きのこ

日々のことを書きます。 仕事、趣味、過去、ゆるゆる。。

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ある雪の日の記憶

1980年代、東北地方は今よりもずっと、冬の寒さがきびしかった。 何度放り出されただろう。降りしきる雪が積もる、白くきびしい世界へ。 窓から地面までは90cmくらいあっただろうか。その日は母がその窓からわたしを放り出した。部屋着のままの、何も抵抗できないわたしを。 降り積もる白く冷たい雪は、放り出されたわたしを硬い地面から守ってくれた。でも雪はわたしの体温で溶け、部屋着や靴下にしみて、するどい牙をむくように刺さった。 張りつめた空気は嫌だったけどぬくもりはほしかったか

    • 一日のはじまりに①

      「さあそれでは、今日という日に向き合う力を与えてくれる、瀬戸内寂聴さんのお言葉、いただきましょう。」 JWAVEの「TOKYO MORNING RADIO」(月~木、朝6~9時)、ナビゲーターの別所哲也さんが、8時10分頃に瀬戸内寂聴さんのお言葉を紹介するんだ。 それをTwitterに投稿し始めてしばらく経つけど、瀬戸内寂聴さんのお言葉をどんなふうに理解してきたかをこのnoteに書いてみようと思うんだ。 良かったら読んでみてね。 2021/3/24 おはようモーニング

      • 思考の過程③ ぼくらの表現について

        2021年3月21日(日)の夜、くろまっちゃん(クロマト氏)のツイートキャスティングにコラボして、絵を描くことやその他の表現に関して色々な話をしたんだ。 くろまっちゃんと私がこういった話をしていくと、「発する機会を失っていた言葉たち」が自然と湧き出てくるんだよ。 この記事では、深夜のぼくらの会話の中で印象に残った部分を、もう少し深く掘り下げていけたらと思ってる。 絵を描くきっかけについてくろまっちゃんが絵を描くきっかけになったのはおじいちゃんの逝去によるものだったそうで

        • なたと少年

          風もなく雪がまっすぐに落ちてくる。 刃渡り15㎝のなたを持って、ひとりで少年は松林に入っていく。 入口から海へ続く1kmほどの砂利道は、車1台分の轍がついている。 少年はその砂利道から逸れて、松の生い茂る林の中へと入っていく。 少年は140㎝の身体を積もった雪の上に投げ出す。 少し灰色がかった空は松の樹に切り取られている。 松の枝の間をいとも簡単にすり抜けて、まっすぐ雪が落ちてくる。 少年は大きく口を開けて舌を出し、落ちてきた雪をつかまえる。 右手のなたが少年

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        ある雪の日の記憶

        マガジン

        • 思考の過程
          1本

        記事

          ばあちゃんのことば②

          早起きばあちゃん私のばあちゃんは早起きです。必ず朝一番に起きて朝ごはんの支度、洗濯、掃除、畑仕事、ぜんぶこなして平気な顔をして私に言います。 「さぎしんでままけや~」 ※さきにごはん食べなさいね~ 食卓にはあきたこまちのごはんと、大根とわかめと豆腐の味噌汁、お皿に焼き鮭と鰹節のかかったほうれん草のお浸し、味付け海苔、それぞれタッパーに入ったたくあん、菊の茹でたやつ、牛肉とごぼうのしぐれ煮、あと私の好きなふりかけ(味道楽)。 食べ盛りの中学3年生の頃の思い出です。 ば

          ばあちゃんのことば②

          思考の過程② 小さな円

          絵を描き始めた記憶実家は経営管理事務所だった。 じいちゃんが経営管理士だったので、私はいつもじいちゃんとばあちゃんと過ごしていた。 家にコピー機があったから裏紙がたくさんあった。 じいちゃんから裏紙をたくさんもらってずーっと絵を描いているような子ども。 物心つく前からずっと描いていたからいつから描き始めたのかはわからない。 5歳の頃、私はよく和室で絵を描いていた。 描いていたのは直径2cmに満たないちいさな円。 何度も何度もゆっくりゆっくり鉛筆を走らせる。 楽

          思考の過程② 小さな円

          まちばり

          あかり ひとつ とまっている ゆかいた わたしを おしあげる こぼれる ことば みずたまり ちたん ちとん ちたん ちとん いつか からすの とぶところ ゆうやけ きのうえ でんしゃがとおる きのうと きょうと でんしゃがとおる かんかん かあかあ かんかん かあかあ つなぐ まちばり あかいたま あおい ぬのきれ どこいった はこに あふれる ぬのだまり わささ ごささ わささ ごささ しかとて はりいと どこいった これでは ぬうに ぬわれ

          まちばり

          ばあちゃんのことば①

          実家のこと私は秋田県の峰浜村というところで生まれました。現在は北側に隣接する八森町と市町村合併して八峰町となっています。青森県との県境、日本海に面した自然豊かな地域です。 八峰町にある実家には両親と祖母が住んでいます。祖父は私が25歳になる年にガンで亡くなりました。78歳だったと思います。 祖父母はとにかく私を愛してくれました。私は祖父母に育ててもらったと思っています。特に祖父は私を、よく言われるように目の中に入れても痛くないほどに愛してくれました。祖父については別の記事

          ばあちゃんのことば①

          あしたパスタ🍝Projectに参加してみた。

          茶樹ちゃんの文章を読んでいたら なにやら楽しそうじゃない✨ と触発された私は早速エイミーさまのところへ飛んだ。 「あしたパスタ🍝さん。。。」 あれこれ考えず好きと思ったらすぐやる課。 肩ひじ張らずにとりあえずやってみるのが楽しい。 やってみる、とりあえず。 今までもそうして色んな人と出会ってきた。 これからも色んな人と出会っていくんだろうなぁ。​

          あしたパスタ🍝Projectに参加してみた。

          男と女。

          アニマとアニムス。 ユング心理学において、集合的無意識の中にある内なる異性について読んだのは22歳の頃。妙に記憶に残ったのは私自身が性について葛藤していたのだろうと今になれば思う。 ーーーーーーー ユングによればアニマは男性の集合的無意識の中にある女性であり、アニムスは女性の集合的無意識の中にある男性である。 これは当時からフェミニズムの論客によって批判されていたらしい。集合的無意識の前に性別があり、集合的無意識の後にも性別があり、ユングの文章、語り口が男性性の優位を

          男と女。

          思考の過程① 会話

          クラスメイトの会話が飛び交う教室で孤独を感じていた。会話しているところに私もいたのだが、ポンポンと軽快に、弾むように飛び交う会話は私にとっては別次元に存在する高度知的生命体によるものに感じられた。 ーーーーーーー 実際、私は言葉を発するまでに時間がかかる自分にコンプレックスを抱えていた。幼少期、軽妙な語り口でまわりの子たちに人気があった私の幼なじみを、私は羨ましく感じていた。反射的に言葉を発する彼がまわりの子たちの人気を一身に浴びている。私はあんな風にはとても振る舞えない

          思考の過程① 会話