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あと一年と2ヶ月半

あと一年と2ヶ月半。
それは10年間関わってきた杉の仕事にひと区切りつけるまでのタイムリミットです。

2015年6月に三つ枝商店をスタートさせました。杉の木を通じて森のことや林業、自然環境問題や産業としての林業や材木加工、木工について有意義な取り組みをしていく強い想いがありました。

その活動も始めてから数年で「期間を区切る必要があるな」と感じ始めました。

もともとのイメージとしては、森や林業、それに材木加工といった専門性の高い業種と、私たち消費者との距離が遠い。使い勝手とか、木を使うことが環境にどういった影響があるのか、国内産業や外国の森林の状況などを私たち一般消費者が理解することで、まだまだ日本の産業としての「木に関わる仕事」の可能性は発展する余地がある。専門家と一般消費者との間に立って、そこにある豊かさや楽しさを伝えることが三つ枝商店の使命だと思っています。

たぶんそれは10年間以降も続いてゆきます。

ただ、いったん10年と思いました。ここ2〜3年、とりわけコロナ禍の中で杉に関わる仕事として10年以降も可能であるのか試行錯誤しました。森林のセミナーなどに参加したりもしてみましたが、10年以降も今の場所に立って続けていくイメージを持つことはできませんでした。

たぶん、と思っている事があって、それは日本人の特性なのかも知れないし、そもそも専門性を高い水準で必要とする分野ではそもそも人はそうなるということかも知れない。そしてそれが悪いことではない。

伝統や文化が息づくための環境のあり方について、ある程度の時間をかけて体験し観察して何となく分かってきたことがあります。

いまここに書いていることは、何かを批判したり疑問を呈することは全く意図していません。

批判することによって摩擦を生むよりは、新しい価値なり可能性を模索する方が遥かに有意義です。

とくにコロナ禍以降(まだ続いてるのかもしれませんが)につくづく思うのは、人生は有限で、確かなものは何一つない。不意に訪れる出来事によって個人の力ではどうしようもなく人生を全て台無しにされることは起きる。思っていたよりもそれは簡単に起きる。

個人にできることとして、この先の人生の時間を検討すると、大きな取り組みはあとできるとしても2〜3個かなとか思ってます。

いま三つ枝商店では杉への取り組みと同時進行で藍染めとか柿渋染めへの取り組みをスタートさせました。

染め物には以前から関心があって、そのこと自体への興味、やり甲斐を感じているからやっていますが、それはそれとして今からやる事の目的は別にあります。

産業や伝統、文化を個人として越境すること

杉を扱いながら一般消費者の方々にその素晴らしさを届けようとするのは、ある意味、越境としての側面が多かったのです。お客さんの多くは杉の木に詳しいわけでもなく、何となく木は好きだったり、エコとかオーガニックに関心があるという方でした。

つまりマニア向けの営業ではなく、多様な関心や趣味を持つ方々に、杉ってすごいんだぜという新たな引き出しをひとつ持っていただくことをイメージしていました。

途中でこのままでは思ったよりも遠くへ行けないな。頭打ちになるなと感じ始めました。

気がつけば多様性という言葉は、現代社会の大きなテーマとなっています。趣味趣向、性別に対しても多様性が尊重されています。

今ではコロナ禍のリモート出勤の発達で二拠点生活もそんなに珍しいものではなくなりました。

いま、個人の在り方は様々に分岐し多様性であるとともに、互いに行き来する越境ということも大切な視点だと思っています。

そういうわけで杉の仕事をいったん区切りをつけて染め物に真剣に取り組んでみる。自分なりに思い切って越境してみるということをやってみます。

おそらく今年から来年にかけて大きな変化が世界に起きるでしょう。もう充分に起きてもいますが、これがさらに続きます。

これから起き得ることに対して意識を拡張して備えてみる。受け身でその時を待つよりはこちらから仕掛けてみよう。さて、それでも間に合うのだろうか。まだまだ遅いのではないかとちょっと心配もしています。

まあそんな感じでござります〜

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