がいいんじゃないかと思っていて、この文章もそう思って書いてるところが少しある。いろんな人がいて、いろんなイベントがあって、いろんな形の出張がある。
イベントなどで託児を準備される主催側の人は本当に大変だと思う。今回使わせて頂いて有り難さが身にしみた。この経験から私がなにか還元していけるかわからないけど、とりあえず主催側で関わるイベントや託児の個人スポンサーを受け付けているイベントがあれば、できることからやってみたいと思っている。
まあ、楽しかった。おしまい。
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