第一回近畿APD講演会(講師:平野浩二先生)2019/12/1 質疑応答

近畿APD講演会後半、参加者から寄せられた質問に先生が答えていったものの記録です。

〇パートナーとの関わり方についてどうすればいいか

まず、パートナーにAPDについて話す事は重要

特に男性がAPDの場合、問題を抱えやすい

横に並んでではなく、向き合って口の動きが見えるように話すと会話しやすい

外で会う時は明るく、静かな所で

電話だと聞き取りづらいので会話はLineなどの文面のほうがいい

〇職場の人にAPDを伝えたほうがいいのか

仕事場の人に理解してもらうことも重要

APDについて知っておいてもらえば、電話を代わりにとってもらうような事も可能になる

日本人は基本的にいい人が多いが、APDがあると知ると酷いことを言い出す人もいるのは事実

診断書があるほうが話がしやすいか、というとそうでもない

経営側も「この人は障害があります」という診断書を突き付けられると態度が硬化しがち

まずは自分で説明するほうがいい

〇デジタル耳栓は効果があるか

キングジムやBOSEなどから色々なものがでている、高いものだと効果の調整もできるものがある

効果は人それぞれなので、万人に効果があるわけではない

補聴器もノイズを抑える機能がある

というか、本来はノイズキャンセリング機能が補聴器から始まった

〇子供の診断は可能か

小学生以下の場合は本人の症状に関する自覚が難しい

結局親が代弁してしまうので、自覚症状が見分けにくい

国際医療福祉大の小渕先生なら診断がつくかもしれない。

多くの人は仕事を始めてAPDに気付く

〇授業とAPD

APDの人は授業にはついていけなくても学力は付けられる

授業が聞き取れないなら割り切って家で勉強することに集中したほうがいい

塾は聞き取れないので向かない、お金はかかるが家庭教師が良い

目で見て学ぶものがいい

リスニングを伸ばすことは難しい、他で埋め合わせるつもりで

〇学校でどんな対策ができるか

前の方に座らせてもらうほうが良い、口元の動きもよく見える

板書よりプリントを配布してもらうほうが学びやすい

APDの人は聞くことに脳をフルに使うので、同時に板書を写す作業は苦手

〇APDの検査について

決め手になる検査法はない

総合的に検査して、その結果から判断する

検査は絶対的なものではないので、検査結果はシロだがトータルではAPDと判断することもあり得る

〇APDを診断できる病院について

国際医療福祉大学が四月から体制が変わる為、今はAPDの診断受付がストップしている。

〇APDの子供にトレーニングは可能か

小渕先生のところではやっているが、頻繁に通う事を考えると近畿からは現実問題として無理

〇職場でできる工夫

例としてコンビニでの売り場

タバコの番号が聞き取れない為にお客様から怒られるAPDの方が多いが

「もう一回言って下さい」だと怒られても

「〇〇でよろしかったでしょうか?」と答える事で「丁寧な接客だな」と相手に感じてもらう事ができる。

言い方の工夫で変えられる事もある。

〇ストレスとの関係性

はっきりとは言えないが、APDは「病気」ではなく「症状」

APDの概念はADHDなども含んだ広い概念であり、「聞き取れない」という症状の背景は様々なものが含まれている

発達障害の改善によってAPDが軽減する場合もある

〇うつとAPD

うつを抱える人は多い

〇APDの人のうちで発達障害の人が50%いるというデータはどこから

小渕先生の研究データから

〇聴覚過敏とAPD

聴覚過敏とAPDは別々のものだが、合併している人もいる

しらずに一緒くたにして「APDってこんな症状なんです」と発信してしまう人もりう

〇APDとマルチタスク

APDの人はシングルタスクが限界

無理に並列作業しようとせずに、聞くときは手を止めて聞くことに集中したほうが良い

〇APDの認知度

発達障害の先生からの問い合わせは増えてきており、認知度は広まってきている

まだまだこれから

APDについては、「説明しないと誤解される」

はっきりと説明することが重要


APDの人にとって、合っていないものを切り捨てる事は重要

頑張っても伸びないものは伸びないので無理をしない


〇講演の結び

APDの方達の状況を変えるのは障害者本人の声

表に出て声を上げるのは医師ではなく当事者

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