椎名唯華のにじさんじ麻雀杯2022

2022年1月8日から9日にかけて「新春!にじさんじ麻雀杯2022」が開催された。何度見ても面白いのでざっと記録を残しておく。

準決勝において椎名唯華はやはり豪運と名高いベルモンド・バンデラスを直撃に次ぐ直撃でトバし、予選・準決勝通じて最高得点をマークして決勝に進出した。

相手にはここまで放銃なしとはいえ「ロンされるぅ~」(準決勝の叶から)や優勝祝勝会場(配信枠)で着々とフラグを建設しているでびでび・でびる、プレイヤー名「とらふぐさ明那」で役満賞を狙う三枝明那(しかし配牌がまともだったためあまり機会を得られず)、高打点で準決勝卓を圧倒し「魔王」と恐れられた実力者の天宮こころが集う。椎名唯華にとってはそれぞれ5分前TRPG、チューリングラブ(?)、りりくらで絡みのある相手であり、割合顔馴染みが揃ったと言える。

決勝前半戦(30000点スタートのウマオカなし)、まず椎名唯華は八種八牌というゴミ手の状態から9巡にして聴牌。途中1m3m3m5mと3p5pの場面、恐らくは1m5mの二択で端の1mから切り出したが(リャンカンの知識がないため3mは選択肢になかったと思われる)結果6mを引いて両面とし別の頭候補8s8sも暗刻となって、最速で両面の好形聴牌となった。早くも運命が己に従うが如き引きを見せ「こんにちは~」と言いつつリーチを宣言。これは対戦開始前に「こんにちは→萬子」などと「通し」を冗談で言っていたものだ。通しは普通差し込みの要求なのでこの萬子は当たり牌となるが、でびでび・でびるは安全牌と勘違いしたのか4mを即座に切り5200を放銃。「おまえ騙したな…」と椎名唯華は謂われのない恨みを買った。

その後も特急券(役牌)の鳴きを多用して次々にアガり、親の東3局2本場にはドラダブ東含みの親跳をツモ。(このとき三枝明那は国士無双狙いであり、手が進めば当たり牌の8sが確実に溢れるという面白い場面だった。)3本場でも中を鳴き、卓上では「一人だけバイク乗ってる」と言われるほどのスピードを見せたがここで天宮こころのダマテンが突如でびでび・でびるを襲う。(椎名唯華からの直撃を狙った手であり、でびでび・でびるの点もケアできる繊細な立ち回りが光る。ロンされた側の反応は「なんで殴った…?」だったが)椎名唯華の親がようやく終わる一方、でびでび・でびるは7900点のトビ圏内で東4局を迎える。

ドラ9m及び發の対子があり鳴きたい牌が鳴ければ染めも見えるかといった配牌の椎名唯華だったが、オタ風でやや使いにくい南を暗刻にし、9mを更に追加、急所のカンチャン3m8mを立て続けに引いて9巡にして聴牌。ある程度耐性のあるリスナーですら恐懼するほどの引きによりリーチ混一ドラ3に高目發という変則3面張の構えとなった。

また天開司が極めて冷静と褒めているが、途中白と中を切る場面で枚数のない白から切り出しており、視点を見ると雀魂の捨て牌ハイライトを見て明らかに枚数を数えているのが分かる。隙がないではないにしても基本的な牌効率にはミスがないほどの熟達振りで、「大日本帝国」など知っていると特に意外に見えるかもしれない。また緊張に弱い性分にもかかわらずこうした大物手には全く気負いがないのは、やはり大目標(麻雀の場合1位)にしか興味がないというゲーム全般に対するプレイスタイルが出ているのかもしれない。

他家からすると萬子が捨て牌になく役牌の出も遅いことから典型的な染め手の気配であったものの、字牌は安全というタンピン系前提の防御知識からでびでび・でびるは掴んだ發をその次巡には捨ててしまう。(でびでび・でびるは3家聴牌の状態からオリて凌いだ局もあっただけにここの放銃は悔しい場面だ。)三枝明那の「でびでび銀行開店~」からの流れもあり、「でびでび自分の役割分かってるよな」と圧を掛けられた瞬間の出来事であった。

高目の倍満16000点を喰らいでびでび・でびるがトバされ、椎名唯華は驚異の76700点で半荘の南場なくして前半戦を終えた。

メンタルを破壊されたでびでび・でびるは「ぼくはもういいじゃん帰らせてよお家に!」「(勝利条件について)しらんしらんしらんばーか」「(76000点なんて)そんなんでも取ったことないもん」「こんな心じゃ麻雀なんか打てん」など悲痛な台詞を放つ。(視点配信では3.0で泣き顔にする芸も見せた。)

また椎名唯華の「ちなみにあたし下りない! ずっと勝負するわ」は切り抜きによっては脅しの言葉と解釈されているが、勝つための点差の話をしているところの台詞なので、逃げ切りででびでび・でびるの勝ちの目を潰さないようにという配慮だろう。「逆に怖い」と言われて「やっぱ降りるわ」としている。

大幅リードで迎えた後半戦だが、綺麗に手を作るものの前半戦ほどのスピードとはいかず2度の放銃や、三枝明那が親跳・親満で一気にリードする一方でびでび・でびるはまたしても大きく凹む。条件確認で一時停止し、椎名唯華が合計98500点に対して三枝明那は7400点差の91100点で追い駆け、天宮こころ56200点、そしてでびでび・でびる-5800点(後半2300点)の親という状況で南2局が再開された。

すると7順目にして三枝明那がリーチ。椎名唯華はこのとき二向聴で、端を落として警戒気味の打ち回しに移行する。更に11順目ででびでび・でびるがリーチ、直後に椎名唯華は南を掴む。これは先のタンピン系警戒の考えなら安全となる牌だが、このときは生牌の上にドラであり、状況まで考慮すれば最上級に危険な牌と言える。でびでび・でびるのリーチ牌1mの側とはいえ最悪三枝明那に当たらなければ良いとの判断か、悩んだ末南ではなく三枝明那には通っている2mを選択。実際このときでびでび・でびるは南8sのシャボ待ちであった。見事な読みではあったが(「南を怖いんだけど」と口に出してしまっているのは聞かなかったこととして)、直後三枝明那がツモ。配牌の赤ドラ3枚を使い切り条件達成の跳満ででびでび・でびるをトバし、優勝を決めた。

逆転されたのは悔しいところではあるが、「ラスボス」「にじさんじの鷲巣巌」「撮れ高製造機」などの印象を残すと共に改めて豪運、また運だけではないゲーマーズなところまで注目されたのは嬉しい点だろう。そしてこの印象は3ヶ月後に改めて実感させられるのだが、それは「豪運麻雀の再来 雀魂3周年感謝杯」に書いた通りだ。




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