赤い夢の思い出ーー名探偵と怪盗と私
こんにちは、ウェブストアスタッフ・ミケです。
夏休み、長めの本に挑戦しようと思っているお子さんも多いのではないでしょうか。今回は、私が小学生の頃から現在に至るまでずっと人気のジュブナイル作家としての地位を確立している「はやみねかおる」さんとその著作についてご紹介しようと思います!
私がはやみねかおるさんの著作と出会ったのは、小学生の中学年頃だったでしょうか。読書家の友人のすすめで手に取った「名探偵夢水清志郎事件ノート」シリーズ3作目『消える総生島』。その読み応えを今でも覚えています。
その後一巻目の『そして五人がいなくなる』を読み、『そして誰もいなくなった』という名作のパロディタイトルと知ってアガサ・クリスティに出会い、小学生の私はミステリーの世界へのめりこんでいきました。
はやみねかおるさんはもともと小学校の教師でいらっしゃいました。本嫌いの子供たちが夢中になる本を!ということでついにご自身で執筆を始めたはやみねさん。人気のジュブナイルミステリ作家として、1990年から今に至るまで作品を生み出し続けていらっしゃいます。
夢水清志郎、怪盗クイーン、内人と創也、虹北恭助etc. ……はやみねさんの生み出す魅力的なキャラクターたちと、おもしろいミステリギミックと、切なさとあたたかさの残る後味。背伸びしたがる子供の心をくすぐり、大人が読んでもぐっとくるシーンのある各シリーズは私の宝物です。
はやみねさんの書かれる世界は、決して明るくあたたかいだけではありません。そもそも世界はしんどくて、怖いことも嫌なこともたくさん起こっている。そんなことは子供でも分かっています。それでも最後は「君の世界はきっと楽しいものになる」とさりげなく照らしてくれるような本でした。
なかでも夢水清志郎のシリーズは特にお気に入りで、黒ずくめでものぐさで食べ物につられがちなこの奇妙な名探偵が、「人が幸せになるように」事件を解決する姿が好きです。
なんと今年はシリーズ刊行30周年!なんだか名前は聞いたことはある気がするけど……、という方はぜひ、こちらの3冊セットからを手を出してみるのはいかがでしょう。もちろんお子さんにすすめてみるのも◎!
夢水シリーズの個人的なイチ押しは『機巧館のかぞえ唄』。
夢の中のような不思議な読後感と初めて触れた異質なミステリの手触りが忘れられません。
他、「都会のトム&ソーヤ」シリーズ・怪盗クイーンシリーズも夢中になって読んでいました。
流行りのリアル脱出ゲームやリアル謎解きゲームを初めて見た時の感想は「内人と創也のR・RPGみたい!」でしたし、人工知能RDのパスワード「今夜はカレーよ」のくだりは特に心に残っています。
はやみねさんの作品はこれからもかつて子供だった大人の心に残り続け、これからの子供たちを勇気づけ、そして新たに大人の心もつかんでいくかもしれません。
ますます広がり、そしてクロスするはやみねさんワールド。「赤い夢」はまだまだ続いていくことでしょう。