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出版社の人に会いに行く~柏書房~ ③


第3弾『後輩に抜かれつつある私がガチで選んだ同じプレッシャーに苦しむあなたに絶対読んで欲しい柏の本フェア』

最終回の案内チラシ。画面右下に「かしわらし」ちゃんも

千葉「さて今回で最終回ということで、やはりまた話し合ってどうするか決めたんですか?」

木村「そこは意外と最初から「最後です」と言いながら見野が企画書を書いてきて」

見野「今回も悩んだんですけど、もう次で私4年目になるので、ガチという言葉で推せる勢いではなくなってきたっていうのが自分でもちゃんと分かっていて(笑)。こんなにガチ本フェアを続けて、「またかい!」ってなることは避けたいなと…」

木村「またガチかよと」

見野「そう、どんだけガチでやってんだよと。なので、3回が限度だと思って(笑)。で、今回で最後だということは決めてたんですけど、やはりまたアイデアが全然でてこなかったんですよね。年末からずっと「次のフェアはどうするの」と言われてたんですけど、まだまとまりませんと言って逃げ続けてました。そして、」

木村「また年明けの(笑)」

見野「年明けの(笑)」

千葉「年明け会議重要ですね(笑)」

木村「そこで、ちょうど見野の後に一人新しい社員が前年に入っていて、彼がまた仕事の覚えが早くて、どんどん自分から動いて書店さんとも関係作ったりしていて、それを見野がどこかで見えないプレッシャーを受けているんじゃないかと

見野「(爆笑)ほんとに彼すごいんですよ!」

千葉「それじゃあ、今回のフェアタイトルも、そのままその通りであると(笑)」

見野「ほんとにそうですね。前回同様、リアルな私の人生の悩みをフェアにしました

木村「世の中にもそういうふうに感じている人がきっといるはずだっていう、ちょっと無理やり感あるけど、そういう人たちにあてはまってくれると面白いんじゃないかっていうので作りました」

見野「そうですそうです、まさに」

木村「今回も100店を超える状況なんですけど、昨日も書店さんでフェアをやっているところを視察に行ったら「とっても売れてますよ」と言っていただいたり、別の書店さんでも、立ち止まって手に取って読まれる人がこんなにいるフェアはなかなかないですよって言っていただいたりしたので、こういうフェアの形はなんらかの違う形で続けたいなと思っています」

千葉「たぶん、見野さん次は何やるんだということをみんなに聞かれると思うんですけど、年明け待たないと出てこないですかね(笑)」

見野「いやーそうなんですよ、なかなか…。これも追い込まれてやっとひねりだしたフェアなので…。私は考えて考えて、苦しまないとアイデアが
出ないタイプかなと思います。でも、フェアを考えるのは楽しいので、たとえアイデア出しに苦戦するとしても、もっといろんなフェアをやりたいと思っています

千葉「読者の反応は、柏書房さんにも届いていますか?一応、見野さんの同世代向けという切り口にしてますよね。で、やはりその世代に狙った通りに刺さっているのか、意外と上の世代の人も読んでるなとか」

見野「書店員さんに聞くと、やっぱり同年代が多いんだなと思います。
けれど一方でいろんな年代の方が見てるよと教えてくれる書店員さんもいて。X(Twitter)で「ガチ本フェア」のハッシュタグをつけてツイートしてくださる方は若い方が多かったです」

「ガチ本フェア」のPOP

千葉「一連のガチ本フェアでは、見野さんが作ったPOPがとても重要な役割を果たしていますよね」

見野「POPについては本当に編集の方にもすごい感謝していて。たとえばこの『平和を作る方法』という本のPOPに、


見野さん作成の『平和をつくる方法』のPOP


「現場」vs.「現場を見ないでわけわからん指示出してくる上司」の規模デカい版!』とか書くのは普通の編集なら嫌がると思うんですよ(笑)。
紛争と平和に関する本なのに……」

木村「現場の話としては同じかもしれないけど……」

見野「現場の話ではあるんですけど、平和構築の本なので、こんなに話を小さくされたら(笑)嫌だと思うんですよ」

千葉「でも逆にそのギャップがいいんですよ。私も今回のフェアPOPを読んでいてこの本が一番読みたくなりましたよ」

見野(笑って本を出す)「ハードカバーでなかなか手に取りにくい本ではあるんですけど、こういうPOPをまず編集に見せた時に、これでGOを出してくれる編集の心の広さにも私はとても感謝しています(笑)」

木村「でもダメって言われたPOPもいっぱいあるんだよね」

見野「もちろんあります(笑)」

木村「これは違いますって言われたりとか。それでフェアの中から削った本もあります。それくらいしっかりと編集はPOPの一言一句を見て判断していて、それをクリアしたものがフェア書目になっています

「後輩に抜かれつつ~」フェアでの見野さん渾身のPOPの一部

見野「私は他の会社を知らないんですけど、刊行点数が少ないからこそ、ちゃんと読んだり、ちゃんと編集と話をしたりして、一冊をすごく丁寧に売っていくというスタイルがこの会社にあると思います。このフェアのPOPに関しては、本の中身をきちんと表してるのかっていうとそうでもないんですけど……(笑)、でもやっぱりちゃんとその本のことをわかっていたからこそ、この「ガチ本」っていう軸からぶれずにまとまったフェアに作れたのかな、というのはあります」

千葉「見野さんを前面に出しつつも、柏書房さん全体で協力して作り上げた集大成みたいなフェアなんですね。最近、若い人に本を読んでもらうには、という話題がよく出るんですけど、このフェアも若い世代に本を手に取ってもらうとても良い機会になっていますよね。これが例えば『柏書房何周年記念フェア』みたいなくくりだったら、そんなに刺さらないと思うんですよ。なのでこの『ガチ本フェア』はネーミングの絶妙さと、そこにかけた熱量が読者に伝わっているのだと思います」

見野「私の地元が茨城県つくば市なんですけど、地元の本屋さんでもフェアを開催していただきました。私の友達もたくさん来てくれて、両親やその友達の方も見に来てくれました。でも「あなたの会社はよくこんな自由なフェアをゆるしたね」みたいなことはめちゃくちゃ言われたので(笑)、
私はすごく恵まれて、チャレンジさせてもらえる環境にあるんだな、というのはその時に気づきました」

千葉「見野さんがすごいのはもちろんそうなんですけど、新入社員を、
「むしろ見野を前面に出せ」という作戦で大成功させた柏書房さんもすごいですよね」

木村「でも、何年も営業をやっていると考え方も硬直化してくるじゃないですか。だから気持ちや勢いというのを大事にしたかったのかなと思います。それを見野が、面白さとか期待感みたいなものも含めて、こういう形で答えを出してくれたのはすごく良かったんじゃないかなと思います」

④に続く
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3年間の「ガチ本フェア」の書目はこちら!!

アーカイブページとして、見野さんの書店向けフェア案内メッセージと、
各書籍につけられたフェアPOPと同じコメントを読むことができます!
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第一弾『24歳新入社員がガチで選んだ同世代に絶対読んでほしい柏の本フェア』

第二弾『3年目の壁にぶち当たった私がガチで選んだ仕事とか恋愛とか人生とかについてモヤってる同世代に絶対読んでほしい柏の本フェア』

第三弾『後輩に抜かれつつある私がガチで選んだ同じプレッシャーに苦しむあなたに絶対読んでほしい柏の本フェア』