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今週のkinologue【7/26-8/1】

とにかく『〈主婦〉の学校』の話を色んな人としまくり、オンライン試写に招待しまくった今週、ようやくチラシが出来上がり〜↓↓↓

チラシ

デザイナーさんの変則レイアウトにツッコミを入れられたものの、大きく変更することなく、こちらに落ち着く。このレイアウト、気に入ってるんですよね〜。ぜひお手にとって頂きたい、素敵なチラシが出来上がりました♪

そして、イメージフォーラムさんとの配信番組第3弾も配信開始。

家庭科教育の専門家である堀内かおる先生に、昭和の家庭科教育しか知らない劇場・配給チームからの質問を交えながら、家庭科と「主婦の学校」の学びについてたっぷりと伺う。そして最後に「〈主婦〉とは?」と、『プロフェッショナル』の決まり文句のように問うと、深く頷く納得の回答をいただきました。ぜひ動画でご確認ください!宣伝の立ち上げ当初に色んなお話を伺い、とてもお世話になった堀内先生から「映画配給のお仕事は、気づきや出会いを提供する仕事だと感じました」というお言葉を頂き、じーん。kinologueはそれを一番大切にしてやってきています。

そして出会いといえば、、、と、今週は久しぶりに長くことが。TOP画像の映画館、長野・塩尻にある東座さんの話。これまで「どうやって配給の仕事に就いたんですか?」とよく聞かれてきましたが、その話をするときに必ず登場するのがこの東座さんだ。
ボンヤリと映画好きな学生だったとき、たぶんクリスマスだったと思うが、塩尻の古い街場の映画館でアート系映画の上映会を立ち上げた女性(映画館の娘さん)を取り上げたTVドキュメンタリーを深夜に見た。なんて面白い人がいるのだろうと心に残っていた。そして、数ヶ月後の春休み、初めて国内一人旅に出たときに、なぜか、ふと、その映画館のことを思い出した。まだインターネットも携帯もない時代。覚えているのは塩尻と東座という映画館の名前だけ。公衆電話ボックスにあった電話帳で住所を調べ、行ってみることに。駅から離れていたが、大きな道沿いにあって「東座」の看板がすぐに見つかった。すると、いつもは東京に住んでいる娘さんが、その日はたまたまいて「あのドキュメンタリーを見て来たんです」というと歓迎してくれた。その時にはちょっとした世間話と最近観た映画の話をして、連絡先を渡した。今思うと、突然やってきた不審な女子大生によく親切に対応してくれたものだ。そして、その1ヶ月ほど後、娘さんから電話があった。
「もう就職先、決まった?」「え、まだ何もしてません」「配給会社とか、興味ない?紹介できる会社があるんだけど」「・・・あります」
ということで、娘さんに紹介して貰った配給会社の社長に会いに行ったところ「これからカンヌに行くから、帰ってきた頃からバイトすれば?それで来年の4月から社員になればいいんじゃない?」と言われ、その場で承諾。「あれ?もしかして、今、就職決まった?」と自分でも驚く展開だった。こうしてフランス映画を多く手掛けていた独立系配給会社に新卒で入社し(それ自体がとても珍しいこと)、それが今、kinologueとして配給を続けている礎となっている。あのドキュメンタリーを深夜に見ていなかったら、突然思い出して塩尻に行こうと思い立たなかったら、あの日、娘さんが東座にいなかったら、どのピースが欠けても、今の自分はない。更に後日談として、同じドキュメンタリーを見て行動に移した人が他にもいたことを知った。

その東座さんに、今週、四半世紀ぶりに訪問。通り沿いの看板を見て、そのままだ!と思い出した。外観は昔の街場の映画館らしさが残っているが、内部は10年前にお父様が亡くなられた後に館主を引き継いだ娘さん、合木こずえさんがセレクトしている秀作の上映にあった落ち着いた空間になっている。ローカルの映画館でここまで作品のラインナップと空間に統一感があるのは他に類がなく、家族で守り続けている東座さんならではだろう。まさにここが自分の映画人生の原点だなと噛み締めた。実はkinologueの配給作品を東座さんで上映してもらったことはまだない。作品が東座さんのお客さん向きじゃないのだ。私と旧知だからと上映を決めない合木さんは本当に素晴らしいと思う。あの時ドキュメンタリーで見た上映会(フロム・イースト)は今年26周年だそうだが、お客さんに楽しんで貰えるものを観せようという気概がなかったら、そこまで続けてこられていないだろう。ケッタイな北欧のドキュメンタリーばかりやっていると一生ムリと合木さんに言われそうだが(笑)、いつか東座さんのお客さんにぴったりな映画を配給して、上映してもらえる日が来ることを願っている。

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