ロトの洞窟＝戒壇めぐり
「忘れられない旅」と言えば、暗闇手探り冒険の「ロトの洞窟」です。お題には「映画の一部のような絶景」（JTBさん企画)とあるのに、私「暗闇」ですいません。「ゲームかよ！」と思われた方も、すいません。ちゃんと説明します。
タイトルの「ロトの洞窟」というのは、出発地ラダドーム城から北西に旅した砂漠の中の階段を・・・
と、最初から説明してはダメですね（笑）。逆にタイトル右辺の「戒壇（かいだん）めぐり」というのは、現実の多くの寺で行える体験で、お堂の下の真っ暗闇を通って出てくるだけのものです。例えるなら暗闇探索VRゲームのリアル版？。伝統的なお化け屋敷のお化け無し版とも言えます。ともかく、この「冒険」は小学生の私の中では「ロトの洞窟」でした。
というのも、ドラクエ（初代）では、勇者は一人、たいまつを持ってロトの洞窟に行くのですが、時間が経つと明かりは徐々に消えて、暗闇（ゲーム上の視界がゼロ）になるのです。こうなると、手探りに（壁に当たった音を頼りに）脱出せねばならない。今で言う「無理ゲー」で、リセット不可避です。でも、子供の学習能力って無駄に凄い。私は洞窟の構造を暗記し、たいまつ無しで楽勝で探索出来るようになりました。同じ事を出来る友達（勇者）も多かった。皆で遊んでいる時に初心者の友達がたいまつ切らして途方にくれている時、「仕方ないな貸してみろ」「すげえな」は何度かありました。鼻高々の私でしたが、「右＆左手伝いでOK。覚えるの無駄」と解説する友達（言うなれば、賢者）に、鼻ポッキリ折られたのを覚えています。
さらにドラクエIIはレベルカンストするほど熱中した勇者（ダメ小学生）の私は、ある日、父に誘われて近場のロトの洞窟、ではなく戒壇めぐりに行くことになる。そこは「右手伝い」を現実に指示される地下ダンジョンで、たいまつなしの無理ゲーで、かなり恐怖でした。父によると実は幼児の時も行ってたのに、その時初めて嫌がってちょい泣いたとのこと。私にとってはゲーム世界が急に具現化・実体化した感覚ですから、ちょっと驚きますよね。今でいう、ドラクエアイランド（淡路島２０２１年開設）を私は数十年先駆けて体験したわけです。
でも近場なので２回も行けば慣れて楽勝でした。たいまつ無しで楽勝です。そもそもゲームに比べマップが簡単すぎる！と父に文句言うぐらいです。今から思うと、お坊さんに言わなくてヨカッタです。
そんなふうに私が勇者から天狗にレベルアップした頃、当時社会現象となった「あの」ドラクエIIIが発売される。このゲーム体験は、本当に貴重でした。ネタバレは避けますが、「えっ、この場所、なんか知ってるぞ！？この先、こう行けるはずで・・・やっぱり、そうだ〜〜〜」と衝撃を受けました。
例えば母校を再訪すると強烈に懐かしいのは、記憶が上書き保存されるからですよね。もし仮に、ふと遊びに行ったテーマパークに、実は皆さんの母校が完全移築されていて、それを知らずに足を踏み入れたと想像してください。テーマパークにいるはずの現在と、母校に通った過去の２つが混濁するような、衝撃的な体験になると思います。たぶん。（伝わるかな？）
当時の子供たちは全員衝撃を受けたはずですが、私は、なにせ本物のロトの洞窟を制覇した天狗ですから、衝撃度は何倍も大きかった。
そんな時代の記憶も忘れ、普通に大人になって、結婚して「旦那レベル１」になった頃、観光地の他の寺で同じ体験をすることになる。私の呼称「ロトの洞窟」が「戒壇めぐり」に上書きされる。ようやく正式名称を覚えるわけです。
一緒に行ったのは妻ですが、私は父との冒険を思い出しましたね。私が「でもやっぱり、たいまつ無しで楽勝だな」と郷愁と共に懐古していると、妻は「この真っ暗闇、カップルに最適。これは商売になる！」とか超現実的な感想を言ってました。
本当に、すいません。戒壇めぐりは、冒険ゲームでもデートコースでもなく、修行です。ちゃんと引用します。
引用：戒壇めぐりは狭くて暗い場所を通り抜けることによって穢れが祓われて生まれ変わるという修行のことです。 暗所の道をたどることによって人間の心身を清め菩薩に導かれて必ず極楽へ往生することが出来ると言われています。
この夏に帰省したら、父と妻と、子供も連れて、久々に近場の戒壇めぐりも良いかも知れません。「このパーティなら、もうドラクエVじゃん！えっじゃあ私の妻は、ビアンカなの？フローラなの？まさかタバ・・・」というケガレた煩悩を祓い、生まれ変わりたいと思います。
以上、私の忘れられない旅でした。
「戒壇めぐり」で検索していただくと全国に実在する（善光寺などにも）ので、皆さんのご旅行先にあれば、体験されては、どうでしょうか？
あと、ひとつ疑問です。
JTBさんのお題では「国内外問わず」とありましたが、ロトの洞窟があるアレフガルドは含まれますでしょうか？
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