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編集後記『ここがツボ!患者に伝える皮膚外用薬の使い方』(第3版)

医学領域専門書出版社の金芳堂です。

このマガジンでは、新刊・好評書を中心に、弊社編集担当が本の概要と見どころ、裏話をご紹介し、その本のサンプルとして立ち読みいただけるようにアップしていきたいと考えております。

どの本も、著者と編集担当がタッグを組んで作り上げた、渾身の一冊です。この「編集後記」を読んで、少しでも身近に感じていただき、末永くご愛用いただければ嬉しいです。

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■書誌情報

『ここがツボ! 患者に伝える皮膚外用薬の使い方』(第3版)
著:段野貴一郎(だんの皮フ科クリニック 院長)
A5判・168頁 | 定価:3,740円(本体3,400円+税)
ISBN:978-4-7653-1886-0
取次店搬入日:2021年10月22日(金)

外用薬の服薬指導がもっとうまくいく! 処方箋を読み解く“ツボ”と確かな“伝え方“教えます!

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■編集後記

こんにちは。いよかんよりもはっさく好きな編集部のFです。

琵琶湖周辺は見通しがよく、遠くからでもいろんな山がひと目に眺望できます。そんな山の中でも特徴的なのが「三上山」通称「近江富士」。お椀を逆さまにしたようなキレイな半円形をしており、遠方からでも目につきやすく、湖東のランドマークにもなっているようです。その三上山の麓近くに著者の診療所「だんの皮フ科クリニック」があります。

本書の改訂は、著者のクリニックに伺って、下記に示すリニューアルポイントについてご相談したところから始まりました


【第3版:リニューアルポイント】

  1. 判型をハンディサイズに変えて、持ち運びやすく、気になったその時その場ですぐ参照しやすいようにする

  2. 構成を「第1章 処方箋の読み方と服薬指導の伝え方」「第2章 外用薬の知識」にスッキリ分けて、第2章の知識は第1章内に「参照頁」として示して、服薬指導に必要な皮膚外用薬の知識についてもシームレスに補完・補強することができるようにする

  3. 皮膚外用薬の情報は(新薬やガイドライン改訂などを踏まえて)すべてアップデートする


改訂が決まった際、こうしたリニューアルポイントについて著者である段野先生にご相談したところ、すぐ快諾をいただきました。そして思い描いていたとおりの素晴らしい改訂原稿が届き、今回より使い勝手の優れた第3版の刊行(誕生)と相成りました。

本書は、主要な外用薬別に、1処方1見開き完結型で「処方箋の解説、処方の意図を読み解くツボ、患者さんへの具体的な伝え方、ワンポイントアドバイス」がコンパクトにまとまっていて、服薬指導の際にすぐ役立つのが特長で、これまで初版・第2版と多くの読者に好評を得てきました。

今回の改訂ではそうした特長はそのままにリニューアルしています。

さらに、2章「外用薬の知識」に収載されたQ&Aでは「患者さんからの疑問・質問に対してどう答えるか?」がまとめられており、一方的な伝え方だけじゃない「想定問答集」も充実しているのも特長の一つです。

外用薬では内服薬と異なり用法・用量の記載が漠然としていることが多く、その使い方(塗布方法)について、医師が処方した際の意図を読み取って、患者さんが理解しやすいよう的確に伝えるには「ひと工夫」が必要になります。本書では、そうした服薬指導に悩みがちな点に対するツボを押さえた解説がなされており、まさに「かゆいところに手が届く」ハンドブックになっっています。

また、本書は薬剤師のみならず、かかりつけ医の医師にもオススメです。本書を通して皮膚外用薬の基本的な知識を一通りアップデートすることができるとともに「患者さんにとってわかりやすい具体的な伝え方」「薬剤師にとってわかりやすい処方箋の書き方」について理解を深めることができます。

本書では「皮膚外用薬」に関する知識が網羅されており、その伝え方に悩む薬剤師の方はもちろん、処方する医師の方にもぜひ手にとって頂きたい1冊です。

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■序文

処方箋には“ツボ”があります。「ここがツボだ」と見破れば、医師の処方意図が理解できます。本書は、調剤薬局の薬剤師が処方箋のツボを理解し、患者さんに正しくわかりやすく服薬指導できることを目的としています。

著者はときどき医院と薬局の間で患者さんへの薬剤情報の提供や服薬指導に微妙な“ずれ”を感じています。患者さんは医師と薬剤師から受ける説明の“ずれ”に戸惑い、恣意的に自己判断し、そのため薬剤が適切に使われないことがあります。

説明の“ずれ”は外用薬によくみられます。たとえば、ステロイド軟膏を処方するとき、医師は症状を早く治すため「しっかり塗布してください」と説明します。しかし、処方箋を受けた薬局では、薬の基本的知識にのっとり「ステロイドは強い薬だからひかえめに」と患者さんに伝えます。その結果、患者さんは少ししか塗布せず、医師が期待した効果が表れないことがあります。

外用薬の場合、どのように塗布方法を説明したらよいか迷っておられる薬剤師も多いと思います。なぜなら、内服薬と違い、外用薬は用法・用量記載が漠然としているため、処方箋の解釈が難しいからです。医師は薬局に治療目的がきちんと伝わるような処方箋を作成すべきですし、薬剤師も一人ひとりの患者さんに応じた服薬指導を行わなくてはなりません。

今回、改訂2版が好評でしたので改訂3版を執筆することになりました。開業医としての10数年の経験を生かし、実地診療に役立つ処方箋を紹介します。新たな皮膚外用薬も追加しました。外用治療のノウハウ、実践に即したQ&Aも満載です。薬剤師の皆様、本書を参考に処方箋を正しく読み解いてください。処方箋を見て「ここがツボだな」とわかったら服薬指導の腕の見せ所です。本書が医院―薬局の連携に少しでも役立てば幸いです。

令和3年 コロナ禍の夏 栗東市にて
段野貴一郎

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■目次

序文
目次
はじめに

第1章 処方箋の読み方と服薬指導の伝え方

1 保湿薬
処方箋1 油脂性保湿薬の単純塗布
処方箋2 保湿ローションの単純塗布
処方箋3 尿素ローションと乳剤性保湿薬の併用療法

2 亜鉛華単軟膏
処方箋4 亜鉛華単軟膏と油脂性保湿薬の混合処方

3 抗ヒスタミン外用薬・鎮痒外用薬
処方箋5 抗ヒスタミン外用薬の単純塗布
処方箋6 鎮痒外用薬の単純塗布

4 ステロイド外用薬
処方箋7 strongestランクの単純塗布
処方箋8 very strongランクの単純塗布
処方箋9 strongランクの単純塗布
処方箋10 mediumランクの単純塗布
処方箋11 油脂性保湿薬とステロイド外用薬の重層塗布
処方箋12 乳剤性保湿薬とステロイド外用薬の重層塗布
処方箋13 ステロイド外用薬と亜鉛華軟膏の重層塗布
処方箋14 ステロイド外用薬とアズノール軟膏の重層塗布
処方箋15 油脂性保湿薬とステロイド外用薬の混合処方
処方箋16 乳剤性保湿薬とステロイド外用薬の混合処方
処方箋17 保湿ローションとステロイドローションの混合処方

5 非ステロイド系消炎外用薬
処方箋18 非ステロイド系消炎外用薬の単純塗布

6 アトピー性皮膚炎治療薬
処方箋19 タクロリムス軟膏の単純塗布
処方箋20 デルゴシチニブ軟膏の単純塗布

7 痤瘡治療薬
処方箋21 過酸化ベンゾイルと外用抗菌薬の併用療法
処方箋22 アダパレンと外用抗菌薬の併用療法

8 乾癬治療薬
処方箋23 ステロイド・活性型ビタミンD3配合薬の単純塗布
処方箋24 ステロイド・活性型ビタミンD3配合薬と活性型ビタミンD3の単純塗布

9 外用抗真菌薬
処方箋25 外用抗真菌薬の単純塗布
処方箋26 爪白癬外用抗真菌薬の単純塗布
処方箋27 外用抗真菌薬と保湿ローションの混合処方

10 外用抗菌薬
処方箋28 外用抗菌薬とステロイド軟膏の混合処方
処方箋29 外用抗菌薬とアズノール軟膏の混合処方

11 角質軟化薬
処方箋30 サリチル酸(配合)軟膏の密封療法
処方箋31 サリチル酸(配合)硬膏の貼付
処方箋32 ポピドンヨードと角質軟化薬の併用療法(水いぼ治療の一工夫)

第2章 外用薬の知識

A 外用薬の成り立ち ~主剤と基剤~
1 主剤の薬理学的特性
2 主剤の主な種類
3 基剤の薬理学的特性
4 基剤の種類
5 剤形

B 皮膚の構造と角層の機能
1 皮膚の構造
2 角層の機能

C 保湿薬
1 作用と目的
2 主な種類

D 抗ヒスタミン外用薬・鎮痒外用薬
1 抗ヒスタミン外用薬
2 鎮痒外用薬

E ステロイド外用薬
1 効能
2 主剤(ランク)
3 剤形
4 主剤(ランク)の選択
5 剤形の選択
6 ステロイド治療の実際
7 皮膚・眼への副作用
8 全身への副作用
9 ステロイド治療は皮膚科専門医のもとで
10 ランク別ステロイド外用薬の処方のコツ

F 非ステロイド系消炎外用薬
1 製品
2 適応症
3 長所
4 短所

G 新しい皮膚外用薬
1 新しいアトピー性皮膚炎治療薬 デルゴシチニブ軟膏
2 最近の痤瘡治療薬

H 外用抗真菌薬
1 種類
2 足白癬における使い方
3 足白癬の病型と剤形の選択
4 足白癬の合併症に対する治療
5 爪白癬外用抗真菌薬

I 外用薬の塗布方法
1 単純塗布法
2 重層塗布法
3 密封療法(Occlusive Dressing Technique;ODT)
4 正しい使用法を守って
5 塗布量の目安

J 混合処方の是非
1 混合処方の実態
2 混合処方のねらい
3 混合処方の欠点
4 混合処方は好ましくない
5 混合処方は似通った基剤同士で
6 混合処方の許容範囲(私見)

MEMO

ここがツボ!服薬指導の伝え方と注意点
白色ワセリンの単純塗布
ヒルドイドローションの単純塗布
ウレパールローションとヒルドイドソフト軟膏の併用療法
サトウザルベ・プロペトの混合処方
レスタミンコーワクリームの単純塗布
オイラックスクリームの単純塗布
デルモベート軟膏の単純塗布
マイザー軟膏の単純塗布
リンデロンV軟膏の単純塗布
キンダベート軟膏の単純塗布
プロペトとボアラ軟膏の重層塗布
ヒルドイドソフト軟膏とネリゾナ軟膏の重層塗布
マイザー軟膏と亜鉛華軟膏の重層塗布
リンデロンVG軟膏とアズノール軟膏の重層塗布
油脂性保湿薬とステロイド外用薬の混合処方
ヒルドイドソフト軟膏とアンテベート軟膏の混合処方
保湿ローションとステロイドローションの混合処方
コンベック軟膏の単純塗布
プロトピック軟膏の単純塗布
コレクチム軟膏の単純塗布
ベピオゲルとダラシンTゲルの併用療法
ディフェリンゲルとアクアチムクリームの併用療法
ドボベット軟膏・ドボベットゲルの単純塗布
マーデュオックス軟膏とオキサロールローションの単純塗布
ルリコンクリームの単純塗布
クレナフィン爪外用液の単純塗布
ニゾラールローションと溶液性のヘパリン類似物質ローションの混合処方
フシジンレオ軟膏とリンデロンV軟膏の混合処方
ゲンタシン軟膏とアズノール軟膏の混合処方
サリチル酸ワセリンの密封療法
スピール膏の貼付
イソジン液とケラチナミンコーワクリームの併用療法

ワンポイントアドバイス
保湿薬の剤形
塗布部位の記載
ヘパリン類似物質の使い方
手荒れのケア
亜鉛華軟膏と亜鉛華単軟膏の違い
よだれかぶれ・おむつかぶれの治療
抗ヒスタミン外用薬の薬理効果
オイラックスの薬理効果
ステロイド外用薬の使い方 その1
ステロイド外用薬の使い方 その2
ステロイド外用薬の使い方 その3
顔面へのステロイド塗布
眼囲・口囲・口唇へのステロイド塗布
塗布する順序について
手湿疹の塗布指導
重層塗布法
アズノール軟膏+ガーゼ被覆のメリット
ステロイドと保湿薬を混合する目的
混合処方の適合
ボトルの話
プロトピック軟膏の使い方
コレクチムの利点と欠点(ステロイド、プロトピックと比べて)
痤瘡に対する外用抗菌薬の位置づけ
痤瘡治療における保湿薬の是非
ステロイド・活性型ビタミンD3配合薬のメリット
乾癬病変に合わせた治療薬の選択
足白癬にステロイドが処方?
足白癬のフットケア
足白癬の病型と薬剤の選択
脂漏性皮膚炎・フケ症にケトコナゾールが有効
伝染性膿痂疹(とびひ)にステロイド?
軽症熱傷(第Ⅰ度~Ⅱ度)の治療
角質軟化薬の単純塗布または密封療法
鶏(けい)眼(がん)(ウオノメ)・胼胝(べんち)(タコ)とは
伝染性軟属腫(水いぼ)の治療法

患者さんからの質問・疑問にどう答えますか?
これまで学んだ知識を生かして対応しましょう

保湿薬編
Q1 先発品と後発品(ジェネリック)の違いを教えてください。
Q2 病院や診療所でもらう塗り薬と市販の塗り薬とは何が違うのですか?
Q3 同じ商品名の薬なら軟膏もクリームも効果は同じですか?
Q4 保湿薬にはいろいろの種類がありますが、どのように使い分ければよいのでしょうか?
Q5 軟膏はべとついていやなのですが…。
Q6 新生児・乳児に保湿薬を塗っても大丈夫ですか?
Q7 痒くて痒くて眠れません、睡眠薬でも先生に頼んでもらえませんか?
Q8 (湿疹のある赤ちゃんを連れてきて)この子、アトピーなのでしょうか?

ステロイド編
Q9 塗っているのですが、よくならなくて……効いてないのでしょうか?
Q10 塗るとよくなるのですが、やめると元へ戻ります……。いつまで続けたらよいのでしょうか?
Q11 アトピー性皮膚炎の乾燥肌に対して保湿薬を処方する先生とステロイド軟膏を処方する先生がいて、どちらを塗ったらよいか迷っています。
Q12 アトピー性皮膚炎の治療におけるステロイド外用薬とプロトピック軟膏の使い方について教えてください。
Q13 ステロイドを塗ると黒くなりませんか? 日にあたると黒くなるとも聞いていますが……。

痤瘡治療薬編
Q14 ニキビあとが治らないのですが…。
Q15 ニキビ治療しながらお化粧してもいいですか?
Q16 ニキビのスキンケアと日常の注意点について教えてください。

外用抗真菌薬編
Q17 水虫薬はどのように塗ればよいのでしょうか。塗布量についても教えてください。
Q18 水虫薬はいつまで塗ればよいのでしょうか。
Q19 水虫の市販薬の選び方について教えてください。
Q20 水虫の予防法について教えてください。

外用薬の塗布方法編
Q21 保湿薬とステロイドの混合が処方されました。どのくらいの量を塗ればよいのでしょうか?
Q22 痒ければ何回塗ってもかまいませんか?
Q23 保湿薬とステロイドが別々に処方され、保湿薬を乾燥肌全体に、ステロイドを湿疹部に重ね塗るよう指示されました。ステロイドはどのような発疹に塗ればよいのでしょうか?
Q24 軟膏を塗ってガーゼで覆うように言われました。どのようにしたらいいですか?
Q25 ラップフィルムで密封するよう指示されました。どのようにしたらいいのですか?
Q26 外用薬を塗った上からお化粧してもかまいませんか?
Q27 敏感肌・ニキビ肌にはどのような日焼け止めがお勧めですか?

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■サンプルページ

第1章「処方箋の読み方と服薬指導の伝え方」

第2章 外用薬の知識

Q&A「患者さんからの疑問・質問にどう答えますか?」

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■終わりに

今回の「編集後記」、いかがでしたでしょうか。このマガジンでは、金芳堂から発売されている新刊・好評書を中心に、弊社編集担当が本の概要と見どころ、裏話をご紹介していきます。

是非ともマガジンをフォローいただき、少しでも医学書を身近に感じていただければ嬉しいです。

それでは、次回の更新をお楽しみに!

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