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親ノーテンに泣いた奈良が親ノーテンで王者に

【善意のカタマリをゲットした男】

 リーチ麻雀の世界選手権がオーストリア・ウィーンで行われ、日本人プロ雀士の奈良圭純(ならけいじゅん)が優勝した。

奈良圭純(日本プロ麻雀連盟)

 私はベスト16で敗退してしまった。卓内2位までが勝ち上がれるシステムで、ポイントはプラスの3位だったので、とても悔しかった。
 だが、この世界大会は、毎回、負けた後に「悔しさ」「感謝」に変わる。
 負けて落ち込んで少し経つと、その空間にいるだけで「感謝」の気持ちがわいてくるのだ。
 たぶん、この大会が世界の麻雀ファンの「善意」によって成りたっているからだ。
 運営をしてくださる方々は、皆さん海外からのボランティアスタッフだ。
 自分が麻雀を打ちたい気持ちもあるはずなのに、ボランティアスタッフとして参加し、大会をサポートされている。
 とてつもなく大きな「善意」だ。

 前回のラスベガス大会の主管であるデイビッド氏はボランティアとして運営をお手伝いされただけでなく、かなり高額の協賛もされた。
 信じられないほどの「善意」であり、麻雀仲間への愛だと思う。
 「アシックス」や現地の鉄道会社「CAT」もスポンサーになってくださったが、広告宣伝行為というのは建前で、ほとんどが好意と善意による協賛だと思う。
 全自動卓販売代理店の「アルバン」も、日本プロ麻雀連盟公式オンライン麻雀「龍龍」も同じだ。世界の麻雀ファンの「善意」に応えるための協賛である。

 会場は常に、そういった世界の麻雀ファンたちの「善意」に満たされていて、自分の戦いが終わった後に、その空気に気づく。

 麻雀は私のものではないし、私が麻雀の代表でもない。
 でも、学生時代にのめり込んだ「遊び」が、人生の成り行きで仕事になり、今も麻雀に生かされている。
 だから私にとって麻雀は特別で、その麻雀を愛する人々が世界から集まってくれる。
 私のような、世の中の役に立たない人間に存在意義を与えてくれる。これは私の錯覚かもしれないが、笑顔で話しかけてくださるから、私はそう感じることができる。

 もちろん、日本のファンは、ずっと前から私たちの支えになってくれている。それは承知しているのだが、言葉も文化も外見も違う人たちと接することによって、そのありがたさを強く感じることができるのだ。
 世界の麻雀ファンに対する感謝を覚え、同時に日本のファンのことを思い出すのである。
 
 「善意」に満ちた空間で「善意」の一番大きなカタマリを手にしたのが奈良君だった。

 そんなことを、大会終了後に、森山茂和会長夫妻とずっと話していた。
 夜、ホテルの近くのマクドナルドで、1時間以上、3人で話し込んだ。
 会長はずっと感謝の言葉を並べていた。海外の人たちの姿勢を見習いたい。皆さんの麻雀への気持ちがありがたい。ボランティア精神が素晴らしい。アマチュアイズムが美しい。でも俺たちはプロだから、プロとして頑張らなければならない。連盟の人たちにとって少しでもプラスになれば良い。日吉が海外でも人気者になって良かった。三田晋也や大庭三四郎が放送スタッフとして頑張ってくれた。この大会に参加したすべてのプロ雀士に感謝したい。年齢的に、自分がリーダーシップを取れるのは2025年の東京が最後だろう。その次まで俺は生きているかわからないから、3年後が東京で良かった。

 そして、東京大会へ向けてどんな仕掛けをするか、色々と話し合った。

【クソ真面目な奈良】


 奈良は6月25日に行われた「麻雀最強戦2022・タイトルホルダー頂上決戦」で惜しくも優勝を逃した。

 そのあたりの経緯は以前アップしたものをご覧いただきたいが、要するに、その時は親がノーテンで自分がテンパイだったのだが、優勝できなかった。
 その前に、本当はテンパイなのになぜか「ノーテン」の意思を示すというミスを犯している。
 とにかく奈良は最強戦で「ノーテン」関係のアヤで敗退してしまったのだった。

 ところが今回の最後は親のノーテンに救われる形になった。

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