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至高の謎解きエンタメ/「ミステリと言う勿れ」田村由美

巨匠・田村由美先生の最新作『ミステリと言う勿れ』が、各方面で話題になり、電子/紙の本共に非常に売れている。古参ファンとしては嬉しい限り…!
モジャモジャ頭の主人公・整くんの表紙は少女漫画のコーナーに並んでいると非常に目立つ。

簡単なあらすじ:
カレーが好きな大学生・久能整(くのう ととのう)は、ある日突然同級生を殺害した容疑者として警察に連行されてしまう。整は、持ち前の観察力と常人外れの雑学と減らず口で、警察相手に名推理を繰り広げ、自らの無実を証明して見せた。
その事件をきっかけに、彼は数々の難事件に巻き込まれてゆきーー


この漫画が他の推理ものと異なる部分は、主人公が探偵でも刑事でもなく、ただのおしゃべりで物知り(かつ、変わり者)な大学生であるということ。あくまでも事件は整の身の回りの生活と地続きに発生する。
とても変わり者の整くんが何だか身近に感じてしまうのは、そのせいかもしれない。

もう1つの魅力は、整くんが繰り広げる雑学が世の中の当たり前と思われている部分をふと覆すような、誰もが疑問に感じていたけど見て見ぬふりをしていた部分を明るみに出すような、核心を突いた持論が毎回あることだ。

例えば、
「どうしてバージンロードは 父親と歩くのが 基本なんでしょう?」(ミステリと言う勿れ2巻p138より)、
”どうして日本では カウンセリングを受けることが弱い人のすることだと思われているのか  海外では 事件に遭った人は カウンセリングを受けるのが当たり前とされている  それは多分 人間の弱さを認めているからだと思う”(同作4巻より、原文ママではありません) 
など、ハッとさせられる一言が多いのがこの作品の面白さだ。
この辺りはさすが田村由美先生さまさま。

私は世代ではないものの、親や親戚の影響で田村先生の作品をかなりたくさん読んできた。
どれも本作に負けず劣らず、抜群に面白いのでぜひ読んでみて欲しい。
代表的なのをいくつかご紹介↓

・BASARA
古代日本風の世界が舞台のファンタジー&バトルもの。双子の兄の身代わりに男として生き、一族を守ろうと闘う少女の冒険譚。

・7SEEDS(セブンシーズ)
隕石衝突によって人類が滅びた後の世界に、冷凍保存された選ばれし若者たちが蘇るSF物語。めちゃめちゃ面白いけどトラウマレベルにグロいシーンもあり。

・ボクが泥棒になった理由(ワケ)シリーズ
賢く勇気のある小学生と、とびきり美人だけど奔放でだらしない母親の奇想天外な日常。このシリーズがわりと「ミステリ〜」に近い気がする。

個人的には田村由美先生は日本を代表する漫画家の一人だと思っている。同じ小学館だと高橋留美子先生くらいの。
でもジャンルが少女漫画だからか、知らない/読んだことがないという人がまだまだ多くてすごく歯痒い。
そういう意味で今作「ミステリと言う勿れ」は、初の大人の男性主人公ということもあり、幅広い読者に読んでもらっていて嬉しい(←何様)。

人に漫画を勧めるのって難しいけど、この作品に関しては
とにかく読んでみて!!!!!
と言うに限ります。


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