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「お前」について

言葉は時代と共に変わっていくものである。

辞書から消えて誰からも存在を忘れられ死んだ言葉。若者が作り出し生を受けた言葉。そして、本来の使われ方から大きく変化して生き延びた言葉。この記事では変化して生き延びた言葉について話そうと思う。

一口に意味が変わった言葉といってもそれはそれはたくさんあるのだが、今回話題に挙げるのは「お前」である。

なぜ「お前」なのか。理由は簡単で、僕はこの「お前」という呼び方がとても苦手だからだ。いや、正確には「お前」を使う俺様系の男が苦手なのである。

お前とは古来より敬称として使われてきた。目上の人に使う言葉で「あなたさま」というような意味合いだったのだが、いつしか同輩以下に使われるようになっていった。

まあ友達同士で使うなら分からなくもない。かく言う僕もツッコミを入れるときにたまに使ったりすることもある。だが日常的に使っていたり、恋人にお前と呼ぶ人とはどうも仲良くなれない。

女の人でもお前と呼ぶ人もいるだろうけど、個人的にはやはり男性が多いと感じる。名前やあだ名があるならやはりそれで呼んでほしいし、お前という言葉にはどうしても上から目線というか、なめられているような気がしてしまう。

僕は乙女ゲームを結構プレイするし、イケボ配信者の配信をたまに見てみたりもするのだが、いわゆる『キュンとするセリフ』はだいたいお前呼びからスタートする。僕はもうこの時点で少し萎えているのだが、この手のお前呼びイケボは十中八九俺様系である。

「お前、俺の女になれよ」

このセリフを聞いた時、思わず鳥肌が立った。僕がもし女の子でこれを言われたら2、3発は殴っている可能性もなくはない。

だがしかし、このお前呼び俺様系男子にキュンとする人は多い。特に配信系の界隈に多い気がする。きっとこのタイプに惹かれる女性たちは男運が悪いんだろうなと思うけど、本人たちには真っ向から否定されるだろう。

Sっ気のある男の子は現代ではとても人気だ。S=強い男、のような図式があり、本能的に魅力を感じるのだ。でもSと俺様系は似て非なるものだと思っているし、2つを混同した作品を見ると心中ではいつも同じにしないでほしいと感じている。

俺様系と付き合うと、多かれ少なかれ2人の立場には若干の差が生まれる。この差が原因となり破局するカップルも多い。僕の友人も何人か俺様系の方々と付き合っていたが、セミの寿命と同じくらいの期間だった。どうか世の女性たちはゲームやアニメ、漫画、配信等の世界で推すだけに留まってほしいものである。


さて、散々俺様系のネガキャンをしてきた僕だが、人がなにかに嫌悪感を抱くときというのは自分のコンプレックスや憧れ、嫉妬からくることが多い。

つまり僕はきっと彼らを羨んでいるのだろう。僕だってお前呼びしてキャーキャー言われたいという思いが心の奥底にしっかりとあるのだ。

、、、、

いや、わりと浅いところにあった。それもガッツリと。

というわけで、僕も死ぬ間際にはお前呼びができる俺様系になるために精進しようと思う。

ちなみに余談ではあるが僕が好きなのはロールキャベツ系男子である。

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