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第6回オンラインAPD(聴覚情報処理障害)当事者交流会

開催日時 2020/09/22
開催場所 ZOOM
参加者 14名(うちファシリテーター2名 字幕校正者2名 メディア関係者3名

今回はNHK様から記者の方がお二人、またyoutuberのえふさんに参加して頂きました。
NHK様の取材結果は、今後NHK NEWS WEBに載る予定と伺っています。
今回の交流会では、ZOOMとUDトークを連携させての字幕表示機能を使ってみることで、APDの方が少しでも情報を得やすくなるかな?と思い、試験的に字幕ありでの交流会を開催しました。
結論としては賛否半々かな?というところ


【参加者の傾向】
今回は学生の方が多かったです、平均年齢も恐らく今までで最も低かったのではないでしょうか
偶然なのか、報道で取り上げられる事が増えて来た事から、学生世代までAPDの知名度が広がりつつあるのかはまだはっきりとはわかりません。

【自己紹介で出たエピソード等】
・お子さんがAPDの検査を受けているが、その過程を知るうちに「自分ももしかして」と思うようになった
・バイト先で雑音下での聞き返しがあまりに頻繁に発生する為、お客様から「耳悪いんじゃないの」と言われるようになり、APDにたどり着いた
・発達障害の傾向があり、聞こえには小学校の頃から違和感があった
・会社の会議で、自分だけ話の内容が聞こえない
・近くで診断できるところがなく、遠出もできないがAPDではないかと感じている
・飲食店での仕事では聞き返しが頻発したため問題に

【フリートークで出た話題】
・電話が兎に角苦手なので、電話対応が多い部署を避けるように、一般就労が厳しくなってきたので在宅勤務をさせてもらっている
・学校ではUDトークを使用して情報保障を受けている、話者にマイクを近づけたり、色々な工夫をして聞き取りを改善している。
・話の全体を聴き取れなくても、聞き取れた単語と文脈、相手の表情から合わせて話の内容を推測し、相手に確認することでコミュニケーションをとっている。
・ASD(自閉症スペクトラム症)の傾向があるので、必死に集中すると何とか聞き取れて会話は成立するが、その後でどっと疲れる(複数意見)
・話題がころころと変わるとついて行けない、今何を話しているのかが分からなくなる
・色々な話について行くため、知識を幅広くつけるようにしている、そうすることで会話を補完する能力を付けるようにしていく
・相手の口の動きに合わせて自分も口を動かす(シャドーイング)事で、コミュニケーションがとりやすくなる気がする
・雑談時は、言葉を拾うより相手の気持ちを拾うようにする
・クライアントとの話し合いでは、口頭でのやり取りだけではなく、それを絵にして双方に同じビジョンが共有されるようにする
・学校などでオンラインの講義を受ける時などは、通信環境によって聞こえが全然違う

【字幕表示についての意見】
・音声と字幕表示のタイムラグが大きくなるとかえって気が散る
・数行づつの表示はかえって目障りだが、全体のログが見える状態ならまだ情報を補う点で有用かも
・校正を入れて正確だがタイムラグが大きくなる字幕より、リアルタイムに近い表示で、多少の誤字脱字がある字幕のほうがAPDの人には適しているかもしれない
・話全体が聞こえないのではなく、聞き落とした単語の補完ができればいいので、正確な全文の字幕にはこだわる必要がないかもしれない


今回は字幕の有無が果たしてオンラインでのコミュニケーションにおいて、APDの方にとって良い影響を与えるかな、というのが私の中での疑問だったので、折々で参加者の皆様に感想をお聞きしました。
結果的には半々、というか「いらない、かえって気が散る」という方と「運用次第では有用」という方に分かれた気がします。
理由としてはその方のAPDの背景要因次第といった印象を受けました
また、校正を入れて頭から最後まで正確な字幕は、APDの方にとってはそれほど必要性がないのかもしれません

聞き落とした単語、何かの拍子でワーキングメモリ―から情報が零れ落ちて「あれ、今なんの話してたっけ」となった場合の手がかりとなる情報が拾える程度の字幕なら、APDの方にとってはメリットが大きくなるように感じます。
来月に控えるAPD講演会でも、字幕そのものは流しつつ、不要な方には字幕表示をオフにして頂くなどして、デメリットを最小限にしつつ、参加される皆様により多くの情報を得て帰って頂けるようにしたいと思います。

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