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古建築さんぽvol.0 動機
木という材料から、木という生物へ
私は、普段建築を作るための材料、いわゆる「建材」販売を生業としています。
建築という業界にいると、木はただ単なる材料の一つです。
わたしたちが目にするのは既に伐られ、製材され、製品になった完成形であることが多いので、そこからその木が実際に生きていたことを感じることは難しくなっています。
私も最初からこういうことを気にして仕事をしていたわけではありませんが、実際に山に入ったり、林業に携わる方や山の手入れをしている人たちから色々学ぶうちに、やはり木が生物である以上、その生命を無駄にすることなく、大切にするべきであると思うようになりました。
古建築へのあこがれ
さて、そんな建築という世界の中で、私が特に愛してやまないのが古建築、古い伝統的な技術で建てられた木造建築です。地元にある素材で作られて、朽ちれば土に帰る建築たち。
木、竹、土、そういった自然に帰る素材から出来ているので、解体してもごみになりません。完全に循環する建築のシステムをわたしたちは既に持っていたのに、現代においては捨ててしまいました。
こういう建築には、私たち日本人が古くから抱いてきた自然へのまなざしを感じます。これほど木を活かし、大切に使い、木を美しく見せる建築はないのではないか、と思うのです。
そうしていつの日からかは覚えていませんが、仕事の合間や休日に社寺や古民家を見てまわるようになりました。ほとんどが誰もいないような場所ですが、そうした村の鎮守のような所を訪ねてみると、意外と心震えるような美しい建築と、大きな木に出会うのです。
私は建築の専門家ではありませんので、建築について語ることは余り出来ませんが、材のこと、風景、境内林やご神木など、見たこと感じたことを書きたいと思います。
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