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ゲームレビュー VISAGE編(微ネタバレ)

※このnoteには非常に衝撃的な表現が含まれます。ご覧になる際は大変注意してください。




もしこんな書き出しで始まる記事があれば読むのを躊躇しそうだが、実際にこんな不穏すぎる警告から始まるゲームが今回レビューする「VISAGE」である。

VISAGEとは

VISAGE(ヴィザージュ)は2020年にSadSquare Stdioから発売されたホラーゲームで、めちゃくちゃ怖いことで有名。特に自分が惹かれたのは複数の被験者にたくさんのホラーゲームをプレイさせて心拍数を測る実験で、このゲームはホラゲ史上3番目に怖いゲームであることが実証されていること。とはいえ自分はホラゲーに興味は無く、やるつもりも無かったのだけど偶然やらせて頂く(やらされる)機会に恵まれ、タダでプレイすることになった。そこで感じたことと最終的な評価を微ネタバレで書こうと思う。

あらすじ

物語は主人公が縛られた3名(大人の女性、子供の男女)を銃殺した後、自殺するところから始まる。目が覚めると屋敷におり、そこで様々な怪異に遭遇する。襲ってくる幽霊たちの正体とは!?主人公の正体とは…

良かった点

・1つ目 ゲーム性

このゲームは基本的に探索がメインになっている。4階建ての広い屋敷を探索し、隠されたキーアイテムを利用し謎解きすることで、ストーリーを進行させることができる。
これがこのゲームの面白い所で、普通ホラーゲームといったら一直線上のストーリーを進める中でムービーやチェイスで驚かしてくるのが一般的だが、このゲームはそうではない。まずこのゲームは章が3つあるのだが、そのどれからでも始めることが出来る。そしてその章をクリアするのには複数のアイテムを手に入れる必要があるのだが、これもその順序は強制されていない。プレイヤーは屋敷を自由に探索し、アイテムを探す。ある意味ホラー版ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドみたいな感じだ(笑)。

そして、プレイヤーその中で霊を「見つけて」しまう。それが他と違うところだと思う。他のゲームではゲーム側から能動的に脅かしてくるので、プレイヤーは受動的だが、VISAGEではプレイヤー側が能動的に「見つけて」しまう。この「見せられる」と「見つける」は恐怖感が全く違う。これが一番分かりやすい例がドロレスの章にある。ゲームをある時点まで進行した状態である廊下で振り返ると次の写真のように霊が覗いているという驚かしがあるのだが

こちらを覗く霊

これ、当然プレイヤーが振り返らずにこの恐怖演出を見逃す可能性もあるのだが、だからこそプレイヤーがこれを見たとき、「見せられた」のではなく「見つけてしまった」という感覚が強く、これが無茶苦茶怖い。実際自分もたくさんの演出を見逃しただろう。そして、ある意味最近バズった8番道路が怖いのも同じ仕組みかもしれない。あのゲームでもプレイヤーは間違い探しを課せられているため、プレイヤー側が能動的に恐怖を見つけないといけない。これが恐怖体験を増加させる。VISAGEに共通した仕組みだ。
そしてこの見つけてしまう仕組みがこのゲームのゲーム性そのものだろう。カービィやスマブラを作った桜井政博氏はゲーム性を「リスクとリターンのかけひき」だと定義し、これがゲームの面白さだと定義したが、これをVISAGEに当てはめるとまさにこの「見つけてしまう」体験がゲーム性そのものだと理解できる。つまり、ストーリーを進める(リターンを得る)には屋敷を隅々まで探索しなければならないが、探索すればするほど恐怖を見つけてしまう(リスク)という関係が成り立っているのだ。

・2つ目 演出

このゲームの恐怖演出は、安易なジャンプスケアに頼っていない点で評価できる。ジャンプスケアとは急にクソデカ音量で「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」みたいな楽天カードマンと米倉涼子に代表される演出だが、これはビックリしただけであって、恐怖ではないのでホラー演出としては良くないとされている。故に良いホラー映画と悪いホラー映画の違いとしてジャンプスケアがあるか無いかがよく挙げられるのだが、このゲームはまさに後者だった。
例えば「鏡の部屋」の演出がそれだ。ゲームをある時点まで進行した状態で「鏡の部屋」に入ると次のようなことが起こる。

鏡の部屋の入口

まず、鏡の部屋に入って別のドアから通り抜けようとするとそのドア開かない(今までは開いていたのに)。ここでプレイヤーは少し不安を覚える。そして今度は入ったドアから帰ろうとすると、何故かそのカギが開かない。部屋は真っ暗で狭い。この時点でだいぶ怖い(俺はこの時点でパニック)。だんだんと闇の中から霊の声が大きくなっていき、唯一部屋の中にあるもう一つのドアがゆっくりと開き霊が出てきて殺される。 

まさにジャンプスケアでないじわじわと恐怖感を煽る演出だ。そして先程も行ったようにこういった演出は製作者が屋敷中に忍ばせた内の1つであり、プレイヤーが自らこの部屋に入らなければ見れない演出だ。実際自分もたまたまこの部屋に入ったが、別に入らなくてもストーリーは進む。またこういった演出はランダムなので、それが余計に怖い。プレイヤーいつ来るか分からないトラップに怯えながら家を探索しなければならない。これは恐怖感をプレイ中常に持続させ、また増大させる。

悪い点

・ストーリー終盤(ネタバレ注意🧠🟥)

ストーリーは正直難解で、自分は一度プレイしただけではほとんど分からなかった。何となく主人公は医療関係者でドロレス、ルーシー、ラカンの治療に関わっていたのかな?ということと心中した家族とドロレス達の家族構成が一緒なのはミスリーディングなのは分かったが、特に最後の章は主人公が何に悩んでアル中ヤク中によく分からなかったし、何でハッピーエンドみたいな感じで終わったのかもよく分からなかった。もちろん「恐怖は常に無知から生じる」という言葉にあるように、ストーリーの全貌は見せないことで作品全体の不思議感や恐ろしさを醸し出している面はあると思うが、最終章やエンディングでは全容を見せて欲しいなとは思った。

また最終章そのものが冗長に感じた点もある。特に仮面を集めるためにVHSをヒントに隠されたアイテムを駆使して謎解きするのだが、これが明らかに自力で発見するのが難しい所にアイテムが隠されていたりして、ここで1つゲームのテンポが悪くなったと感じた。ここをスムーズに通過できるようになっていればより良いゲーム体験であったと思う。

・操作性

ハッキリいってこのゲームの操作性は非常に悪い。まずドアが何故かめっちゃ開け辛い。開けるボタンを押しながらマウスを動かすとそれに連動してドアが開くのだが、何故かこの瞬間だけマウスの感度が異常に低くなる。だからドアを開けるのに1日放置したTwitterのタイムラインを全部見れるぐらいマウスをスクロールしないとマジでドアが開かない。腕が疲れる。特に敵に追いかけられてるときにこれがあると本当に軽くパニックになる(ホラーとしてはむしろいいのかもしれないが)。
またインベントリの操作も謎に複雑な上に何の説明も無いから自分の場合はインベントリの操作を理解したのはストーリー終盤だった。

全体の評価

全体としてホラーとしての満足度は高く、ゲームとしても面白かったが操作性が悪く、後半にダレた印象だった。
最終的な評価は脳9つです
🧠🧠🧠🧠🧠🧠🧠🧠🧠 


それではまた!(むせる)

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