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首のないことを選んだニケ

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解離
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2018年7月の記事一覧

野良の粧い

如才さん。
正確には如才無いさん。

それが名前。
敏捷であること、ひとつ。
とりわけて、
 
 
 
片目の利くこと。
動もすると、やおら前肢を畳む。

分けてやれば脂下がる。
 
 
それがあなた。

自覚とはなんぞや。
なおざりでは、塵にも気づかん。
 
 
猫か、金魚か。
金魚か、猫か。

琥珀の水

琥珀の水

泥水と夕焼けは似ていた。
おしまいの色だ。

あとは澄んでゆくばかり。 

 

或日に泥を掻いていた。
書くばかりが脳じゃないと、脳は云った。

言葉にも濁りがある。
それは、脳が創り出した原風景と知る。
 
 
 
皆が原始を魅せてくれた。
ありがとう。

恩婆の、言葉の意味を夕焼けに暮れながら噛みしめる。

この梅酒は、この子たちで終わりなんだわ。
ごめんね。そう言って愛しく瓶を撫でた

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足留

足留

片足の女神、
 
 
その頭上に掲げられた水平線では、もとには戻らぬものがentropyと化するのみだった。

波打ち際では砂に足をすくわれるように、

残る片足がどちらかなどと思考すれば徒爾に終わる。その足が役に立つとも知れぬうちの

天秤の威容たるは、逼塞を感じさせないことだけが報われる。