見出し画像

若手プロに知ってもらいたいこと 裏アカウントの怖さ

【工作員の仕事はすぐわかる】

 インターネットの世界では覆面をかぶって他人になりすますことが可能です。だから、自分のことを賢いと思っている人は安易にそれをやってしまいがちです。
 しかし、本当に賢い人は絶対にそんなことはやりません。明確な目的があって、仕事としてやることがあるかもしれませんが、現実的には考えられません。
 あまり意味がないし、情報操作をするにも膨大な数が必要で、しかも、見る人が見たらすぐに「ああこれ工作員がやってんのね」と、バレるからです。

  私も仕事柄、ネット配信番組のコメント欄を監視しますが、批判的なものや悪口の中には「これはたぶんプロ雀士。これは少なくとも(雀荘関係者を含む)同業界の人。これは業界内ではないにせよ、かなり近い関係者」という風に、発言内容によっては分かってしまいます。
 それは「切り口」であったり「使う単語」であったり。ずっと麻雀業界に携わり、文章を読んだり書いたりする仕事をしていると、何となく分かってくるんですよ。
 「これ絶対、プロ雀士しか気にしないことだよな」とか。「この言い回しをするのは雀荘関係者だけだよな」とか。「これは男性、これは女性」というのが分かる時もあります。私にTwitterで粘着してくる変な人も「アカウント変えてるけど、こいつとこいつ、同一人物やんけ」っていうのがミエミエな場合も結構あります。
 「問うに落ちず、語るに落ちる」と言いますが、質問された時は警戒してバレないように頑張れても、自分から語る際には「つい、言ったらバレちゃう何か」を言ってしまうものなんですよ。


 もちろん、答え合わせはできませんよ。ただ、同じアカウントで1人2役や3役を演じて、誰かを叩く会話をしている人を発見したことは過去に何回もあります。
 それは発言者のアカウントを調べればすぐに分かるので、答え合わせもできるわけです。
 ただ、そのアカウントの持ち主が誰かを調べるようなことはしません。たいていは個人情報として保護されており、こちらが配信者だとしても知ることができないケースが多いからです。

【感情のはけ口にするな】

 ビジネス目的ではなく、自分の感情のはけ口として裏アカウントを作ったのなら、もっと危険です。
 その感情のほとんどが「嫉妬」だからです。

 他のプロの世界は分かりません。嫉妬心があることで頑張って成功できる世界があるかもしれません。
 でも、麻雀のプロの世界で嫉妬心をむき出しにして成功した人を私は見たことがないんですよ。
 嫉妬を心の中に秘め、それを原動力にして努力して、嫉妬の対象を追い越した人はいたかもしれません。でも、その人は嫉妬心を隠しているため、私には見えませんよね。
 しかし、少なくとも、Twitterで裏アカウントを作って他人を攻撃する行為は「ただの嫉妬心の吐き出し」でしかありません。

 立川談春師匠の名著「赤めだか」の中で、談志師匠の「嫉妬についての名言」が記されています。

『己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱みを口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです。』

 私はこの本を読んで以来、嫉妬という言葉を特別視するようになりました。以前はふわっとしていた私の中の「嫉妬」という言葉が、くっきりとした意味を持つようになったのです。
 
 嫉妬心は誰にでもあるでしょう。ただ、その気持ちをどうするかで「どんな人になれるか」が変わるのではないでしょうか。

『一緒になって同意してくれる仲間がいれば更に自分は安定する。本来なら相手に並び、抜くための行動、生活を送ればそれで解決するんだ。しかし人間はなかなかそれができない。嫉妬している方が楽だからな。芸人なんぞそういう輩の固まりみたいなもんだ。』

 この『一緒になって同意してくれる仲間』をTwitterで求めてしまう行為が危険なのだと私は考えます。
 もちろん、一般の方が楽しく麻雀を見ている中で「なんじゃこれ」と思ったことを吐き出し、フォロワーさんから「いいね」をもらって満足するのは普通のことだと思います。
 でも、麻雀プロとして活動している人が『一緒になって同意してくれる仲間』を探し始めたらもう終わりです。昔は酒場で愚痴を言い合うのがそれにあたりましたが、それもSNSで発信しているのと変わりはありません。要するに「敗者が傷のなめ合い」をしているわけです。

ここから先は

2,011字
この記事のみ ¥ 250
期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?