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伝説のボカロP&ヒトリエのボーカルギター・wowakaの歌詞世界『wowaka歌詞集』

こんにちは、ウェブストアスタッフ・ミケです。今回は、先日発売された書籍『wowaka歌詞集』(KADOKAWA)をご紹介いたします。

「wowaka」とは、現在のボカロシーンに多大な影響を与えたボカロPのひとりであり、バンド「ヒトリエ」のボーカルギターでもあります。2019年4月5日に永眠されたwowakaさん。今年5月11日(5月11日という日付は、彼が初めてニコニコ動画に楽曲を投稿された日でもあります)に歌詞集が発売されました。
wowakaさんの新曲はもう聴くことはできないけれど、彼が残した音楽と歌詞世界はこうして形として残り続け、またバンド「ヒトリエ」はシノダさんをボーカルギターとして新たな道を進み続けています。

wowakaさんがボカロPとして活動されていた時期は2009~2011年あたりで、その頃ちょうど私はボカロ楽曲をよく聞いていました。
wowakaさんの初投稿作品は、初音ミクのオリジナル楽曲『グレーゾーンにて。』です。その後『とおせんぼ』や『裏表ラバーズ』といった人気曲を生み出されていますが、この時点では私にはあまり刺さらなかったのです。ハイスピードで高音なミクの声と、グレーを基調としたデザインのみのサムネイルは印象に残っていたけれど。
そして9作目『ローリンガール』。これはイントロを聞いて、あ!と思いました。タイトルの通り転がるようなピアノの音、少し寂しげなミクの声、「息を止めるの、今」でふっと終わる最後、すべてが心に残り、何度も繰り返し聴きました。
初音ミクに加え巡音ルカも使用された10作目『ワールズエンド・ダンスホール』も好きな曲ではありますが、やはり『ローリンガール』を初めて聞いた時の感覚が忘れられません。

11作目『アンハッピーリフレイン』発表の後活動の比重を「ヒトリエ」に移されてから、私はあまり曲を耳にすることはありませんでした。
しかし「ヒトリエ」としての楽曲『ワンミーツハー』が当時私の大好きだった“ソシャゲ”のアニメのタイアップ曲に決定し、私は再びwowakaさんの曲を聴くこととなります。『ワンミーツハー』も何度も何度も聴きました。
2017年に、wowakaさんの初音ミクオリジナル楽曲としては久々に発表された『アンノウン・マザーグース』。今までのwowakaさんのテイストに更にバンド「ヒトリエ」の経験が乗ったようなサウンドはとても素敵でした。

今回歌詞集を拝読し、言葉の視点からwowakaさんの楽曲たちを改めて感じることができ、よかったと思っています。アルバム「DEEPER」のあたりから、歌詞の一人称が「あたし」「私」から「僕」が増えてきているんじゃないかと思い、それは少女に代弁されていたようなwowakaさんの気持ちとかそういったものが彼自身の言葉になっていったのではないか、などと。
『るらるら』のメモ、アルバムごとのシノダさん・イガラシさん・ゆーまおさんのコメント、ハチさん(米津玄師さん)をはじめとした5人のアーティストの寄稿が読めること、そして未発表の歌詞が見れること、この本はぜいたくな一冊だと思います。

今のボカロシーンはwowakaさんの影響を受けていることは事実で、私の作る曲に直接的な影響は特になくても、あの時耳にした音楽は私の中のどこかに泳いでいるのだと思います。
きっとこの本はwowakaさんの音楽が好きだった・好きな人しか手に取らない一冊で、手に取った人の数だけwowakaさんの音楽との思い出があるのでしょう。それはなんだか、音楽家冥利に尽きることなのかもしれません。