見出し画像

先週のkinologue 【9/11-17】 in Finland

予告通り、時差を言い訳に、安定の「先週の」kinologue。月曜夜に出発し、火曜早朝にヘルシンキに到着した。満席の機内もヘルシンキで降りた人はわずか。コロナ前と変わらない。宿泊先にチェックインできる時間まで約8時間。中央駅近辺で早朝に開いている店があるとは限らないので、空港で暫く待機することにした。待機時間にeSIMを設定。初めてのプリペイドeSIMはとても便利だ。前回まで小さなNOKIAを使っていたのを考えると一番変わったことのひとつかも。市内の交通機関(HSL)のアプリを入れれば、チケットも買えるし、シティバイク(レンタサイクル)にも乗れるらしい。その後向かったのは、前回来た時には建設中だった図書館Oodi。外から見る姿に先ずうっとり。中に入るとまだ人が少なく、静謐な時間が流れていた。

こんな美しい図書館が駅のそばにある。国会議事堂に面していることも大事なことのよう。
寛いだり、勉強したり、仕事したりのスペースがたくさん。1階にはカフェや映画館も。2階はワークショップやミーティングスペース。以前あったKirjasto10の機能を引き継いでいる

滞在前半戦は10年以上の付き合いになる友達たちに毎日会って、街を散歩しながら想い出をトレース。変わったものと変わらないものに浸る。後半戦はひたすらフィンランド映画を観ることになるので、その前に絶対観なきゃ!と思っていたのは『オッペンハイマー』。日本ではまだ上映が決まっておらず、海外で観た人たちにIMAXで観ることをオススメされたので、ちょっと郊外まで足をのばす。IMAXは日本円に換算すると約3600円となかなか。しかし、その価値は充分にあった。広島や長崎のシーンがなかったと騒ぎたてられていたが、必要なかったと思う。オッペンハイマーの脳内にはその光景が映し出されたのだと感じさせたからだ。だから、その後彼は現地を撮影したフィルムを直視できなかったのだろう。うちは被爆者遺族だが、中途半端に被曝映像を挿入されていたら、興ざめどころか腹が立っていたかもしれない。オッペンハイマーについては知らなかったことが多すぎて、観てから色々調べたが、ノーランらしい反戦の表現に溢れていることがわかった。日本で公開される日が待たれる。東宝、英断せよ!

ムーミン、オッペンハイマー、カウリスマキという奇跡のラインナップ@Kino Laika

先週のハイライトは、アキ・カウリスマキが作った映画館Kino Laikaで最新作"Kuoleet Lehdet"を観たこと。ここでは、封切日前にずっとプレミア上映をやっており、絶対ここで観たかった。しかし辺鄙な場所にあり、どうしたものかと思っていたら、「うちに遊びにきてー!」と誘ってくれた『マイヤ・イソラ〜』のプロデューサーの家から近いので、彼女の家に行った後に一緒に観に行くことになった。それも共同経営者であるミカ(兄のミカではない)を紹介してくれるという。超満員のお客さんで忙しそうに働いていたので、ゆっくり話す時間はなかったが気さくなお兄さんだった。彼が「僕のビジネスパートナーのアキだよ。知ってると思うけど」と紹介してくれる前に、テラスの入口でアキに遭遇。プロデューサーが私を日本から来たと紹介すると、いきなり「わさび!」の洗礼。日本人を見ると条件反射なのか?「前作の『希望のかなた』にエキストラで出たから、実はあなたに会うのは2回目なんです」と話すと「それはゆっくり思い出さないとね〜」と言われた。取材拒否で有名なアキに2回も会えたのは、フィンランド映画を配給し続けているおかげ。仕事を続けていると、たまにはいいことがあるものだ。封切日前にフィンランドのオスカー代表に選ばれた新作は、アキらしい反戦メッセージもありつつ、変わらないユーモアたっぷりで面白い。今回も犬がいい味を出している(名前は最後にわかる)。実は色んなシーンにアキの関係者が出ていたと、後でプロデューサーが教えてくれた。工場をリノベーションしたKino Laikaの裏には川が流れており、それを利用したサウナも人気らしい。ヘルシンキから車で1時間くらいのカントリーサイドに出来たカルチャースポットといったところか。映画館が中心となっているこういう場は日本にはないよなぁ。

劇場となりのイタリアも人気で予約困難らしい。

昨日までヘルシンキ・デザイン・ウィークが開催されており、賑わっていた。天候にも恵まれたが、明日からは雲行きがあやしいらしい。映画館とミーティングばかりの日々が続くので、ま、いっか。次回もフィンランドより。

代表的観光地の大聖堂と秋の花

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?