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毒きのこの料理レシピ?ロシア式毒抜き法で毒きのこを食べる

きのこの判別って難しいんです。
主に色、形、標高、季節、発生地の樹木種類など、他にも場合によっては顕微鏡で胞子の形状も確認したりと判断材料が多く神経を使います。
命に関わるので妥協は許されないのですが、海外にはより簡単な方法で食べられるきのこを見つけることが出来るようです。
ロシア人は酒好きで有名ですがきのこ好きでも有名で、レジャー感覚できのこ採りを家族でおこなうのが恒例で、夏から秋に収穫して塩漬けで保存して、食べる際に塩抜きしてラードでソテーして食べられているようです。
そしてその中には毒きのこも…
そんな風習の中で食べられている毒きのこを今回は食べます。
その毒抜き処理法は「アリエナイ医学事典Ⅱ」78P「毒キノコの科学」に記載されていました。

方法はシンプルで「1日2回水を替えながらさらして3日間浸した後、塩水で茹でて水気を切る」です。
この方法は一定条件の雑多なきのこを収穫して、まとめて毒抜きできる方法です。
なんとも大陸人のワイルドな手法で、本来ならあまりやってはいけない方法ですが…
・毒きのこそれぞれで違う毒成分の特徴を理解している
・それをふまえて現場で対象きのこを見分ける眼力を持つ
と、高度な知識に裏打ちされた根拠のある方法です。
ロシア人はきのこの判別が得意ではないらしく、この方法が採用されているようです。(大陸人特有の大雑把さがそうさせるのか…?)

まず注意事項として…
「毒きのこ全てがこの毒抜き出来るわけではない」です。
先に述べたように毒きのこそれぞれの特性を全て理解した上でプロが行っていますので決して真似しないようお願いします。
まずはロシア式で毒抜き出来るきのこを収穫します。

テングタケ(?)
柄の色が特徴的なガンタケ
秋に採取したベニテングタケ

2024最新版のテングタケとガンタケが近所の公園に生えてました。
ちなみにイボテングタケ、テングタケ、テングタケモドキはよく似ていて判別が難しい問題がありますが、今回の処理法では毒成分が抜けるので無視します。
ついでに冷凍庫で眠るベニテングタケも入れて水に浸します。

毒きのこのちゃんぽんです。
なかなかのパワーワードなので保健所員が聞いたら助走つけて殴りに来て止めるでしょう。

毒抜き処理せずに食べた場合以下の症状が出ます。
・嘔吐、下痢、腹痛、めまい、けいれん(テングタケの症状)
・嘔吐、下痢、腹痛、泥酔したような酩酊感(ベニテングタケの症状)
・嘔吐、下痢、腹痛、発熱、悪寒、手足のしびれ(ガンタケの症状)
と、わりと大変な状態になるのでしっかり処理していきます。

ちなみに、今回の処理法でも食べられないきのこの一例を紹介します。
・ハチノスタケ:毒成分はないのですがきのこの繊維構造自体が消化不良を起こすので食べられません。
・カエンタケ:毒成分が溶け出さないのでダメです。
これらは混ぜないようにしましょう。

泡がすごい出ます
茹で汁を捨てて水を入れた状態

水にさらして茹でた後、湯を捨てて素材完成!
さっそく料理していきます。

レシピ名:テングタケの生ハムコンソメスープ

【材料】
毒抜きテングタケ :100g
一人前野菜パック :120g
(キャベツ、にんじん、玉ねぎ)
セロリ      :20g
にんにく     :1片
コンソメキューブ :1個
水        :600ml
生ハム      :8枚
塩こしょう    :適量

【作り方】
①生ハム塩こしょう以外の材料を鍋に入れて弱火で20分煮る

②生ハムを一口大にちぎって入れ5分煮て、塩こしょうで味を整えて完成
※塩は味見しながら気持ち程度で。大抵の場合生ハムの塩味でほぼ味が決まります。

気になるお味は…

大変美味しいスープです。
生ハムを加熱すると硬めの薄切り赤身肉になりますが、塩味が抜けてスープに移り、生ハム独特の臭みも旨味に変わるので、従来のコンソメスープとは違った風味を演出できます。
ちなみにきのこの風味はとくにないです。
単品ベニテングタケのように「実は美味しい毒きのこを楽しむ」というより「毒きのこを無理矢理食べれるようにして食糧不足や厳冬期を乗りきるサバイバル術」に寄ったテクニックなので。
食後も無事、無症状でした。
ただストーリー性はありそうなのでネタとしては使えそうな気がします。
例えばジビエ肉を炒めて、出た脂と一緒に毒抜ききのこと玉ねぎやじゃがいもを炒めて、「ロシアの極寒の環境で孤高な狩人が食した風ワイルドソテー」と題したストーリーをウエイターや料理長が食前に、朗々と壮大に語ったら5倍は美味いジビエ料理が出来るかもしれません。
あとは、知ってれば災害時の非常食として役に立つかも?

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