『スーパーライブ・in岬』|#毎週ショートショートnote #強すぎる数え歌
「つまり、この数え歌は、まだ真の姿ではないんですよ……」
殺風景な岬の上で、黒いコートを身にまとった男が呟いた。
観客はごくりと唾をのむ。
数え歌の真相が明らかになり、名探偵の口から犯人の名が叫ばれるのだ。
「数え歌が、示すのは……!!」
歓声が岬を揺るがす。
耳をつんざかんばかりのハウリング。だが観客にとっては、ライヴ感を煽るスパイスに過ぎない。
ファーストシングル『一つ、手毬をついてみれば』から始まる、十二曲。
強すぎる数え歌としてヒットチャートをにぎわせてきたシリーズソングは、ついに結末を迎えようとしている。
前曲の『十一、終わりはまだ早い』が発表された日から、誰もが答えを待ち望んでいた。
「それじゃあ、聞いてくれ……『十二。真犯人は』」
爆音でギターがかき鳴らされ、ドラムがとどろく。ベースによる重厚な下支えの上、名探偵が叫んだ。
「……お前らだ──ッ!!」
のち30年。
伝説として語り継がれる、スーパーライブ・in岬の幕開けであった。
(424文字)
最初は、身長2メートル体重120㎏の週5でジムに通う屈強名探偵による強すぎる数え歌を考えていました。
ところで、角川シネマコレクションさんで、1976年公開の犬神家の一族が11月10日(金)~11月24日(金)19:59 まで視聴できます。
なんと広告なし!!
あの名曲から始まり、鮮やかに紡がれる人間の欲と恐ろしい偶然の数々。
すげー、と口が空きっぱなしになりました。
#毎週ショートショートnote
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