【日記】現金なメンタル
年末年始を挟みこのひと月ほどまたしても胃腸が不調だった。
もとはと言えば先月入院・手術して、それをきっかけに本来の病とは全然別なはずの胃が突然ご機嫌を損ねたのだ。以前から胃腸は綱渡りだったし病院にいるというだけで血圧が爆上がりしていたので多分ストレスだろう。いやんなっちゃう、気持ちはしっかり持ってるのになんでこんなに身体に出るんだろう。
そうなのである。
森野は結構メンタルは悪くならない。落ち込んだりしても寝れば翌日はなんとかなる。たとえばすごく若い頃、失恋して眠れないほどだったとき、それでも強引に何時間か寝て朝が来たら「よし、次の男を見つけに行こう」とマジで思ったもんね。大人になって子どもの夜泣きが酷くて気が狂いそうな頃も、とにかく数時間でも眠れればなんとかしのげた。疲れと睡眠不足のため5人しかいない会議でよだれ垂らして寝てたけど(赤面)、赤ん坊を殴ったり自分が逃げ出したりしないで何とかやってきた。
しかし若い頃はそれでうまくいったが、50代の半ばくらいから
・気持ちは元気
・でも身体は元気でない
という状況に陥るようになった。余分すぎるお肉をきつめのボディスーツに押し込んだみたいにむにゅ、むにゅと不具合が身体からはみ出してくる。それは胃の痛みだったり腸が動かないことだったり頭痛だったり吐き気だったり心臓の血管だの胆管だのにコレステロールがたまってやばかったりなのだが、要はみんなストレスが最初の引き金であったと思う。あと肥満ね。
今回の入院中は、胃については対象外だったので当座で手持ちの薬を飲んだり、科が違うけど痛いからって入院先から新たに薬を出してもらったり、帰宅後は太田胃散を飲んだりってんで何とかならないかと思っていたが、ちょっと良くなるだけでまたぶり返す有様。ひと月近く不調が治らない。それで今まで行っていたのとは別の、新しいクリニックを受診することにした。今までの所も不満はないのだがお一人でやっている先生が自分より年配なのである。この先生が万一体調を崩されると、ここは休院となり頼る場所がなくなってしまう。それで複数の医師がいる所を探していった。受診した人から「割合良かったよ」と聞いたのも後押しした。
ところでお医者にかかるとき、人はどのように自分の症状を説明しているのだろうか。
森野はこの説明がひどく下手だ。
「どうされましたか」
「胃が痛むんです。食前と食後に」
確かにその通りなんだけど、そこにいきつくまでに例えば今回は
以前から逆流性食道炎として別医院に通い、薬も出ていた
今回、別の病気で別の病院に入院、手術した
一日絶食して手術をしたらその夜から痛み出した
そこから太田胃散などで少しは改善したが、まだ不調で気持ち悪い
ずっと便秘でもう数年間、今の状態(薬がないと出ない)
などなど付随的なことがたくさんあって全部情報として提供したい。こうして書くとそれなりにわかりやすいけど、その場で口頭で順序よく説明しようとするとどの順番でどこがどうなのかわやくちゃになってしまい、相手によく伝わらないことが多い。特にお医者さんに。そしてお医者の中には患者があれこれ説明しようとすると「そういうことは聞いてないから」みたいに言う人もいる。少数だけど。
そこで今回はエクセルに経時的な流れを書いて持って行った。
こういうことするから「神経質な人だなあ」とか思われるのかもしれない。だけどうまく説明できないんだもん。お医者のご機嫌を損ねるのも嫌だし。10年前頃からずっと胃が悪いこと、診断されて飲んでいた薬、大きな既往症、今回の手術のてんまつなどをちまちまと記す。さらに人間ドックに入ったばかりだったのでその結果とか、まあいろいろ持って行った。
クリニックはまだ新しくて、老人で混んでいた。初診だったから待たされるのを覚悟していたけれど、電話で予約してあったので手続きや看護師さんの問診などテキパキと進む。少しだけ待って先生の診察があった。
いらすとやの絵の中で一番先生に近かったのがこれ。もっと軽くない。けど重すぎない感じ。こちらの目を見てきちんと話をして下さるだけでなく、患者の話を聴いてくれるよ! すごいよこれ。今の若い世代のお医者さんはみんなそうなの? 若いったってアラフォーくらいにお見受けしたが。
説明もわかりやすい。
逆流性食道炎もあるかもしれないけど、どっちかというと機能性ディスペプシアという見立てだった。うーん、そうだと思ってたよ自分でも。
要は、あんまり胃は悪くなってないけど痛かったり苦しかったり気持ち悪くなる奴。ストレスですな。ストレスなら売るほどあるぞ。手術もそうだし遠距離介護とか仕事がたくさんあるとか(最近はセーブしてあまりやってないけど)。終わったばかりの手術とその予後について先生は「大変でしたね。ショックですよね」みたいなねぎらいの言葉も下さった。ああそんな風に患者のメンタルまで考えて下さるの、すごいわ先生。初めてかもしれない。
そんなこんなで医師とうまくコミュニケートできた、症状をわかってもらえた、という安心感を得て帰宅した。病状は一ミリも変化してないのに、安心したせいか夕食が普通に食べられた。今まではおかゆと白菜の煮たのくらいしか入らなかったのだ。さらにそれほど気持ち悪くならないし痛くならない。どうしたことだ。もう完全に胃が精神に支配されているのか?(そうなんだろう)
というわけで、ちょっと優しくされたら森野の現金なメンタルはすっかりいい気になって胃を悪化させない方向に進んでいる。すばらしい! 暴飲暴食はしないからこのまま回復に向かって欲しい。腹が減っても食べたくならない、人と同じものが食べられないって状態はしんどいから。
これからあのクリニックをホームドクターにしよう。ちょっと家から遠いけど十分通える距離だ。そして健康を取り戻して仕事も遊びも介護もバリバリやるんだ。いやっほー!
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