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【第6話】褒められて、いえい!

とある日のお昼休み。
職員は交代制で休憩をとる。食後のコーヒータイム。今日は同じタイミングで萩原美伊子課長が。声掛けのチャンス到来!

「萩原課長、恐れ入ります。隣の席、よろしいでしょうか。」
「どうぞ。あっ、教えたクッション言葉、使えてる!」
「はい。口に出して慣れるようにしてるんです。」
「すぐ行動できるのはとてもいいこと。これからも続けてね。」

褒められて、いえい!
この勢いでFP試験のこと相談しちゃえ。お腹が満たされてさくらにエネルギーが湧いている。

「ありがとうございます。実はFP3級の金融、特に計算問題で躓いてまして。」
「そうなの?同じだ。ここだけの話、わたし数字が大の苦手よ。」

彼女は一級ファイナンシャル・プランニング技能士を取得している。そうなの?と言いたいのはさくらの方だ。勤続年数長いし、数値系統は得意だと思うよね。

「本当ですか。課長はFP1級に合格されてますよね?」
「やっとね。合格の秘訣を聞かれたら、諦めないことって答えてる。」
「諦めないこと、、、。」
「例えば金融資産運用の計算問題は、最初見てダメだって諦めを捨てる。はじめはね、時間かけて噛み砕いて理解。そうしてゆっくり解いてくの。解答スピードを磨くのはその後でいい。」

FP金融、学習法のコツ。昼休みが終わるギリギリまで話しを聴くことができた。

残業なし、定時あがり。交通事故で自宅療養中の彼氏、菊人の自宅へ寄り道した。LINEしたり、オンラインで雑談したりはある。だけど、やっぱり実際会える方がうれしいよね!

(4/28さくらの日記)
【ただいまー。菊人の家から帰ってきたよ。腫れが引いててよかった。早く良くなりますように。お昼は課長とFP話ができてラッキー。実際接してみると、噂ほど強烈なキャラではないな。いい意味で普通。ちょっと拍子抜け〜w】

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女性課長・萩原が、はなたば信用金庫(はなしん)に入社したのは1989年。消費税3%導入イヤーだ。当時まだ、預金以外の運用商品は銀行・信用金庫等での取扱いはほぼ無し。だって円定期預金の金利が6%とかあったんだもの。細かく考える必要はないもんね。強いて言えば期間だけ考えて預け分ける。極論、その後は放っといてオッケー。

元本割れリスクを無理に取らなくても、それなりにお金は殖えた。だから、その頃は積極的に株式投資をする個人は珍しかった。原則、証券会社の店頭に足を運ぶしかない。ネット証券なんて当然存在しないしね。

時代は変わった。現在、はなしんが扱う商品は多様化している。投資信託・外貨預金・医療保険・がん保険などなど。たんぽぽ支店の専用ブースで行われる運用相談では投信の相談が多い。さくらは上司に許可を得てパンフレットを持ち帰り、勉強している。リーフレットなど書類の電子化が進み、ペーパーレス推奨。それでも、冊子をペラペラめくりながら、紙上の文字を追った方が頭に入るような気がしてくるからだ。

投信は販売手数料等のコストがかかったり、投資対象の判断が必要だったり。初めての人からみると難しいことはある。評価額は日々変わるし売却時の経済情勢によっては、マイナスになる可能性が。振れ幅をどこまで許容できるか。販売会社側としては、意向確認をしっかりする必要がある。

さくらは入社前の研修時、投信のメリット•デメリットを学んだ。
・少額から始められる
・プロが運用をしてくれる
・分散投資ができる
・長期積立でリスク軽減が図れる
注意が必要ではあるが、活用したくなる良い点も多い。資産運用全般に詳しくなれば、お客さまから信頼されるだろう。ネットの金融ニュースじゃ不足だよね、日経新聞を読む習慣つけなきゃ。検討し始めたさくらだった。

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5月連休が近い。「遠くにお出かけデートしたい」そう思うところだが、今年はそうもいかないようだ。一番の理由は彼氏が骨折から完全復活してないこと。

(4月30日さくらの日記)
【この時期の旅行は高くて、むーりー!
菊人とモールに行く程度かな。お洋服や雑貨を見たり、新作スイーツをチェックしよう〜いえい!】


そんな中でもFP試験まで残り日数は着々と減っていく。おや、木野さくらさん?大丈夫かな。ノンビリし過ぎでは??
(次回に続く)2/11公開予定


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