昭和のgifted - 47 闇堕ち少女を救った話
前回のお話しはこちら
前にもちょっと書いたかもだし、前回の記事でも自己肯定感が低いと悩んでる人にはこうしてあげて。みたいなこと書いたんだけど、普通だとこんなことするの無理なのかもな、とは思いつつ一応エビデンスとして残したい。長いけど「ほんとの意味で寄り添う」って何なのかって考えたい人に読んでほしい。
頭が良い人が、その頭の良さで病んでしまった時に私が取った行動について。
めちゃくちゃ私のことを慕ってくれる20代前半の女の子がいた。話を聞く限りめちゃくちゃ頭が良い。でも彼女は「私は秀才タイプ、木春さんはほんとの天才!天才って1%の才能と99%の努力って言われるけど、私にも1%くらいなにか才能があればいいな…」とか言っちゃうような女の子だ。
この概念、正しくは「1%の閃きと99%の努力」ってことっぽいけど一旦「1%の才能」ってことにしてもらえると助かる。
私は好きな物事に対して努力してるつもりはあんまりない。「好きだから知りたい」そう思ったらなりふり構わずディープダイブする。
まわりで私のことを認めてくれている人は努力家だとか言ってくれることもあるが、仕事の側面に置いては生きていくために必要と思ったことを掘り下げただけだし、写真やカメラ、服飾や編み物などはただどうすればよりよくなるかを知りたくて探求してきただけだ。
ただの好奇心の行き過ぎを他者は「努力」として評価してくれる。わりと私的には謎な構造解釈なんだけどみんながそう言うのであれば私は努力してるんだね、と受け入れている。
まぁ前提はさておき、私を慕ってくれている女子、今回は「闇堕ちちゃん」としよう。
この闇堕ちちゃんが限界MAXを超えそうだったとき、賢い子だから「迷惑かけないように」と「今度お出かけする約束してもらってたんですけど、死ぬかもしれないんで行けないです。予定空けてもらってたのにすみません。」という内容のメッセを送ってきた。
受け取った私は「おー、そこまで堕ちてるのか。結構やばい感じかな。」と思ったのでこう即レスした。
「まじか。死ぬんだったら遺影撮っといた方が良いよね。いつ撮る?一旦遺影は撮っとこうよ。」
私が写真家で、闇堕ちちゃんが私の写真を好きだと言ってくれてたからなんかできることないかな?って思って出た言葉が「遺影撮ってあげる。」だった。
以前撮ってあげた時「それまで写真撮られるの好きじゃなかったけど、木春さんに撮ってもらった写真は少しだけ自分のことを好きになれました。」と言っていくれていたなで、どうせなら自分のことを好きになれた遺影で葬ってあげた方が良いかなって思った。
人が「死にたい」とか言うのはどんな状況かわからない。でも私が「死にたい」と思ったときの孤独感や絶望感から推測すると緊急救命レベルでトリアージで言うなら黒だ。
救急医療に関して言えばラベリングをして赤から順に命を救うのかもしれないけれどメンタルの分野で言うとラベリングする前に黒を付けざるを得ない人がようやく119コールをする。
やっかいなのは119コールしても到着までに状況が治ることがあるからあんまり役に立たない。
私も過呼吸で道端で倒れたときに通りすがりの人が救急車呼んでくれたけど(ほとんど意識がなかったので呼ばれたのも気づかなかった)到着したときには落ち着いてて乗車拒否するの大変だった。
そこまでいかないレベルの人が「こころといのちのほっとナビ」(tel:0570064556)に電話したところで「なんか人の役に立ちたいな〜」レベルのおばちゃんが電話に出てそれっぽい話されてがっかりMAXで死ぬ一直線だよ。
実際私も一縷の望みをかけてほっとナビに電話したことがあるが「まじクソか。知ってたけど。」と思って電話を切って生死の境を彷徨ったよね。
もとい、そんなこんなで闇落ちちゃんを「遺影撮影」という名目で連れ出すことに成功した。
その日はそれなりに楽しかったようだが、病んでる人は下振れしだしたらずっと下振れて行くのでしばらくたったある日また「死ぬかも」って連絡が来た。
何かしてあげられることはないか?
私が同じ立場だったら「死ぬかも」と思ったときにアラートをあげるのは一縷の望みをかけてだ。
そんな一縷の望みも私は踏み躙られてきた。
だから私は「会いたい」と言われたらすぐ会いに行ける私でいたいと思っている。
だからこそすぐに駆けつけてあげないと、と思って「とりあえず会おう?今日だったら1時間くらいはかかっちゃうかもだけど。今日行ける?それとも明日の方がいい?」って連絡してその日の当日新宿の飲み屋に連れ出した。お酒飲まない子なのに。
そこから2日連続で会って話て私が飲むのに付き合わせてたくさん話を聞いて、私の意見も伝えた。
そしたら憑き物が落ちたようにけろっと元気になって、自分のほんとにやりたかったことを見つけて挙げ句の果てにガンガン被写体とかもやるようになっちゃって全然連絡くれなくなっちゃった。笑
闇堕ちちゃんのSNSを見てるとほんとに毎日楽しそうで、たまに病んでる感じのときもあるけど以前ほどのやばさはなく、毎日をわりとエンジョイしてるっぽい。
元気になったら私はもう用無しなんだなぁ、寂しいなぁって思うこともあったけど、これまで話をしていた中で闇堕ちちゃんは私のことをほんとに大好きでいてくれて、そんな大好きな人が自分が一番やばい時に助けてくれたという成功体験を得て、「木春さんが存在してくれてるって思うだけで私は幸せです!!!」とまで言ってたのでもうそう簡単に病む事ないだろう。
闇堕ちちゃんの中で私は"推し"から"神"になった。
なにこの展開。
「寄り添う」ってその本人がしてもらいたいと思ってることをしてあげることなんだよな。
ちゃんと本人がどうしてもらいたいかを見極めるためにはかなりの経験値が必要だ。
子供だったらよくも悪くも、高IQやギフテッドの子もそこまで複雑に考える経験値が少ないからそんな難しい要望してこないと思う。
急に訳のわからないこと言われても、大人も子供もその言葉を発した裏側にはその人なりのロジックがある。
だからできる範囲でいいから「どうして欲しい?」って聞いて、それに応えてあげるといい。
ただ絶対条件として必要なのは「どうして欲しい?」って聞いたときにちゃんと本音を言ってもらえる関係性を築いておくことだ。
そこまでの下準備と対応をできないのであれば容易に心配する風を装ったり、寄り添ってるなんて言わない方が各々のためだ。
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