マガジンのカバー画像

須藤警部の始末書

2
ミステリー小説 ウルトラハードボイルド刑事ノベル
運営しているクリエイター

記事一覧

ミステリー小説「須藤警部の始末書」第二話

ミステリー小説「須藤警部の始末書」第二話

気絶してから数時間後、気づいた時には僕は刑事課のソファーに寝そべっていた。
ゲロまみれになっていたスーツの上着は着ているものの、下は全部脱がされている。 
小便を漏らしたわけだから、優しい人が脱がせてくれたのだろう。
スーツの上だけ着てる下半身裸の男がソファーに寝ている刑事なんてかっこ悪いにもほどがある。
こんなの刑事ドラマで見たことないぞ。
でもズボンとパンツを脱がせたのなら何か履かせてくれても

もっとみる
ミステリー小説「須藤警部の始末書」第一話

ミステリー小説「須藤警部の始末書」第一話

だんだんと、布団から出るのが億劫になってきたある冬の日の朝、僕は刑事として初出勤することになった。
丸2年勤めあげた交番勤務からついに念願の本署の刑事課に配属されたのだ。
志望動機が単純すぎて恥ずかしいのだが、少年時代から観ていたテレビドラマの刑事物の影響で警察に就職した。 
再放送で繰り返し観ていた、お互いをニックネームで呼び合う捜査一係の刑事たちや、サングラスをかけた二人組の刑事がやたらめった

もっとみる