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【無料記事】大阪で小林剛プロと久しぶりに長時間話しました

【久しぶりの大阪はやっぱり大阪でした】

 イベント会場に入る直前、近所のコンビニで炭酸水を1本だけ買うためにレジに並んでいたら、後ろのオジサンの様子がおかしかった。
 「んー、はー、はぁー、あかん。しゃあない。外人か。しゃあない。外人はあかん。遅いな」と、ぶつぶつ言っている。
 背後から何かされたら怖いので、私は振り向いてオジサンを監視していたのだが、特に危険なことをしそうな様子はない。ただ、やたらと近かった。距離が近い。
 「外人さんやから、レジ遅いのもしゃあないですね」
 たまらず、私は話しかけた。
 海外では、エレベーターなどで見知らぬ人と2人きりになると、あえて話しかけるという。それは「怖いから」だそうだ。
 私も同じ心境になった。怖かったので話しかけたのだ。まともな受け答えをする人かどうか、試したくなったのである。
 「あかんわ。外人は。あーもう無理や。バス遅れるわ、バス。バスの時間があるねん」
 腕時計を見ながら言っている。私は「バスですか? 僕は急がへんから先やっていいですよ」と、レジの順番を譲った。
 オジサンは食い気味に「ホンマに!? ええの!? ホンマ? 悪いわー、ありがとう!」と言って、ちょうど空いたレジに突進していき「ハロー! エクスキューズミー! ノービニール!」と陽気に変な英語で話しかけていた。レジ打ちの外国人の店員さんは、大きな目をギョロっとさせて、一切わらっていなかった。
 どないやねん。
 ついさっきまで「外人はアカン」て言うてた人間が「ハロー」て。しかも「ノービニール」っておかしいやろ。
 色々とツッコミどころはあるが、たとえ関西でも「おかしいやろオッサン!」とは突っ込まない。関西出身者以外の人たちは、そういうのを期待するかもしれないが、皆、心の中で言うだけだ。
 プロ野球のシーズンオフなので、しばらく大阪には行っていなかったのだが、この一件で「ここは大阪なんだ」という緊張感を持つことができた。

【小林剛は小林剛だった】

 今回のゲストの小林剛プロは、ある意味で大阪人とは真逆なテンションで生きていそうなイメージのある人だ。
 が、その素顔は意外と人間的で、実は普通によく笑うし、たまに怒ることもある。
 怒る時は、だいたい麻雀のことだ。それもプレー内容ではなく「プロ雀士としてのありかた」について、何か言いたくなることがあるらしい。
 けっこう、私が書いたものを読んでいてくれていて「あれはよかった。もっとああいうことを書いて、若い子たちに伝えてほしい」と感想を言ってくれることもあった。
 イベントの中でも話したが、小林君は年下だけどプロとしては先輩である。小林君が働いていた雀荘で、私は客だった。まだお互いに学生で、深夜や早朝のファミレスで食事をしたこともあった。

 2人とも大学は中退し、プロ活動に専念するようになった。20年ぐらい前までは一緒に仕事をすることも多かった。

 その後、少しずつ疎遠になり、久しぶりに飯でも食おうと誘った時は、10年ぐらい経っていた。
 麻雀プロは生きるのに精いっぱいだから、毎日が忙しい。10年などあっという間で、年を重ねたという自覚がない。
 お互いに所属団体の運営に携わっているから、話す内容は学生時代のそれとはかなり違った。同じように深夜のファミレスで話し合っていても、その内容はここで書けるようなことではなかった。
 それからは時々連絡を取るようになったのだが、今回のように1時間も話すのは久しぶりだった。

 あの時の店員さんの「小林君」が今はMリーガーで、私の本のイベントのゲストに来てくれている。学生時代の私は本を出すことなど考えたこともなかった。否、文字を書くことすら頭になかった。
 小林君はデジタルだから、身もふたもないことを言う。ロマンとか情緒とは無縁の男なのだが、それでも人からは好かれる。正直でさっぱりしていて、さわやかだからだろう。
 私も話していて、正直いうと楽しかった。
 本来はファンサービスのためのイベントなのだが、私はあまり良い組み立てを考えられず、ただひたすら「小林節」を楽しみ、懐かしんでいるだけだったのだ。
 これじゃいかん。本来は、もっと客席を盛り上げなければならない。
 イベントが終わって、そんな反省をしながら「雀サクッ」のオフィスに寄ったら、私の本が詰まった段ボール箱があった。
 小林君のおかげで、多くの本をお配りすることができたが、本の在庫はまだまだあるのだ。
 これをさばくため「次」を考えなければならない。

(了)


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たくさん悔しい思いをし、たくさん泣いたーー
だから彼らはキラキラしてる。

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14名のプロ雀士の知られざる秘密の勝負エピソードがぎっしりつまった一冊。

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