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活性酸素種と疾病(特別無料公開)

活性酸素は英語でReactive Oxygen Speciesと言い、ROSと略される。ROSは、好気性生物が体内で酸素を利用し代謝が行われる過程で発生する反応性の高い副産物であり、スーパーオキシドアニオンラジカル、過酸化水素、ヒドロキシラジカルおよび一重項酸素などが知られている(図1)。

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ROSは、細菌やウイルス感染時の免疫機構において生体内で利用される1)。しかし、過剰に発生したROSは、DNA、脂質、タンパク質といった重要な生体成分を酸化させる。こうした酸化損傷は老化現象の亢進だけでなく、がん、糖尿病、高血圧、動脈硬化などの生活習慣病をはじめとするさまざまな疾患の発症に深く関わっている2)。

一方,生体には酸化障害を防ぐためにスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、カタラーゼ(CAT)、グルタチオンペルオキシダーゼ(GPx)のようなROSを除去するメカニズムが備わっている(図2)。さらにペプチドなど低分子量の抗酸化物質も生体内に存在する3)。

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しかしながら、環境中にはROSを発生させる要因が数多く存在するため、過剰なROSを完全に除去することは難しい。特に現代では紫外線、放射線、大気汚染などの環境要因や喫煙などの生活習慣、ストレスなどにより生体内でのROSを除去しきれない状態に陥りやすい。また、重金属も抗酸化酵素の金属と置き換わったり、構造を変化させることで抗酸化酵素を失活させる(図3)。それによりさまざまな生活習慣病やアレルギー、老化の促進などが引き起こされる。

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図4には,ROSを発生させる外的要因とそれらにより引き起こされる代表的な疾病を示した。ROSにより引き起こされる疾病があまりにも多いことに驚かれるかもしれないが,これは一例であり,ROSはさまざまな病気の原因となり得る。ROSにより細胞が損傷を受けることを考えると,このことが納得できるのではないかと思う。そのため普段の食事で積極的にポリフェノール,ビタミンC,ビタミンE,抗酸化ペプチドなどの抗酸化物質を摂ることが推奨されている。

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1) Schwarz et al.: Free Radic. Biol. Med.,21(5), 641- 649(1996)
2) Waris et al.: J. Carcinog.,5, 14(2006)
3) Sharma et al.:BioMed. Res. Int.,2014, 1 - 26(2014)


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