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第9章:自分たちでネットショップを作る

前回、デザイナーさんの話をきっかけに、金継ぎに出会った話を書きました。今回は仮説を元に、実際のビジネスを始めたお話です。販売できなければ意味がないため、手を動かしながらネットショップを作ってみました。

1. ネットショップの進化

ここ5年間の大きな変化として、ネットショップ型クラウドサービスの充実が挙げられます。よくCMで流れているBASEやSTORESなど、10年前よりも格段に扱いやすく、安く自前の店舗が持てるようになりました。ネットショップ型のECサイトは自分のお店を持つ感覚です。自由度が高い代わりに、集客を自身で行う覚悟が求められます。
とはいうものの、自前の固定店舗を持つことに比べたら、お金の桁が2つ違うくらい安くお店が持てます。
本当に良い時代になったものです。

一方、モール型と呼ばれるAmazon、楽天、eBayのようなサイトもあります。集客はモール側が行ってくれる代わりに集客手数料も必要ですし、何より自由にお店を作ることができません。

一般論として、説明不要の型番品はモール型で、私たちのように比較的高価で説明が必要な商品は、時間がかかってもネットショップ型で扱うのがよいと言われます。前回記載したように、この作品きれいでしょ!、ではまず売れない場合、十分に説明するページを作り込む必要があります。

加えて、日用品がたくさん並んでいるAmazonや楽天の場合、高級品を買いたくなる店構えではないという点も重要です。偽物問題もあり、お客様としてはよくわからないものを安心して買える環境ではないのです。

そのような問題意識に対応するため、アメリカではハンドメイド品専用のネットモールとして、Etsy(エッツィー)が大きく成長しました(近年ではハンドメイド風の工業製品が増えてきてしまっており、昔の魅力はなくなったとも言われています)。

Etsyは自分でWebサイトを作るまででもないかな・・・という方に対して、日本のCreemaのような感じで気軽な場所を提供しています。AmazonもAmazon Handmadeと呼ばれる、Etsyに追随するサービスを立ち上げています。ただ、高級品を売るのに適した場所かといわれると??なところはあります。

そんな中、私たちは越境ECを行うためのクラウド型ネットショップを探していました。越境ECは国内ECと比較して、格段にシステムに求められる要件が多いのです。その場合、現状ではShopify一択です。Shopifyはカナダの企業で、北米に対して販売を行うには最適なツールが揃っています。

結論としてネットショップ型もモール型も販売チャネルの1つに過ぎないため、商材の特性に応じて重点を置く場所を変えれば良いです。商品データのカタログを連携できるサイトが増えており、以前ほど管理に苦労することもなくなりました。

実店舗や期間限定のポップアップストアを持っている場合、それとの連携を行う必要もあります。ネットショップだから特別という訳ではなく、たくさんある販路の1つにすぎない、という認識です。

2. ネットショップを自分たちで作るべきか?

Shopifyでネットショップを作るということは決まりました。それでは、どこまでを自分たちで作り込むべきでしょうか?

スモールビジネスの場合、最も良いのは自分たちでネットショップを作ることです。もちろん、メインとなる写真など、プロの力を借りるところもあります。しかし、例えば補助金を使う場合、企画から制作まで全てを人任せにしてしまう方が多いです。この場合、オープン当初の売れない時期を乗り切れないのです。ネットショップの中身がわからないため、誰にでも訪れる売れない時期の改善策が完全にわからなくなります。結果として、きれいなネットショップを作っただけ、という状態が全国に相次ぐことになります。

これを防ぐには、せめてWebサイトの構造がどうなっていて、どこを修正したらお客様への見え方がどのように変化する、などの基本的なことを一緒に手を動かしながら行ってくれる人が近くにいるとよいです。

ちなみに、メインとなる写真はケチらない方がよいです。ネットショップの顔となるトップ画像はショップカードなど、様々なところへ転用します。
私たちは京都の写真家である、梅田彩華さんにいつも依頼しています。光の感覚がとても私にはマネができないクオリティです。

一方、商品写真そのものは数も多いため、なんとか自分たちで撮影ができるような環境を整えます。私たちも撮影ボックス、ライト、一眼レフ、動画撮影と編集用のiPad Pro、Adobe関係のソフトと、一通りのものは揃えています。

そんな感じで、なんとか夫婦でネットショップを作り上げたのでした。
Shopify単体ではできることも限られていたため、Pageflyというアプリケーションをバックグラウンドで用いることで、プログラミングなしでレイアウトを組めるようにしています。

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3. ネットショップは常に改善するもの

最も大切なことは、いったんECサイトを作り上げた後に待っています。
常にWebサイトを更新し続けること。これは作品を毎月アップすることもそうですし、お客様が知りたいと思う情報を常に増やしていくことが求められます。

私たちのサイトも、Twitterを追加して最新状況がわかるようにしたり、金継ぎとは何か?を説明するEssenceと呼ばれるページを追加したり、はたまた修理サービスのアンケートページを付け加えたりと、当初の状態からかなり変えています。
必要な機能は全て既存のサービス(アンケートはMicrosoft・Forms、ファイルアップロードはBox)を組み合わせて作りました。もちろん無料のサービスではありませんが、最近では自分たちでプログラムをしなくとも、かなりのことができるようになっています。

もちろん、「変えてみたけど、前の方がよかった・・・」ということもあります。全てをデザイナーさんに任せていると、修正にお金も時間もかかってしまいますし、「やっぱり前に戻します」とは言いにくいものです。ページ内部の構造を理解して、自分たちで気軽に手を入れられることが重要です。

【夫婦が得た教訓】

私たち夫婦が作った越境ECサイトは、決してデザイン的に洗練されているものではありません。ただ、お客様からの好意的な反応を見る限り、必ずしも洗練されたサイトである必要はない、とも思っています。
個人でやっているにも関わらず、非常に洗練されたコーポレート風のサイトの場合、「裏にブランディングディレクターとか、プロデュース集団がいるんじゃないかなー」などと、お客様が受け取ってしまうのでしょうか。
高級感がありつつ、お客様が手の届く感じを大切にするのも、1つの方法です。

さて、いよいよ2022年9月27日(火)からロンドン訪問に旅立ちます!
次回から数回にわたって、「特別編:ロンドン紀行」をお届けします!
お楽しみに!

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滋賀県のびわ湖のほとりでコンサルティングと伝統工芸のお仕事をしています。今後もnoteを通して皆様と交流できれば幸いです。

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