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映画よ、今年もありがとう❤️2023

劇場で観た最後の映画はケリー・ライカートの『ファースト・カウ』だった。牛クラスターとしてはずっと楽しみにしていた作品だったが、ベスト5には入らなそう。静かで美しい映画だったから、2人隣くらいの人のイビキが響いていたのもご愛嬌?
今年も劇場で観た本数が少ない。そして絶対的なオシがない1年だった。なかなか選ぶのが難しく、とりあえずの5本で、コメントも短め。そして気づくと男ばかり。寝落ちしたのでとっくに年を越えてしまったのもご愛嬌ということで。

5位 オッペンハイマー
フィンランドで観たので、字幕がついてからまたIMAXで観たい。技術賞コレクターのノーラン初のオスカー主要部門受賞を期待している。オッペンハイマーについて知らなかったことが多すぎて、被爆者遺族である我が身でも、原爆投下を多面的に見ることの大切さを知った。オスカー発表の頃には観られることを切望。表面的な批判とか本当にくだらない。
エブエブのダニエルズがノーランにインタビューしているこちらの記事が秀逸。「私にとっての構成とは、常に視点に関係しています」にナルホド。遙か昔『インソムニア』来日時のノーランは「この人の頭の中はどうなっているのか!」の一言だったが、あれからきっと近寄りづらさが増しただろうに、ダニエルズの堂々たる切り込みがファインプレー!平井さんが書いた記事もわかりやすく、ありがたし。

キリアン・マーフィー、素晴らしかった!

4位 枯れ葉
カウリスマキの新作が楽しみじゃないはずがなく、期待が膨らむだけ膨らんでいたが、難民3部作の社会派路線から一転、ゆるいラブストーリーで驚いた。今のフィンランドにはシンプルな愛の物語が求められていることにカウリスマキが応えたような、優しさを感じる作品だった。初期カウリスマキのカップル、マッティとカティのようなレギュラーには、この2人はならない気がするけれど。

ゾンビ映画を観ているこのシーンが好きなので、日本版ポスターはちょっと残念。

3位 生きる Living
こういうイギリスらしい映画ってたまにものすごく観たくなる。ワーキングタイトル作品にハマりたくなるときがあるのだ。黒澤の世界観をわかっているカズオ・イシグロの丁寧な脚本はベタになりすぎることなく秀逸で沁みた。黒澤のリメイクってやはり大変なのねー。パンフレットが読み物として充実していて、プロデューサーのリメイク化裏話が面白かった。

有名なブランコのシーンがポスタービジュアルになかったのが、唯一の謎。

2位 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
長尺を感じさせない、久しぶりに観た映画らしい映画。この一言で何人も観に行ってくれた。Appleの映画が劇場で観られただけで良かった!ということなのだろうが、パンフレットがないのはホント残念だった。実話だけに背景が知りたくなる。すると知り合いがちゃんと解説記事を作ってくれていて感謝。

原作はFBI誕生物語が主と聞き、ディカプが以前イーストウッド監督作でフーバーをやっているのがまたオツとか。既視感アリアリなデニーロとスコセッシによる伝統芸に寄り添うディカプが微笑ましく、またこの組み合わせが観たいと思わせる。まだまだお元気で!

リリー・グラッドストーンにはオスカー助演賞を期待。

1位 イニシェリン島の精霊
すごく迷った。TARやウーマントーキングも良かったが1位となると、うーむ。ということで、最も圧倒された作品を選んだ。タイトルをいつも正確に言えない(ついイニシュリンと)のが何より問題だけど。アイルランドの美しい景色と共に甦る人間の業の深さ。ミニマムなキャストにここまで追い込まれるとは。特別なようでいて、誰の日常にも起こり得る。今年初めの方に観たのに脳裏に焼きついている。マーティン・マクドナー、毎回恐ろしい。

ここの牛なら生まれ変わってもいいなと思ったアイルランドの島を思い出す。


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