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今週のkinologue【1/8-14】

花の少ないときに逞しく咲くビオラは冬の窓辺の癒しだけれど、最近、植木鉢内勢力争いが激しい。赤紫のコが今は幅をきかせている。春になる頃には3種がどんなバランスで落ち着くのか、楽しみだ。
今週は大学院でRAとして関わっているNNNドキュメントの情報登録作業を本格的に(ようやく)着手。50本を順番に登録しても面白くないので、勝手にジャンル分けをして見ることに。そうすることで共通するスタッフや制作の特徴に気づくかもしれないから。テーマに沿ったいくつかの取材対象のどこを(誰を)どれくらい深掘りしていくか、30分弱という短い尺の中での取捨選択が肝であり、見る側にとっての面白さだ。そして、ドキュメンタリーの面白さは偶然「撮れた」出会いにもあるから、それは制作者が「もっているか」にもかかっている。

先月はここで何度もアフタートークをやっていたので、観るのはちょっと新鮮。

今週観た映画『国葬の日』でもそれは感じた。上映後、運良く大島新監督のアフタートークを聞いた(小山明子さんが見守っているのも微笑ましい)。監督の小川淳也議員の選挙での奮闘を追った2作はドキュメンタリーとしても人間ドラマとしても面白かった。今回の映画は、全国10箇所での安倍元首相の国葬の日を「スケッチ」することで、このときの日本人の有り様を捉えようという試みだったという。なので、映画としては前2作に比べると正直物足りなさがあるが、この特別な日をドキュメントしたことは意義深いし、「もっている」シーン(豪雨被害の家の片付けを手伝いに来た清水東高校サッカー部員と被災者のおばさんとのやりとりなど)もあった。国葬の3日前に撮影を決めたという勢いも、そんな運を引き寄せるのかもしれない。配給した『365日のシンプルライフ』は監督がドキュメンタリーだと思っていないので該当しないかもしれないが、おばあちゃんの入院シーンなどは「もっている」と思わせた。そんな制作者の意図を越えた「なにか」が起こるのを期待させてしまうのがドキュメンタリーなのかもしれない。

平日夕方というのに、結構混んでいて驚く。もうすぐU-NEXTで見られるというのにエライ。

もう1本は、2本目のケリー・ライカート『ショーイング・アップ』。『ファースト・カウ』に続き、スヤスヤ寝ている人たちの多さはもはや特徴と言ってもよいのか。この2本だけでいうならば、前半に変化が乏しく眠りに誘われがち、そして音楽が殆どないから?『ウェンディ&ルーシー』も見たが、ご贔屓女優ミシェル・ウィリアムズの「削ぎ落とされ」感がすごい。『テイク・ディス・ワルツ』で観たキラキラしたキュートさはどこにいったのか。4本も出演しているのだから、監督との相性が良いということなのだろうが。アートスクールの雰囲気やアーティスト同士の「褒め合い」とイラだち、創作のプロセスや出来上がりを決める瞬間は、知らない世界でなるほどね〜と面白い。『ファースト・カウ』『ウェンディ&ルーシー』で犬好きかと思っていたが、今回は猫と鳩。鳩の力が絶大。シーンをパッと切り替えた。「ケリー・ライカートってシネフィル向きの監督だと思って敬遠してました」というのを否定も肯定も出来るほど見ていないので(今のところ一番面白いのはデビュー作『リバー・オブ・グラス』)、続きはU-NEXTにて。しかし「A24」でぜんぶまとめるって雑だよなぁ、U-NEXT。

襖紙をアップサイクルしたナナルイさんオリジナルのブックカバーが素敵すぎる

久しぶりに「ひとり出版者」の話題をひとつ。トランスビュー封入大会で知り合いになった「ひとり出版者」仲間のナナルイ鈴木さんが地元まで遊びに来てくださった。そして、こちらの地元にも関わらず、行ったことがなかったブックカフェ「BOOKY」さんに連れていって貰った。BOOKYさんはシェア型本屋でもあり、ナナルイさんは棚を借りているとか。興味深い。来月、アートフェスで古本市をする予定なので、うちの蔵書をぜんぶ出してみてからkinologue booksの棚を借りるか、検討することに。ナナルイ鈴木さんとの共通点はプロの編集者じゃないこと。封入大会で会う方々の多くは大手出版社で編集者として働いていた経験を活かして起業する、プロの編集者だ。そこではとても言えない悩みを吐露し合って共感の嵐。「やってみないとわからなかった」のは私だけではなかった。また少し続ける勇気が出た。

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