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首のないことを選んだニケ

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解離
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2018年6月の記事一覧

有人無人

有人無人

或とき、わたしは山にいた。

山に登るとき、そこには二割の事象とそれにまつわる探求と探究あり、そして残る八割にはなにも無い。無だ。
故にその山にわたしはいなかった、という論を生む。

足の下は幾重もの堆積岩に覆われている。それより遥か下では摂氏何千度というわたしたちの核が息衝く。しかし、そこに人は無い。そして有る。

栗子隧道|とんちん漢|note(ノート)https://note.mu/tont

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遺伝子

遺伝子

四十を過ぎた頃から頓に、父に似てきたと感ずる。
わたしは、父には愛されていた。
 
 
 
わたしが十になるころに、それがこの世から失せるまでその愛情すべてをうけてきた。父は生き急いでいた。いつも。

今はそれをあらゆる視点から知る。

知ったひとつに、今際といふものがひとにはある。
わたしにも幾らかあった。
 
 
 
その都度、わたしは泣き言を鏡に吐く。
そこには父がいた。

しあわせの転職に

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