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無雪期アルパインロッククライミングを正しく伝えている動画発見!!

こんにちは。クライマーのKinnyです。

ふとしたことで、素晴らしい動画を発見したので、無雪期アルパインロッククライミングを学ぶ岳徒のみなさんへの推奨動画ということで上げます。

山野井泰史さん×服部文祥さんの動画です。

世界の超一流トップクライマーの山野井泰史さんが、山を登っています。

山の教え その1)

登ったら、必ず降りないといけないんですよ!!

山の教え その2)

ルートファインディングが大事!

山の教え その3)

常に補正する

他にも、たくさん学ぶことはありましたが、たくさん紹介しても、消化できないので、この3つをまずは挙げます。

■ 詳細

1)登ったら降りないといけない

登ったら、当然、降りる、というのは、言葉で聞けば、あまりに当たり前のように思うと思いますが… これ、クライミングに来る男性初心者のクライマーで、登る前に降りることを学ばないと!と思っている人は、1%くらいなんですよ。

一般登山者の人は、懸垂下降について全くゼロの知識量です。

クライマーでもインドアジム出身だったり、スポーツクライミング出身の人は、登れても、降りる方法を知りません。

この両者で登山界&クライミング界人口の98%くらい、ってことになります。

懸垂下降は、失敗が許されず、非常に重大な技術分野の一つですが…以上のように、登ることばかりが強調されて、降りることの大事さが強調されていないので、多くの人が軽視して、そのために死亡事故が起こっています。

トップクライマーの事故もほとんどが、懸垂下降でのすっぽ抜け事故です。

2)ルートファインディングが大事

登山道があると登山道は明瞭なので、道沿いに行く、ということだけが登山である、という、無意識の”思い込み”が生まれてしまいます。登山道を歩くのは、ルートファインディングの一つの技術要素だと思ってください。自ら道を見出す能力がルートファインディング能力です。もちろん、見出した結果、たまたま登山道があれば、登山道を歩けばいいのですが、登山道があるのが当然になってしまって、どこでも歩ける場所でも、登山道がないと歩けなくなっている、のが問題。

つまり人生でも同じで、レールの上ばかりを歩いていると、レールがないと歩けなくなります。でも、ほんとはどこでも歩いていい、ってことだったりします。

ルートファインディングは、クライミングでも重要です。インドア出身のクライマーは、人工壁の赤なら赤のホールドを追いかけるのが、クライミングだという無意識の先入観をすでに持っています。外の岩では、まず持つところ、足を置くところを自分で見つけないといけないのですが、そこに時間がかかってしまう、ということが、スピードが上がらない原因になります。

アウトドアのクライマーでも、ボルトを追いかけるのがクライミングだという風に無意識に先入観を持ってしまうので、ボルトがない岩場を登ることができなくなってしまいます。

そういう人は、アイスクライミングやトラッドで、自分で支点を構築しながら、登るようなクライミングを、一度経験すると良いでしょう。ルートファインディングや支点構築が岩との駆け引きであることが理解できます。

沢でも、ハーケンやカムで支点を作りながら登るクライミングを実践することで、ルートファインディング能力を磨くことができます。

道は作られるもので、最初からあるもの、ではないですよ。

3)常に補正する

補正というのは、最初に行ったルートファインディングにこだわらず、現場に近づけば、新しい情報がどんどん得られるので、新たな情報を加えて、アップデートしていく、ということです。また、間違った仮説には、執着せずにすぐ、捨てるということです。

例えば、黒い影だと思っていたら、濡れていた、ということはよくあります。濡れていれば、クライミングには使えないことがほとんどです。

沢のように濡れていることが前提のルートもありますが、安全のマージンは異なるものになります。

この常に補正する、という行動指針を、登山で身に着けると、人生にも応用できます。

例えば、トレーディング、つまり株式などへの投資活動でも有効です。チャートを見て、まず、仮説を立てて、投資したとしても、日々情報がアップデートされるので、自分のポートフォリオに、それを反映させていく… やりながら、山と同じだなぁ、といつも思います。

■ 実践

とはいっても、こんな本格的な山、近所にないよー、できないよーという方、それは誤解です。

福岡の裏山、油山

この地図は、先日私が、初心者向けに、読図山行を企画したときのものです。

この油山597と荒平山394.8をつなぐ登山道は一般登山道です。そこに十字にクロスする登山道がありますが、水色の水線が出ている方へ北上する道は、”上級向け”と記されています。

この道は、山ヤの思考回路があれば、赤テープやピンクテープを追いかけることなく、補正しながら、北上するだけで、300m歩けば、明瞭な道に出ます。

地図を見ると分かりますが、道は大きな谷間の中から出ません。谷間というのは、両サイドが自分より高い、ということです。特に西面の斜面は顕著なので分かりやすいです。

1)なんとなく、沢沿いに行って、

2)進退が極まるたびに、補正し、歩きやすいところに戻る

3)すると、いつも道に出る(テープがある)

という

  思考プロセスが山ヤだったら、みんな同じになるんだよなーな道

です。

行詰まるたびに、補正すると、目印のテープやロープが出てきて、ここだったんだなぁと分かる。事後承認付き、練習課題、みたいな感じです。

初心者時代は、このように、道迷いの心配がない、保険付きの道を歩くのがおすすめです。このように、町のすぐそばの山であっても、二万5千の地図をよく見れば、安全に読図を学ぶことができる道は、意外に身近にあります。ちなみにここはバスで気軽にアクセスできます。

■ まとめ

登山の王道は、

 道迷いを内包しながら歩く、

ということです。

このことが、マスターできると、人生そのものも、間違いを恐れずに、人が敷いたレールの上ではなく、自分自身のルートファインディングで生きることができる、というメタファーに山登りはなっています。

■ おまけ

このような思考回路を身に着けることで、山野井泰史さんは世界的なクライマーになったわけですが、誰しもがその方向を目指すわけではありません。

現代の若いクライマーには、辺境クライミングを実践している、けんじり君という人がいますが、同様にルートファインディングができると、どういうことが可能になるか?という事例になるか参考になると思うので、次の動画がおすすめです。

動画でも語られていますが、辺境は、意外に町のすぐそこにありますので、みなさんも、地図とにらめっこして見つけてみてくださいね。

楽しく安全に、山の知識を身に着け、ついでに人生の達人になってください☆

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